「大人になったら付き合う」
そんな約束をしたと言う年下の女の子とのお話…


と見せかけて、その女の子は昔にその光景を遠目から見ていただけの別の女の子でした。
しかし、彼女の愛は本物です。

というお話です。

お兄さん…

ちょっと待って、そこのお兄さん…！

そうですそうです、あなたですよ…！

私はこの日をずっと、待ちわびてたんですから！

え…誰って…

ほら私ですよ、昔お兄さんによく遊んでもらった近所の…

えぇー、覚えてないんですか？

私はずっと、この日を楽しみにしてたのに…

ほんとに覚えてないんですか…？

だってあの時、お兄さん言ったじゃないですかー

私が働けるくらい大人になったら、付き合ってくれるって

今、時間…日曜日ですし大丈夫ですよね？とりあえずお茶しましょうよー！

ねっ、いいでしょ？

ちょうどそこに、凄く良いカフェがあるんです！

ね！ね！

ちょっとだけなら…？やった！

-

んんー、やっぱりここのコーヒーは美味しいですねっ！

ここのお店はオーナーさんがコーヒーに凄く真剣な方で
お菓子とかは一切提供せず、こだわりぬいた絶品コーヒーだけを提供してるんです

詳しすぎないかって？

私、今ライターをやっているので、お兄さんの知らないようなことたくさん…

いや、もう　なんでも！　知ってるんですよ(笑)

そうだ、コーヒーと言えば

昔おままごとみたいな感じで、一緒に公園でコーヒー屋さんをしたの覚えていませんか？

お兄さんがコーヒーを作って、私はお兄さんが作るコーヒーに合うお菓子を！

そうですそうです！あの時はコーヒーと……砂で作ったお団子！！笑

あ、やっと思い出してくれましたか？

遅いですよ、ほんとにー！

で…思い出してくれましたか？

私が働けるくらい大人になったら、付き合ってくれるって約束！

え…今は彼女がいるからダメ…？

でもお兄さん…、今彼女いないじゃないですか

1週間前に彼女さんから一方的振られて、別れてますよね

なんで知ってるんだ…？

えっと…私、職業柄、気になったことはなんでも調べちゃって、人づてに色々なお話も耳にするので…

ごめんなさい…デリカシーがなかったですよね

でも、ダメってことは

まだ、彼女さんのこと忘れられないんですか…？

確かに、8か月も付き合ってたら思い出も沢山ありますよね…

それなのに急に、付き合ってなんて

そんな気持ちなれませんよね…

でも、これだけは言わせてください

私だったらお兄さんのこと絶対に裏切りません…

悲しい気持ちにも、寂しい気持ちにも絶対させません…

だって、あの日からずっとお兄さんこと想っていたんですから…

-

ごちそうさまでした

私が誘っちゃったのに、本当ありがとうございます

お兄さん…この後もし良かったら、本当にちょっとだけでいいので

私の家に来てくれませんか？

ここからすごく近いんです

コーヒーを奢ってもらったお礼もしたいですし…

-

どうぞどうぞ、座ってください

お返しと言ってはなんですけど…これを…

はい、チョコです！

さっきのお店でこっそり買っちゃいました

ってことで…

はい、お兄さんにはこの美味しそうな生チョコを！

私はこっちの少し崩れちゃってるチョコを頂きますね！

どうですか？美味しいですか？

美味しいですよね…そんなに目をとろんとさせちゃって…


どうですか…？私が作った睡眠薬入りのチョコは…


お兄さん苦いほうが好きだから、味は結構こだわったつもりなんですが

ってもう聞こえてませんよね…

もうお兄さんのことを悲しませるような女なんかには、お兄さんのこと絶対に渡しません…

私だけがずっと、お兄さんの傍に…

私だけがずっと、お兄さんと一緒に過ごすの…

あの日…、公園で私と同じくらいの子と

楽しそうにお話してるお兄さんを見たあの日

一目でお兄さんのこと好きになりました

あの時の私は内気で臆病で、遠くから眺めてることしかできなかった…

あの子が本当に羨ましかった…

今もまだ、弱くてずるい私で…

騙して本当にごめんなさい…

私はお兄さんと約束なんてしたことないし

お話するのも今日が初めて…

でもね、私はあの子と違って

ずっとずっと、お兄さんのこと見てました…

ずっとずっと、お兄さんのこと…好きでした

こんなずるいやり方しかできないけど

私は誰よりもお兄さんのことを知ってるから…

だから、あの子とは違う

お兄さんのことが大好きな

本当の私のこの気持ちに

いつか気づいてくれたらいいな…

・台本（ゆるボイ！）
見覚えのない年下女子からデートに誘われて
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
なな