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【男性向け/全年齢】王宮騎士と亡国の姫君
written by さわな
  • ファンタジー
  • お姫様
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2022年03月11日 13:51
文字数
3199文字(約 10分40秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
視聴者役柄
王宮騎士
場所
指定なし
あらすじ
◆フリー台本情報

【タイトル】王宮騎士と亡国の姫君
※これは姫編(演者が姫役)の台本です。

【ジャンル】男性向けシチュエーションボイス(女声一人読み/全年齢)

【時間】15分(3000字)※3場面通しの目安

【あらすじ】ある王国の騎士と姫の恋物語。演者が姫、聴き手が騎士の設定。
騎士の母が姫の乳母であったため、騎士と姫は幼馴染。 身分の違いから姫は騎士から交流を断たれてしまうが、姫は騎士のもとへお忍びで通うように。 お互いを想い合っているが叶わないと諦めている2人の恋のゆくえは…。
・Scene1:騎士の訓練場に足を運んだ姫を騎士が追い返す場面。 姫のは騎士に婚約のため別れを告げに来た。
・Scene2:ある事件がきっかけで婚約は破断し、戦争になる。 死を覚悟した姫のもとへ騎士が助けに来る。
・Scene3:姫と騎士が小屋で一晩を共にする場面。 姫は騎士から気持ちを打ち明けられる。(1人称が途中で わたくし→わたし に変わります。)

【特記事項】
・現代劇ではなくファンタジー(中世ヨーロッパ風)な世界観の台本です。
・3部構成(3場面)です。通しでも3つに分けても構いません。
・キス(軽い)あり。セリフだけでも伝わるので省略可。
本編
王宮騎士と亡国の姫君
詳しい設定や台本に関する情報は概要欄(キャプション)をご覧ください。
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【台本】

■【Scene1.王宮騎士の忘れられぬ恋】
(城を抜け出した姫。 隠れていたところを騎士に発見される。)
…あっ!?
…見つかったのなら仕方ありませんね。

(茂みから出てくる)
ごきげんよう。 お久しぶりですね。
元気にしていたかしら?

わたくしがわざわざ参ったのにその態度はなんですか!?

またそのお話…?
どこに行こうと、わたくしの勝手です。

ここは騎士達の練習場(れんしゅうじょう)。 危険な場所であることは心得ております。
人間だけではなく馬にも気をつけなくてはいけません。
あなた、この前よそ見をしていたら馬に蹴られたそうじゃないですか?
…ばあやから聞きましたよ。

それでも騎兵(きへい)なのですか? 情けない。
気性の荒い馬を手懐(てなず)けられないようでは一流の騎士にはなれません。

大怪我をされては…困るのです。 この国を誰が守るというのですか!?
わたくし達の運命はあなた方にかかっているのですよ!!
もっと、しっかりなさい!!

(騎士から帰るように言われて)
断ります。 まだ城に帰りたくありません。

理由は…ええっと。 あなたにお説教をしに来たのではありません。
わたくしの…婚約のことで…。

そうですか…!
知っていたのですね。 それなら話が早いわ。

長きに渡り戦争状態にあった国と同盟を結ぶことになりました。
架け橋として、わたくしが嫁ぐことになったのです。

皆様にお別れの挨拶をしようと参ったのですよ。
もちろん、あなたにも。

…もう会えなくなってしまうわね。 あなたはそれで良いの…?

ふふふ、ごめんなさい。(笑いながらごまかす)
あなたに聞いてもしょうがないわね。
もう少しだけ、この国の姫で居たいのです。

素敵な殿方と聞いておりますが、相手はかつて戦争をしていた国。
不安がないわけではありません。

(護衛に張り切る騎士に対して)
もちろんです! 護衛は頼みました。 しっかり勤めてください。
この婚約は万人(ばんにん)に祝福されるものではありません。
だからこそ、2つの国を背負った わたくし達を必ず守りなさい。
これが最後のお願いです。

二度と会うことはないのですから…。
最後くらい本音でお話しても良いのですよ。
遠慮しないで。 昔のようにあなたとお話がしたいの。
わたくし達はずっと一緒だったではありませんか。

そうよ。 あなたの母親がわたくしのお世話係だったから、昔はきょうだいのように過ごしていましたね。
小さかったあなたはいつも わたくしの後をついて来て。
とても可愛らしい男の子でした。
懐かしいわね。

(身分の違いから交流を断ってしまった騎士は姫に謝る)
そんなことで謝らないで。 あの頃は幼過ぎたのです。

顔を上げなさい。
身分なんて気にしなくていいの。 わたくしや周りの顔色を伺わなくていいのよ。
あなたは わたくしにとって大切な…お友達なんですから。
今日はもっと あなたと色んなお話をしたかったのに。 残念だわ。

ふふ、そうね。(含み笑いしながら)
城までお供して頂こうかしら。 お茶会が終わるまでに戻れば大丈夫よ。
さあ、騎士様、参りましょう。

(間。城まで帰る途中)

…待って…!(騎士に抱きつく)

ごめんなさい。 いけないと わかっています。
少しだけ、このままでいさせて。
もう少しだけ…。

(跪いた騎士から手の甲にキスを受けて)
ありがとう。 わたくしもあなたのことを大切に思っています。
それだけは忘れないで。

この国を守るために、わたくしは喜んでこの身を捧げます。
ですから、あなたもあなたの道を歩んでください。

…どうかご武運を。

【Scene1 おわり】

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■【Scene2.姫の命】
(戦火に包まれる城の中で身を隠す姫。助けを呼ぶ)
誰かー! 誰か!
わたくしは…無事です!!
ここです! ここににおります!

