- 耳かき
- 女騎士
公開日2021年09月10日 00:09
更新日2021年09月10日 00:11
文字数
5717文字(約 19分4秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
女騎士
視聴者役柄
わるい勇者
場所
洞窟の拠点
あらすじ
あなたは悪党で国が差し向けた追手である女騎士を倒し捕虜にしました。
部下の命をトレードオフに、あなたは彼女に耳かきするようにお願いします。
◇◆◇
pixiv( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13106726 ) からの転載です。
綿棒を用いたASMRです。ちょっと長めな音声なので、ご利用の際はお覚悟を。
部下の命をトレードオフに、あなたは彼女に耳かきするようにお願いします。
◇◆◇
pixiv( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13106726 ) からの転載です。
綿棒を用いたASMRです。ちょっと長めな音声なので、ご利用の際はお覚悟を。
本編
くっ……私を、捕まえても何も吐くことはないぞ……。
剣や魔法でお前に、負けたからといって、私の心が折れたわけではない。
部下と弟の仇であるお前に、媚びて尻尾を振ることなどない!!
殺せ……!! 今すぐに……っ 殺せぇ!!
*SE:地面に倒れる音。
うう……私は、なんて不甲斐ないのだ。
父様、母様、お許しください……
分かっているさ……。
貴様は、あろうことか王国最強の騎士である私を倒したのだ。
最早、貴様を倒せる戦士はいない。
私を救うことができるものは、この国には居ない。
なら、せめて……舌を噛み切って死んでやる……!!
って、何故止める!? せめて、辱めずに殺せ!!
*一拍置いて
は……?
な、なんだと……私が死を選ぶなら……
捕虜として捕らえた部下の騎士たちに最大限の苦痛と辱めを与えて殺す!?
お、おま、お前には……人の心という物はないのか!?
クズ、ゴミ、外道ぉ!?
そこまでして、私を苦しめて何になるんだ……!?
前世と今世で二回連続、女騎士に親でも殺されのたか……
ああ、いいだろう。
こうなったらヤケだ。
させてみたいことの一つでも言ってみろ!!
だが、手足の一本を砕かれようと、犯しぬかれようと……私が貴様に心奪われることなどない!!
最初から最後まで嫌悪の視線だけを、向け続けてやるからなっ。
ばーか、ばーか
ばーーか!!
は……え、なんだと?
態度はそのままでいいから、耳かきをしろ?
……耳かきってあれか?
東方のエルフ共以外やらないアレか?
私が博識でよかったな!!
耳かきという単語、意味を理解している人間は、間違いなくこの国に両手の数ほどいないだろう……
にしても、お前は馬鹿か!?
言うに事を欠いて女騎士にやらせるのが、耳かきか!!
酔狂にもほどがある……っ、うう、分かった。
わかったから……ちょっと心の準備をさせろ!!
*SE:膝に頭を乗せる音。
まさか、私が……鎧を脱いで……
殆ど紐の水着一着で男の頭を膝に乗せるとは思っていなかった。
くそぉ、屈辱だ……
が、思いのほか収まりがいいな、お前の頭。
結構好みの顏だぞ。
金だけが取り柄の貴族連中にはいない顔つきで、好感が持てる。
というか、お前、思いのほか臭くないな。
あれだけの死闘の後にも関わらず、いい匂いがするぞ。
なんだと?
今日、私を倒し耳かきをさせるために、このアジトに作った温泉と滝で、体を禊いできただと!?
よ、用意周到な奴め……これで、達人な上に、稀代の悪人なのだから余計に質が悪い。
それで、道具は用意してあるんだろうな?
当然だが、私は耳かきなんて、やったこともないぞ。
当然、道具なんて持ち歩いていない……
……なんだと、上質な綿を巻きつけた棒に、これは、水鳥の羽毛?
