- お姫様
- 歴史
- 戦国時代
公開日2021年06月05日 18:00
更新日2022年03月11日 13:50
文字数
1066文字(約 3分34秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
姫
視聴者役柄
御屋形様
場所
お城のお座敷
あらすじ
【タイトル】我が身を拾った御方様
【ジャンル】男性向けシチュエーションボイス(女声読み/全年齢向け)
【時間】5分程度(約1000字)
【あらすじ】世は戦国時代。没落した大名家の姫君は、攻め込んできた敵方に引き取られる。頑なに心を許さない姫君。御屋形様(おやかたさま)の寵愛を受け徐々に心を開いていき……
御屋形様:守護大名のお殿様に対する呼び名。屋形号に由来があるということで、“屋形”の綴りを用いました。御館様も同じ意味だそう。
【特記事項】
・古典的な言い回しにしています。
・現代語への変更可能です。(極度に砕けた言葉遣いなど、作品の雰囲気や持ち味を壊すような表現への変更だけはお控えください)
【ジャンル】男性向けシチュエーションボイス(女声読み/全年齢向け)
【時間】5分程度(約1000字)
【あらすじ】世は戦国時代。没落した大名家の姫君は、攻め込んできた敵方に引き取られる。頑なに心を許さない姫君。御屋形様(おやかたさま)の寵愛を受け徐々に心を開いていき……
御屋形様:守護大名のお殿様に対する呼び名。屋形号に由来があるということで、“屋形”の綴りを用いました。御館様も同じ意味だそう。
【特記事項】
・古典的な言い回しにしています。
・現代語への変更可能です。(極度に砕けた言葉遣いなど、作品の雰囲気や持ち味を壊すような表現への変更だけはお控えください)
本編
詳しい設定や台本に関する情報は概要欄(キャプション)をご覧ください。
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我が身を拾った御方(おかた)様
【台本】
(運ばれてきた食事を拒否。相手を無視して窓の外を眺める)
食べたく……ありません。
ですから……要らぬと申しているではありませんか!
今はそのような気分ではないのです。
わたくしは……大事ありません。
はい。なんでしょうか。
庭から見える……藤の花を見ていました。
しばらく眺めていても飽きることはありません。
……亡き母を思い出すのです。
藤の花は母が好んでおりました。わたくしの城にも藤の花が植えてあり、母が手入れをしていたのです。それを眺めるのがささやかな安らぎでした。
あの……、
わたくしからも……よろしいでしょうか。
何故(なにゆえ)、わたくしのような不躾者(ぶしつけもの)を奥方に迎えるのでございますか?
不服など……そんな、畏(おそ)れ多い。
わたくしは……戦(いくさ)に敗れた大名の姫にございます。
貴方様のお父上とわたくしの父は互いの首を狙って刀を合わせた間柄。
わたくしたちは敵(かたき)同士なのです。
かような女を妻になど……
正気(しょうき)ですか?
ええ、もちろん。
貴方様のお心は存じております。
誠に驚きました。
本気でこのお方はわたくしを奥方に迎える気であると……
寝床に女中(じょちゅう)を置くなど……刀を出す隙もないではありませんか……
これでは自害もできませぬ。
わたくしこそ、正気です!
死ぬ覚悟でした。
落城(らくじょう)した時、覚悟はできておりました。
手籠(てご)めにされることも、殺されることも、とうに覚悟していたのです。
これが乱世に生まれた女子(おなご)の定めにございます。
生き恥を晒すくらいなら己(おの)が命を断つと決めておりました。
されど……
貴方様はお優しすぎる……
暖かい寝床に飯(めし)に、手厚くわたくしを迎え入れてくださった。
この城の皆様も大切に扱ってくださった。
情けをかけられて尚、わたくしは心が揺れているのでございます。
すでに終わったはずの命が惜しいのでございます。
次の年も藤の花が見たい……
かように意地汚いないことを……思うていたのでございます。
わたくしは……まだ生きていてもよろしいのでしょうか。
御屋形(おやかた)様と共に乱世を生きてもよろしいのでしょうか。
(暖かい言葉に頑なだった心が解ける)
御屋形様……。
これまでのご無礼をお許しください。
そのお心、痛み入ります。
誠に感謝申し上げます。
…はい。喜んで。ついて参りますとも。
御屋形様に拾っていただいたこの命。
大切に致します。
生きて……生きて、わたくしから感謝の念をお返しさせてください。
無礼者でございますが、何卒よろしくお願いし申し上げます。
……お慕いしております。御屋形様……。
【おわり】
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我が身を拾った御方(おかた)様
【台本】
(運ばれてきた食事を拒否。相手を無視して窓の外を眺める)
食べたく……ありません。
ですから……要らぬと申しているではありませんか!
