◆フリー台本情報

【タイトル】ずっと、あなたのことが好きでした。

【ジャンル】男性向けボイスドラマ（女声一人読み/全年齢）

【時間】10分～15分（2800字）

【あらすじ】先輩の男性社員に片想いする私（主人公）の話。新入社員として入社した5年前に先輩に一目惚れする。告白する勇気がなく、先輩への想いをあきらめてしまう。先輩は1年前に結婚してしまう。「もし、５年前のあの時に戻れたら、私はあなたに自分の想いを伝えることができたのかな…」と、 残業終わりに公園の夜桜を見ながら空想にふけっていたら…。

【特記事項】
・SF要素あり。
・切ないお話。

ずっと、あなたのことが好きでした。
詳しい設定や台本に関する情報は概要欄（キャプション）をご覧ください。
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【台本】

（モノローグ）もし、あの頃に戻れたら…何度もそう思ったくらい後悔していることがある。もし、…５年前のあの時に戻れたら、私はあなたに自分の想いを伝えることができたのかな…


（5年前、の桜が満開の夜の公園）

…よいしょっ（乗り物から降りる）

うわぁ！ やっぱり綺麗！ この日って桜が満開の日だったんだ！ 懐かしいなぁ！ 入社して１週間、人生初の花金！ 先輩たちに花見に誘われたんだよね…

（我に返って）…って、思い出に浸ってる場合じゃなかった…！

運転手さん！ それじゃ、いってきます！
（軽く笑いながら）…何しに行くんですか？ って、…あの！ 会いたい人がいて！
（焦りながら）…あぁ！ 違う、そうじゃなくて、見るだけ！ 見るだけです！！
……タイムトラベルマニュアルにあったように、過去の自分や知人に会わないように気を付けます！ 人混みに紛れたら絶対に見つからないですよ！ 契約書にサインしましたし、絶対守りますから！！ 30分で戻るのでいってきます！


（間）
（5年前の私と先輩を探す）
…えぇっと、昔の私はどこに居るの？ こんな人混みでで見つけられるかな？ あそこのベンチにも居なかったし。…この時、私は何していたんだっけ？
…あっ！いた！（人混みに紛れる）

待って！ 先輩と一緒にいる！
…思い出した！ 私、先輩と一緒に屋台で買い出ししてた！ まだ先輩と一緒に仕事したことなくて、この日が初対面だったし、何を話していいかわからなくて、ずっと屋台をぐるぐる回ってた。
先輩もリーダーシップ取るタイプ じゃないし、私も遠慮して、「何食べますか？」「これも美味しそうですね」って話して歩いているだけで、何も買わなかった。 最終的に他の先輩のリクエストで、ベンチの近くにあった焼きそばとイカの丸焼きを買ったんだっけ…？

…もう！ なんなの！ あの微妙な距離！！
今思えば、この時もチャンスだったんだよね。このあともチャンスは何回かあったけど…さすがにこんな風に苦労せずに二人きりなるチャンスはなかったかも…

（不注意で人にぶつかって転ぶ）
…うわっ！！ …痛ったー…

（昔の自分に見つかって対峙する）
…！？
…あ。見つかっちゃった…（焦）

（昔の自分、隣の先輩は不思議そうに見ている）
…び、びっくりしたでしょ？
だって、髪形や服装が違うだけで、少し老けた自分が鏡に写っているみたいだもんね…

そうだよ！ 私はあなただよ！ 5年後のあなた…！ ちょっと黙って見ていたんだけどさ。
…はぁ、もう見つかったらしょうがないか！！ この際だから言いたいこと言わせてもらうね！

（ひと呼吸おいて）
なんで、…なんで、あきらめたりしたの！？
どうして、ちゃんと自分の気持ちを伝えなかったの？
…私は、私は、ここにいる先輩のことが好きだった。大好きだった。
スポーツマンで、頭も良くて、笑顔が素敵で、とにかく優しくて、いつも私の事を気にかけてくれて、大丈夫？って心配してくれて、困ったときはいつも助けてくれて、でも羽目をはずしちゃったり、放っておけないような可愛いことろもあって。
でも、言えなかった。 私なんかに興味ないだろうなって思って…言えなかった。