国に二つとない高級品を揃えるなんて……
悔しいが、全てはこの馬鹿の掌の上だったというのか。
……ああ、すまん。自らが置かれた境遇に絶望していたところだ。
とりあえず、耳かきだったな。
何分やったことがないから、あんまり期待するなよ。
私は女らしい事は……
まぁテーブルマナーと、お洒落くらいしかしらんからな。
*SE:頭を左に倒す音
むぅ……耳の中、見えないぞ。
さすがに、このアジトの中が暗いというのもあるが‥…
なに?
こういう時のために暗視と透視魔術を使えだと?
お前……こういう時だけ、頭がいいな。
くそぉ、良く見える……これなら 行けそうだ。
*SE:綿棒で耳かき(耳の入り口)
なんというか、まぁ汚いな。
擦れば擦るほど、耳垢が出てくる。
……わざと貯めてたのか? 大分大きい塊があるぞ。
耳の中など始めてみたが、まー汚いな……それは、耳かきの一つもされたくなるものだ。
しかし、耳かきか……
正直力を入れずに擦るだけで汚れが取れるこの快感。
これは、……掃除だな。
鎧兜の錆落としをしている気分になる。
あの作業、面倒だが、嫌いにはなれないんだよな……。
分かるかぁ! 分かるよなー!!。
だが、従者や爺やに任せると何となく負けた気分になるんだよ。
やっぱり、自分の身だしなみくらいは、自ら整えたいものだ……
この耳は、やりがいとしては特選だが、マナーとしては落第だ。
もしお前が私の部下ならば、己の武器や防具くらい己で磨けと叱っている所だ。
……が、お前の気持ちも、分からんでもないぞ。
*SE:綿棒で耳かき(入り口、右側)、おわり
しかし、この棒はゴミが散逸するな。
かき集めるのも面倒だし……。
なんだと? 綿棒を濡らせ?
最下級の水属性魔術で湿潤させ……あー。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(入り口、右側)
くそぉ……考えるのが、器用な奴め。
確かに綿棒は濡らせば、汚れを浮かせる。
ふん、精々。気持ちよさに浸っているがいい。
私は、虎視眈々とお前の油断する瞬間を待ち続けるだけだ。
*30秒吐息のみ
気づいたが……私が今この瞬間、お前の耳にこの棒を突き刺したらどうつもりだったのだ?
……その前に私の手足を千切って止め、内臓を引き出したうえ、部下を私の前で嬲り殺してやる?
き、鬼畜な。
魔界の悪鬼ですらもう少し加減をするぞ。
それにしても、お前、本当はどれだけ強いのだ……?
お前は素手な上に……無防備に寝て、表情まで蕩けて…‥‥
え……え!? ひいっ!?
なんだ、その闘気は……やめろぉ。
怖気が走るどころか、身体が明確な恐怖を訴えるなんて、生まれて初めてだ!!
降参、降参だ!! そんな闘気だけで、私に走馬燈を見せるような真似は止めろ……
耳かきどころじゃなくなるから、止めてよぉ!!
もー、ほんとにこの場で泣きわめくぞ!!
くそぉ……恨めしい事だ。
お前のように常識の埒外である英雄が、悪党という事実が恨めしい。
私だって、お前が弟の仇でなければ……
もう少し敬意とか持って、接してやる気にもなるというのに。
へ……?
*一拍おいて
なんだと? 私の弟が生きているだと!?
*SE:濡れ綿棒で耳かき(入り口、右側)おわり。
な、何を言っているんだ。嘘じゃないだろうな!?
一年前、お前が王国に追われるようになった理由だぞ!?
詳しく、詳しく聞かせ……って
また、その肌がひっくり返るような殺気を発するのはやめろぉ!!
認める、認めるから!!
私は精々、か弱い飼い犬です!!
お前のような天然の獅子と相対して耐えられるほど、強い子じゃないんですぅ!!
そんな、圧倒的な実力差でマウントを取ってくるなよぉ……
そう何度もやられると……生きてることに絶望してしまう・
お前に止められることが分かっていても、この棒で自分の耳を貫いて死にたくなるんだ……。
なんだと……
耳奥を上手く掃除出来たら、話してやる?
