あの、まだ起きていますか?
……開けますよ…なんだ、まだ起きているじゃないですか。起きているなら返事の一つでもしてください……
まぁそれは今、特に重要ではありません
そうですね要件を端的に伝えると
今夜は特別に私が一緒に寝てあげます
どうして急にそんなこと言うのか…ですか
先輩がつい先程まで今にも泣き出しそうな顔でホラー映画を見ていたからです。
それに貴方はどうせ後で私の部屋に来て一緒に寝てくれ、と頼んでいたでしょう?なので先手を打ったまでです
……一人で寝るつもりだったから心配しなくても大丈夫…
強がらなくてもいいんですよ、先輩がホラー映画が不得意なのに大好きなことを私はよく知っています。ですので……はぁ?一緒に寝たいのは私のほうじゃないか、ですか
そんな訳ないじゃないですか
私が先輩とホラー映画等々を見に行った時に怖がっていたことがありましたか?
なかったでしょう?ですのでこれは私のためではなく先輩の為、なのです
………次の日の顔色で眠れてないのが丸わかりだった……
…偶々です、それはたまたま寝付きが悪かっただけであって、ホラー映画は関係ありません
…言い訳なんかじゃありません
本当に、たまたま偶然寝付きが悪かっただけです
誰にだって寝付きの悪い日くらいあります…それが偶々先輩とホラー映画を見た日だっただけです
…なにニヤニヤしているんですか?……なっ、かわいっ…今のどこにかわいい要素があったんですか
全く先輩は…いつもそうやって私のことをからかうんですから
ほら、いいから少し場所を開けてください
少し奥に詰めてもらわないと同じベッドに収まりきりません
……だから、これは私のためではなく先輩のためです。何度言ったら分かるんですか
本当のことを聞かせてほしい…?
ですから、きっと先輩が恐怖で眠れないだろうと思って…ちょっ、私を室外に押し出そうとしないでください!待ってください、言います…本当のことを言いますから……
その、えっと…私が怖くて一人で寝れそうにないので、あの…一緒に…寝て……ください…
んっ…どうして急に抱きしめるんですか…
またそうやってかわいい、だなんて
……私は正直に本当のことを言いました。それで先輩は私と一緒に寝てくれるんですか…?
当然、ですか…最初からそう言ってくれれば良かったんです…先輩の意地悪……

(ここ以降互いにベッドに入っているので囁き声で)

さっきまで先輩がお布団の中に入っていたから中はポカポカであったかいです…
………あの…先程は何から何まで先輩のせいにしてしまってすみませんでした……
先輩ならもうわかっているんでしょうけど、私は自分の感情を顔や、声に出して表現するのが苦手なんです
ですから常に冷静であると思われることが多くて…先輩の中での私のイメージを壊したくなかったんです
だけど今日バレちゃいましたね…
これからは、先輩の前では正直に、ありのままの自分を出していきたいと思います
だから…今日だけはこのままギュッてしててください…私が目覚めるまで側にいてください
約束、ですよ?

・台本（ゆるボイ！）
常にクールな後輩彼女が甘えてくる話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
キタノアラヤ@創作