(騎士が助けに来る)
…良かった…。
助けに来てくれたのね。

…待って!
お父様、お母様は…?

…そうですか。
皆…死んでしまった。
わたくしのせいでこんなことに。

婚儀の計画は順調に進んでおりました。
王室の親睦も深められました。 これから長い平和が約束されるはずだったのです。
それなのに、わたくしは国の架け橋にはなれませんでした。 戦争の火種になってしまった。
この国を守れなかったのは わたくしのせいです。

わかっています! 嘆いている時間はありません。
ですが…祖国を破滅に追いやった姫など生きている価値がありましょうか!?

(騎士を振り払う)
離しなさい!

(泣き崩れる)
…ごめんなさい。
もうどうしていいかわからないの。
全て壊れてしまった。 生きる目的も見失ってしまったの。

城と共に潔く死のうかと思いました。
でも、簡単に自分の命を投げ出すことが出来なかった。
情けない姿を見せて…ごめんなさい。
それでも あなたは わたくしを助けたいと…?

…わかりました。 この命あなたに預けます。
騎士様、わたくしを導いてください。

(間。場面転換)

(城脱出してしばらくたった頃、一晩を過ごす小屋を発見し、中に入る)

やっと…着いた…。
ここなら…もう安全かしら…?
良かった…。 ありがとう……(どさっと倒れる)

【Scene2 おわり】

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■【Scene3.叶わぬ恋のゆくえ 】

(目を覚ます)
…ん?

…眠ってしまったのね。 急いで逃げなきゃいけない時にごめんなさい。
もう大丈夫よ。 すぐに出発しましょう。

今夜は、この小屋で…?
夜に動くのは危険なのですね。
わかりました。 それなら、あなたも休みなさい。

(「外で見張りをしていますので」と立ち去ろうとする騎士に対して)
いけません。
これは命令です。 わたくしの隣に居なさい。

…怖いのです。 1人にしないで…。

…良かった。 あなたが居てくれると安心するの。

…覚えていますか?
子供の頃、2人で一晩過ごしたこと。
城の用水路を冒険しましたね。
あなたは「やめよう」って止めたけど、わたくしが無理やり連れて行って…、
結局夕方までに戻れなくて大騒ぎになりましたね。

うふふふ…。(思い出し笑い)

(むっとする騎士に対して)
ごめんなさい。
だって、ずっとお城にいるのが退屈だったんですもの。
お仕置きされたのはあなただけじゃないのよ。
ええ。 わたくしだって、1ヶ月お部屋に軟禁されていたの。 本当にお姫様でいるのは大変なのよ。

(思い出し笑いをして)
…不思議ね。 また一緒に居られる日が来るなんて思わなかったわ。
…あの頃に戻ったみたい。

後悔していること?
あなたが「もう会いたくない」って言った時のことかしら?

気にしないで。 本心じゃないとわかっているから…。
でも、悲しくてしょうがなかったわ。
大きくなったら皆 わたくしから離れていったわ。
昔のように気軽に会えなくなって。 誰も本音を言ってくれない。
それは、あなたもね。

だから、わたくしから会いにくのよ。 そうしたら驚いて話しかけてくれる。
それが会いにいく理由。 …ずっとあなたとお喋りしたかったの。
今はすごく嬉しいのです。


(「俺のことどう思っているのですか?」と聞く騎士に対して)
…あなたのことは…。 ふふふ。(含み笑い)
それは わたくしから先に答えることでしょうか?

意地悪だなんて..。.
祖国を失った今、わたくしはもうお姫様ではありません。
最後くらい気高いお姫様で居させてください。
先にあなたの言葉が聞きたいわ。

(騎士からの告白を受けて)
わたくしもあなたのことをとても愛おしく思っています。

(驚く騎士に対して答える。一人称が「わたし」に変わる)
あなたがいいの。 小さい頃から、ずっと想っていました。
あなたしか知らなかったから。 他の男の人なんて考えられなかった。

これは夢じゃないの。
…愛してる。

(迫る騎士に対して恥ずかしがる)
恥ずかしいわ。
…こんな顔で見つめられるの…初めてなの…。

《軽くキス》(省略可)

あなたと気持ちが通じ合えて嬉しい。

もう、わたしはあなただけのものよ。
わたしの全部を見て。
全部あなたのものにして欲しい…。


【Scene3 おわり】
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【男性向け/全年齢】王宮騎士と亡国の姫君
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
さわな
ライター情報
 シチュエーションボイス、ボイスドラマ、声劇の台本を書いています。
 2016年10月30日より台本創作活動開始。
 男性向け台本はご好評頂き、DLsite販売作品の執筆経験あり。
 約2年間ボイスドラマサークルで声劇台本の制作をしていました。
 ドラマチックな物語、感情表現豊かな台詞、緻密な構成を得意としています。
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