そ、それは本当だな?
あ、飴と鞭の使い分けが上手い奴め。
いいだろう……やってやる。
私の腕前を、とくと味わうがいい……
*SE:濡れ綿棒で耳かき(奥の方)
ほぉら……どうだ?
こんなかんじで、出来るだけ力を入れずに
それでいて面積を押し付けて拭う感じがいいんだろう?
ほら、カリカリと耳奥の垢をまとめて、とってやろう。
うむ、まぁそれほど難しい話ではないな。
王立騎士団の騎士団長である私だ。
この程度の仕事は訳ないさ。
しかし、何というか、私が耳かきをするっていうのは…‥はぁ。
勇者にゴブリン退治をさせたり、側溝の掃除に王家の宝剣を持ち出すかのような蛮行だな……。
ふふ、どうだ、気持ちいいか?
剣では一切勝てない相手であるはずのお前が、そう、緩んだ顔になっていくのは悪くない気分だ。
お前の表情がどんどんと緩んでいくのが分かるぞ……うむ。
優越感に浸れるだけでなく、汚れたものを綺麗にしていくのはな……。
その、性分に合っている。
耳かきは東方の蛮行だと馬鹿にしていたが、機会があれば部下にも、やってやりたかったものだ。
弟にも……
うん、言うな。
目元が潤むと手元に万が一が起きるかもしれない。
私もお前からの評価が、そんな間抜けなミスで下がるのは耐えられん。
すこし、黙る……
*SE:30秒すすり泣きのみ。
どうだ、悪党め。
下手な端女じゃ一生たどり着けない出来栄えだ。
高級志向の御眼鏡には叶ったか?
国王の姪である私より地位が高い女性は、実は今国内には王の后様を除けばいないぞ。
腕前においては、ふふ。
私があの方に負ける気はしないがな。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(奥の方)、おわり。
残りの耳垢もほとんどないぞ。
ああ、そうだ。これを使ってやる。
*SE:梵天(右側)
なんだ、私を誰だと思っている?
この程度の道具の使い方、スキルなど使わなくても類推できる。
こうやって、耳の中で回して埃を払うんだろう?
なるほど、なるほど
適切な道具は単純な用途で効果的な仕事をしてくれる。
この梵天という道具は、好きになれそうだぞ。
*SE:梵天おわり
……なぁ、もういいだろう?
弟の、弟がどうなったのか、私に話してくれ!!
*SE:頭を右に倒す音。
な、なるほど。
左の耳かきをしながら話すということか
だが、この姿勢は……
うん。お前に、文句は言えん……な。
どうだ私の鼠径部は見ていて楽しいか?
この傷一つのない肌は、私の誇りだ。
精々、お前だけが私が綺麗であった最後の瞬間を覚えておくがいいさ。
うむ、いたたまれんな。
耳かき、始めるぞ……ちゃんと話せよ。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(入り口、左側)
*1分吐息のみ
*涙声で
弟は……弟は、生きていたのか。
あの騒乱において、そんなことがあったとはな。
『騎士として、邪道に堕ちようとも、人として正道を貫きたい』だと……
『奉じるべき刃の在処を見つけた』と盃を交わし、今はお前の軍師になっているだと!?
私と直掩の騎士、軍団までもを個別に分断する。
あの妙策を軽々と実行したのが……まさか私の弟だとはな……
おねえちゃん、うれしかったけど……
そうならそうって、速くいってほしかったな……(鼻を啜る音)
何を笑う!!
信じろと言われて信じられることではない!!
お前たちがやっていることは、誇るべき正義だったんだぞ!!
なぜもっと、早くに、お前は自らの善行を公表しなかったのだ。
沈黙が美徳なのは、宗教と後宮の中だけだ……
ああくそ、お前らの最大の悪名と呼ばれた大公猊下の暗殺が、実際は悪臣の討伐だったとは……
大公猊下が自らの領民を虐げて……
あろうことか異種族を人身売買していただと……
これが、お前らがまとめた数多の証拠と共に公表されれば……
お前らは少なくとも、王国の民に匪賊と蔑まれることはなかったのだぞ…‥!?