この先もチャンスはあった。 何度も言おうかなって思った。
でも、自信なんてなかった。

そのうちね、片想いが辛くなった。
今の関係が壊れたらどうしようとか、一緒に仕事やりにくくなったら嫌だなとか。 悪いことばかり考えちゃって、一言が…たったその一言が言えなくなった。
…私は、…私は、勝手に好きになって、勝手に片思いして、勝手に悲観的になって、勝手にあきらめて…

…馬鹿みたい…

たった一言が言えなくて、ただそれだけで、今もこんなにも後悔しているの…

なんで、なんで…言えなかったのかな…
「好き」って、たった、たった一言なのに。
自分の気持ちを言葉にしないと伝わらないのに…

…笑っちゃうけど、もしかしたら…先輩も、同じ気持ちだったのかなって思ったこと、あったよ…
（自嘲の笑み）でも、私は、勝手に期待して待っているだけだった。 ずっと側に居たのに、何も言えずに、ただ4年間も待っているだけだった…
待っていたって何も変わらないよ。自分から動かないと未来なんて変わらないんだよ。

…ねぇ、先輩。 私、先輩のこと、好きだったよ。ずっと好きだったよ。
そう言えたら、何か変わっていたかな？ 先輩の隣に笑っている私が居る…そんな未来になったのかな。
…でもね、遅いの。 もう遅いの。 もう取り戻せないの。
もう、遅いんだよ！ 後悔する前に、早く言いなよ…ばーか！



（現在の桜が満開の夜の公園）
（ベンチでぼっーとしているところに缶ビール渡される）

…あっ、すいません、ありがとうございます！

（どうかした？と聞かれ）
…あっ、あの、何でもないです。ちょっとボーッとしてました。
…5年前の桜も綺麗だったなぁって、思い出してて。（軽く笑って）…それに、今日の残業すっごく疲れちゃいました。金曜日で本当に良かったなぁって、思ってたんです。

…あ、じゃあ、乾杯しましょうか！
（ぷしゅっ。缶を開ける音）

お疲れ様でした～。
（缶ビールを飲む）ごくごく…はぁー、やっぱおいしー！！

（ふと、まわりを眺めて）
桜が綺麗ですね…
今日は久々の職場の花見だったのに残念でしたね。 まだやってるかと思ったのに、解散しちゃったんですね。
でも、今日はこうやって、桜見ながら仕事終わりのビールが飲めて最高です！

（慌てて）ところで！ ごめんなさい！
…私の仕事手伝ってもらって、先輩まで残業になっちゃって。 本当にごめんなさい。 私のせいで、 今日の飲み会ドタキャンになっちゃって…。
いっつも助けてくれてありがとうございます。 でも！ いい人は損をするので、自分のこと…、それに家庭のこと優先してくださいね！
私は、大丈夫ですから！

（桜を眺めて過去を回想しながら）
ここに来ると…5年前の桜を思い出すんです。あの頃は金曜日になると同僚と飲んだり遊んだりして、色んな先輩達との交流があって、誰とでも仲良くなれて、ワイワイ騒いで…とても楽しかったです。

…あ、そういえば、（楽しそうに）たまーに先輩も社員寮の鍋パーティとかバーベキューとか来てくれましたよね！
5年前…あの頃が一番楽しかったな…

（先輩の方を見て、少し黙る）
…先輩、……あの、……実は、私、
………す………（「好き」と言いたいけど言えない）


（照れ隠しで全然違うことを早口で言う）
…水曜の定例会なんですけど、準備手伝ってくれませんか？
いつもの会議室が取れなくて、プロジェクターとパソコン持っていかないといけなくて。
私、おっちょこちょいだから、「プロジェクター落としちゃったらどうしよう」とか心配で。 すいません。 雑用なのに。

やっぱり、先輩は優しいですね。
…いやいやいや、本当にすごくいい人ですって！
ちゃんと自覚してくださいね！ 変なこと頼まれちゃいますよ！ そのうち。

（時計を見て）あ、こんな時間！ 終電まであと30分くらい…先輩も同じくらいですか？
…じゃあ、これ飲み終わるまで、もう少し、付き合ってくれませんか？


【おわり】

・台本（ゆるボイ！）
【男性向け/全年齢】ずっと、あなたのことが好きでした。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
さわな