今はそのような気分ではないのです。
わたくしは……大事ありません。
はい。なんでしょうか。
庭から見える……藤の花を見ていました。
しばらく眺めていても飽きることはありません。
……亡き母を思い出すのです。
藤の花は母が好んでおりました。わたくしの城にも藤の花が植えてあり、母が手入れをしていたのです。それを眺めるのがささやかな安らぎでした。
あの……、
わたくしからも……よろしいでしょうか。
何故(なにゆえ)、わたくしのような不躾者(ぶしつけもの)を奥方に迎えるのでございますか?
不服など……そんな、畏(おそ)れ多い。
わたくしは……戦(いくさ)に敗れた大名の姫にございます。
貴方様のお父上とわたくしの父は互いの首を狙って刀を合わせた間柄。
わたくしたちは敵(かたき)同士なのです。
かような女を妻になど……
正気(しょうき)ですか?
ええ、もちろん。
貴方様のお心は存じております。
誠に驚きました。
本気でこのお方はわたくしを奥方に迎える気であると……
寝床に女中(じょちゅう)を置くなど……刀を出す隙もないではありませんか……
これでは自害もできませぬ。
わたくしこそ、正気です!
死ぬ覚悟でした。
落城(らくじょう)した時、覚悟はできておりました。
手籠(てご)めにされることも、殺されることも、とうに覚悟していたのです。
これが乱世に生まれた女子(おなご)の定めにございます。
生き恥を晒すくらいなら己(おの)が命を断つと決めておりました。
されど……
貴方様はお優しすぎる……
暖かい寝床に飯(めし)に、手厚くわたくしを迎え入れてくださった。
この城の皆様も大切に扱ってくださった。
情けをかけられて尚、わたくしは心が揺れているのでございます。
すでに終わったはずの命が惜しいのでございます。
次の年も藤の花が見たい……
かように意地汚いないことを……思うていたのでございます。
わたくしは……まだ生きていてもよろしいのでしょうか。
御屋形(おやかた)様と共に乱世を生きてもよろしいのでしょうか。
(暖かい言葉に頑なだった心が解ける)
御屋形様……。
これまでのご無礼をお許しください。
そのお心、痛み入ります。
誠に感謝申し上げます。
…はい。喜んで。ついて参りますとも。
御屋形様に拾っていただいたこの命。
大切に致します。
生きて……生きて、わたくしから感謝の念をお返しさせてください。
無礼者でございますが、何卒よろしくお願いし申し上げます。
……お慕いしております。御屋形様……。
【おわり】
クレジット
ライター情報
シチュエーションボイス、ボイスドラマ、声劇の台本を書いています。
2016年10月30日より台本創作活動開始。
男性向け台本はご好評頂き、DLsite販売作品の執筆経験あり。
約2年間ボイスドラマサークルで声劇台本の制作をしていました。
ドラマチックな物語、感情表現豊かな台詞、緻密な構成を得意としています。
2016年10月30日より台本創作活動開始。
男性向け台本はご好評頂き、DLsite販売作品の執筆経験あり。
約2年間ボイスドラマサークルで声劇台本の制作をしていました。
ドラマチックな物語、感情表現豊かな台詞、緻密な構成を得意としています。
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作者名のクレジットをお願いいたします。
事前連絡・事後連絡ともに必須ではございませんが、励みになりますのでお知らせくださると嬉しいです。
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