*10秒無言
なんだと……それでは国王と、真の敵の繋がりを立証できない……だと?
お前は何を言っているんだ。
というか、今までの活動の実体といい、お、お前は、何を目的に戦っているのだ。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(入り口、左側)おわり
……ま、魔王だと!?
国家を超えて、人類を貶める魔。
人の世の中に潜む真の敵を逃がさぬためだと!?
それを倒すために、お前は、天命を得て……「勇者」として悪党をやっているだと!?
やめてくれ!!
そう何度も、神への信仰が揺らぐようなことをいうのは!?
うわーん!!
そんなの私じゃ天地がひっくり返っても、勝てるわけないじゃないか。
それにお前という勇者に刃を向けたという事実もぉ
お前みたいな馬鹿が勇者だったという事実もぉ!!
どれもこれも、私にはショックが大きすぎる……。
な、なぁ!! せめて私に、挽回の機会をくれ!!
私をお前の軍団に加えろ!!
最悪、歩兵でもいいぞ!!
お前ほどじゃないが、個人として強いし……かわいいし?
弟ほどじゃないが、軍略もできるぞ!!
それに、私は腐っても王族だ!!
自慢じゃないがなぁ、この国において
私は大分、評価も人望もあるつもりだぞ!!
それに、血縁的には殆ど姫だ!!
国内唯一の姫騎士だぞ!!
私を戦場に出すだけでも、大義名分くらいにはなるからぁ……ねぇ、おねがい!!
わ、わめくなだと……く、くそぉ、分かってはいるさ
だがなぁ!!
この国難の中で、己だけ何もできないなんて、耐えれないから!!
使えよ!! 私は本当に、有能なんだぞ……えーん!!
*一拍置いて
へ……耳奥の掃除が、また上手かったら考えてやるだと?
わ、わかった……じゃあ、始めるぞ。動くなよ。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(奥の方)、可能な限り必死に。
*30秒、吐息のみ。
……黙れ、勇者め。
お前は、私の胸でも見ているがいい。
男なんて、どうせ巨乳が好きなんだろ。
触りたいんだろ? 埋もれたいんだろ?
勝手に妄想していろ……
それで、お前が動きを止めるなら、手段を問わず利用してやる。
お前がいくら屑だろうと、悪党だろうと、勇者だろうと……今は関係ない。
私が、したいことの、ためには、これが、一番の近道だからな……
どうだ? 気持ちいいだろう?
ふふ、耳かきの道は一日にしてならずだが、武の本質を悟っている私なら話は別だ。
日頃から、行為の本質に迫る修行をしているのだ。
上達速度は人一倍だ。
貴様の耳を満足させるなど造作もない。
その上、幾等でも上手くなってやる……。
剣だって、魔術だって、軍略だって、幾等でも極めてやる。
だから、私を選ばないなんて、お願いだから言わないでくれ……。
*30秒無言
*SE:濡れ綿棒で耳かき(奥の方)、おわり。
……どうだ?
自分が力で屈服させた相手に、心からの奉仕させた気分は。
きっと、極楽だろうな。
私が無様に媚びるさまを見るのは、楽しかったか?
私の温もりと奉仕は、お前の心に少しでも響いたか?
もう、舌を噛む気すら失せた。
あとは、お前の判断に任せる。
……ついでだ
こっちの耳も梵天をやってやろう。
*SE:梵天(左側)
……お前を見ていると、弟を思い出す。
二人が気が合うというのも、何となくわかる気がするな。
あいつは元気か?
もし私が弟と会えないなら、せめて将として讃えていたと伝えてくれ。
うん。
しみったれた話は終わりだ。
*SE:梵天(左側)おわり
はぁ……終わってみれば、何ということはなかったな。
耳かきのことも、お前のことも、悪くはないという印象だが……
最初から最後まで嫌悪の視線だけは、向け続けてしまったな。
終ぞ私の心は屈しなかった、お前にその気がなかっただけ――だがな。
それで、どうだ。
私を軍団に加える気にはなったか?
*一拍置いて
お前と言う奴は、本当に底抜けの馬鹿だな。
まぁ、もう……どうでもいいことか。
剣や魔法でお前に、負けたからといって、私の心が折れたわけではない。
部下と弟の仇であるお前に、媚びて尻尾を振ることなどない!!
殺せ……!! 今すぐに……っ 殺せぇ!!
*SE:地面に倒れる音。
うう……私は、なんて不甲斐ないのだ。
父様、母様、お許しください……
分かっているさ……。
貴様は、あろうことか王国最強の騎士である私を倒したのだ。
最早、貴様を倒せる戦士はいない。
私を救うことができるものは、この国には居ない。
なら、せめて……舌を噛み切って死んでやる……!!
って、何故止める!? せめて、辱めずに殺せ!!
*一拍置いて
は……?
な、なんだと……私が死を選ぶなら……
捕虜として捕らえた部下の騎士たちに最大限の苦痛と辱めを与えて殺す!?
お、おま、お前には……人の心という物はないのか!?
クズ、ゴミ、外道ぉ!?
そこまでして、私を苦しめて何になるんだ……!?
前世と今世で二回連続、女騎士に親でも殺されのたか……
ああ、いいだろう。
こうなったらヤケだ。
させてみたいことの一つでも言ってみろ!!
だが、手足の一本を砕かれようと、犯しぬかれようと……私が貴様に心奪われることなどない!!
最初から最後まで嫌悪の視線だけを、向け続けてやるからなっ。
ばーか、ばーか
ばーーか!!
は……え、なんだと?
態度はそのままでいいから、耳かきをしろ?
……耳かきってあれか?
東方のエルフ共以外やらないアレか?
私が博識でよかったな!!
耳かきという単語、意味を理解している人間は、間違いなくこの国に両手の数ほどいないだろう……
にしても、お前は馬鹿か!?
言うに事を欠いて女騎士にやらせるのが、耳かきか!!
酔狂にもほどがある……っ、うう、分かった。
わかったから……ちょっと心の準備をさせろ!!
*SE:膝に頭を乗せる音。
まさか、私が……鎧を脱いで……
殆ど紐の水着一着で男の頭を膝に乗せるとは思っていなかった。
くそぉ、屈辱だ……
が、思いのほか収まりがいいな、お前の頭。
結構好みの顏だぞ。
金だけが取り柄の貴族連中にはいない顔つきで、好感が持てる。
というか、お前、思いのほか臭くないな。
あれだけの死闘の後にも関わらず、いい匂いがするぞ。
なんだと?
今日、私を倒し耳かきをさせるために、このアジトに作った温泉と滝で、体を禊いできただと!?
よ、用意周到な奴め……これで、達人な上に、稀代の悪人なのだから余計に質が悪い。
それで、道具は用意してあるんだろうな?
当然だが、私は耳かきなんて、やったこともないぞ。
当然、道具なんて持ち歩いていない……
……なんだと、上質な綿を巻きつけた棒に、これは、水鳥の羽毛?
国に二つとない高級品を揃えるなんて……
悔しいが、全てはこの馬鹿の掌の上だったというのか。
……ああ、すまん。自らが置かれた境遇に絶望していたところだ。
とりあえず、耳かきだったな。
何分やったことがないから、あんまり期待するなよ。
私は女らしい事は……
まぁテーブルマナーと、お洒落くらいしかしらんからな。
*SE:頭を左に倒す音
むぅ……耳の中、見えないぞ。
さすがに、このアジトの中が暗いというのもあるが‥…
なに?
こういう時のために暗視と透視魔術を使えだと?
お前……こういう時だけ、頭がいいな。
くそぉ、良く見える……これなら 行けそうだ。
*SE:綿棒で耳かき(耳の入り口)
なんというか、まぁ汚いな。
擦れば擦るほど、耳垢が出てくる。
……わざと貯めてたのか? 大分大きい塊があるぞ。
耳の中など始めてみたが、まー汚いな……それは、耳かきの一つもされたくなるものだ。
しかし、耳かきか……
正直力を入れずに擦るだけで汚れが取れるこの快感。
これは、……掃除だな。
鎧兜の錆落としをしている気分になる。
あの作業、面倒だが、嫌いにはなれないんだよな……。
分かるかぁ! 分かるよなー!!。
だが、従者や爺やに任せると何となく負けた気分になるんだよ。
やっぱり、自分の身だしなみくらいは、自ら整えたいものだ……
この耳は、やりがいとしては特選だが、マナーとしては落第だ。
もしお前が私の部下ならば、己の武器や防具くらい己で磨けと叱っている所だ。
……が、お前の気持ちも、分からんでもないぞ。
*SE:綿棒で耳かき(入り口、右側)、おわり
しかし、この棒はゴミが散逸するな。
かき集めるのも面倒だし……。
なんだと? 綿棒を濡らせ?
最下級の水属性魔術で湿潤させ……あー。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(入り口、右側)
くそぉ……考えるのが、器用な奴め。
確かに綿棒は濡らせば、汚れを浮かせる。
ふん、精々。気持ちよさに浸っているがいい。
私は、虎視眈々とお前の油断する瞬間を待ち続けるだけだ。
*30秒吐息のみ
気づいたが……私が今この瞬間、お前の耳にこの棒を突き刺したらどうつもりだったのだ?
……その前に私の手足を千切って止め、内臓を引き出したうえ、部下を私の前で嬲り殺してやる?
き、鬼畜な。
魔界の悪鬼ですらもう少し加減をするぞ。
それにしても、お前、本当はどれだけ強いのだ……?
お前は素手な上に……無防備に寝て、表情まで蕩けて…‥‥
え……え!? ひいっ!?
なんだ、その闘気は……やめろぉ。
怖気が走るどころか、身体が明確な恐怖を訴えるなんて、生まれて初めてだ!!
降参、降参だ!! そんな闘気だけで、私に走馬燈を見せるような真似は止めろ……
耳かきどころじゃなくなるから、止めてよぉ!!
もー、ほんとにこの場で泣きわめくぞ!!
くそぉ……恨めしい事だ。
お前のように常識の埒外である英雄が、悪党という事実が恨めしい。
私だって、お前が弟の仇でなければ……
もう少し敬意とか持って、接してやる気にもなるというのに。
へ……?
*一拍おいて
なんだと? 私の弟が生きているだと!?
*SE:濡れ綿棒で耳かき(入り口、右側)おわり。
な、何を言っているんだ。嘘じゃないだろうな!?
一年前、お前が王国に追われるようになった理由だぞ!?
詳しく、詳しく聞かせ……って
また、その肌がひっくり返るような殺気を発するのはやめろぉ!!
認める、認めるから!!
私は精々、か弱い飼い犬です!!
お前のような天然の獅子と相対して耐えられるほど、強い子じゃないんですぅ!!
そんな、圧倒的な実力差でマウントを取ってくるなよぉ……
そう何度もやられると……生きてることに絶望してしまう・
お前に止められることが分かっていても、この棒で自分の耳を貫いて死にたくなるんだ……。
なんだと……
耳奥を上手く掃除出来たら、話してやる?
そ、それは本当だな?
あ、飴と鞭の使い分けが上手い奴め。
いいだろう……やってやる。
私の腕前を、とくと味わうがいい……
*SE:濡れ綿棒で耳かき(奥の方)
ほぉら……どうだ?
こんなかんじで、出来るだけ力を入れずに
それでいて面積を押し付けて拭う感じがいいんだろう?
ほら、カリカリと耳奥の垢をまとめて、とってやろう。
うむ、まぁそれほど難しい話ではないな。
王立騎士団の騎士団長である私だ。
この程度の仕事は訳ないさ。
しかし、何というか、私が耳かきをするっていうのは…‥はぁ。
勇者にゴブリン退治をさせたり、側溝の掃除に王家の宝剣を持ち出すかのような蛮行だな……。
ふふ、どうだ、気持ちいいか?
剣では一切勝てない相手であるはずのお前が、そう、緩んだ顔になっていくのは悪くない気分だ。
お前の表情がどんどんと緩んでいくのが分かるぞ……うむ。
優越感に浸れるだけでなく、汚れたものを綺麗にしていくのはな……。
その、性分に合っている。
耳かきは東方の蛮行だと馬鹿にしていたが、機会があれば部下にも、やってやりたかったものだ。
弟にも……
うん、言うな。
目元が潤むと手元に万が一が起きるかもしれない。
私もお前からの評価が、そんな間抜けなミスで下がるのは耐えられん。
すこし、黙る……
*SE:30秒すすり泣きのみ。
どうだ、悪党め。
下手な端女じゃ一生たどり着けない出来栄えだ。
高級志向の御眼鏡には叶ったか?
国王の姪である私より地位が高い女性は、実は今国内には王の后様を除けばいないぞ。
腕前においては、ふふ。
私があの方に負ける気はしないがな。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(奥の方)、おわり。
残りの耳垢もほとんどないぞ。
ああ、そうだ。これを使ってやる。
*SE:梵天(右側)
なんだ、私を誰だと思っている?
この程度の道具の使い方、スキルなど使わなくても類推できる。
こうやって、耳の中で回して埃を払うんだろう?
なるほど、なるほど
適切な道具は単純な用途で効果的な仕事をしてくれる。
この梵天という道具は、好きになれそうだぞ。
*SE:梵天おわり
……なぁ、もういいだろう?
弟の、弟がどうなったのか、私に話してくれ!!
*SE:頭を右に倒す音。
な、なるほど。
左の耳かきをしながら話すということか
だが、この姿勢は……
うん。お前に、文句は言えん……な。
どうだ私の鼠径部は見ていて楽しいか?
この傷一つのない肌は、私の誇りだ。
精々、お前だけが私が綺麗であった最後の瞬間を覚えておくがいいさ。
うむ、いたたまれんな。
耳かき、始めるぞ……ちゃんと話せよ。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(入り口、左側)
*1分吐息のみ
*涙声で
弟は……弟は、生きていたのか。
あの騒乱において、そんなことがあったとはな。
『騎士として、邪道に堕ちようとも、人として正道を貫きたい』だと……
『奉じるべき刃の在処を見つけた』と盃を交わし、今はお前の軍師になっているだと!?
私と直掩の騎士、軍団までもを個別に分断する。
あの妙策を軽々と実行したのが……まさか私の弟だとはな……
おねえちゃん、うれしかったけど……
そうならそうって、速くいってほしかったな……(鼻を啜る音)
何を笑う!!
信じろと言われて信じられることではない!!
お前たちがやっていることは、誇るべき正義だったんだぞ!!
なぜもっと、早くに、お前は自らの善行を公表しなかったのだ。
沈黙が美徳なのは、宗教と後宮の中だけだ……
ああくそ、お前らの最大の悪名と呼ばれた大公猊下の暗殺が、実際は悪臣の討伐だったとは……
大公猊下が自らの領民を虐げて……
あろうことか異種族を人身売買していただと……
これが、お前らがまとめた数多の証拠と共に公表されれば……
お前らは少なくとも、王国の民に匪賊と蔑まれることはなかったのだぞ…‥!?
*10秒無言
なんだと……それでは国王と、真の敵の繋がりを立証できない……だと?
お前は何を言っているんだ。
というか、今までの活動の実体といい、お、お前は、何を目的に戦っているのだ。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(入り口、左側)おわり
……ま、魔王だと!?
国家を超えて、人類を貶める魔。
人の世の中に潜む真の敵を逃がさぬためだと!?
それを倒すために、お前は、天命を得て……「勇者」として悪党をやっているだと!?
やめてくれ!!
そう何度も、神への信仰が揺らぐようなことをいうのは!?
うわーん!!
そんなの私じゃ天地がひっくり返っても、勝てるわけないじゃないか。
それにお前という勇者に刃を向けたという事実もぉ
お前みたいな馬鹿が勇者だったという事実もぉ!!
どれもこれも、私にはショックが大きすぎる……。
な、なぁ!! せめて私に、挽回の機会をくれ!!
私をお前の軍団に加えろ!!
最悪、歩兵でもいいぞ!!
お前ほどじゃないが、個人として強いし……かわいいし?
弟ほどじゃないが、軍略もできるぞ!!
それに、私は腐っても王族だ!!
自慢じゃないがなぁ、この国において
私は大分、評価も人望もあるつもりだぞ!!
それに、血縁的には殆ど姫だ!!
国内唯一の姫騎士だぞ!!
私を戦場に出すだけでも、大義名分くらいにはなるからぁ……ねぇ、おねがい!!
わ、わめくなだと……く、くそぉ、分かってはいるさ
だがなぁ!!
この国難の中で、己だけ何もできないなんて、耐えれないから!!
使えよ!! 私は本当に、有能なんだぞ……えーん!!
*一拍置いて
へ……耳奥の掃除が、また上手かったら考えてやるだと?
わ、わかった……じゃあ、始めるぞ。動くなよ。
*SE:濡れ綿棒で耳かき(奥の方)、可能な限り必死に。
*30秒、吐息のみ。
……黙れ、勇者め。
お前は、私の胸でも見ているがいい。
男なんて、どうせ巨乳が好きなんだろ。
触りたいんだろ? 埋もれたいんだろ?
勝手に妄想していろ……
それで、お前が動きを止めるなら、手段を問わず利用してやる。
お前がいくら屑だろうと、悪党だろうと、勇者だろうと……今は関係ない。
私が、したいことの、ためには、これが、一番の近道だからな……
どうだ? 気持ちいいだろう?
ふふ、耳かきの道は一日にしてならずだが、武の本質を悟っている私なら話は別だ。
日頃から、行為の本質に迫る修行をしているのだ。
上達速度は人一倍だ。
貴様の耳を満足させるなど造作もない。
その上、幾等でも上手くなってやる……。
剣だって、魔術だって、軍略だって、幾等でも極めてやる。
だから、私を選ばないなんて、お願いだから言わないでくれ……。
*30秒無言
*SE:濡れ綿棒で耳かき(奥の方)、おわり。
……どうだ?
自分が力で屈服させた相手に、心からの奉仕させた気分は。
きっと、極楽だろうな。
私が無様に媚びるさまを見るのは、楽しかったか?
私の温もりと奉仕は、お前の心に少しでも響いたか?
もう、舌を噛む気すら失せた。
あとは、お前の判断に任せる。
……ついでだ
こっちの耳も梵天をやってやろう。
*SE:梵天(左側)
……お前を見ていると、弟を思い出す。
二人が気が合うというのも、何となくわかる気がするな。
あいつは元気か?
もし私が弟と会えないなら、せめて将として讃えていたと伝えてくれ。
うん。
しみったれた話は終わりだ。
*SE:梵天(左側)おわり
はぁ……終わってみれば、何ということはなかったな。
耳かきのことも、お前のことも、悪くはないという印象だが……
最初から最後まで嫌悪の視線だけは、向け続けてしまったな。
終ぞ私の心は屈しなかった、お前にその気がなかっただけ――だがな。
それで、どうだ。
私を軍団に加える気にはなったか?
*一拍置いて
お前と言う奴は、本当に底抜けの馬鹿だな。
まぁ、もう……どうでもいいことか。
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