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悪党勇者の奇妙なパーティー「盗賊の綿棒みみそうじ」
  • 盗賊
  • 耳かき
公開日2021年09月10日 00:29 更新日2021年09月10日 00:29
文字数
2712文字(約 9分3秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
盗賊
視聴者役柄
わるい勇者
場所
宿屋
あらすじ
あなたは悪党(勇者)で、久々に街で羽を伸ばしています。
なのでパーティーメンバーである「盗賊」に、耳掃除をお願いすることにしました。
ちなみにパーティーで耳掃除が一番上手いのは「盗賊」です。
パーティーで一番マトモなのは「盗賊」です。
多分、ヒロインレースでトップなのも「盗賊」です。
――
pixiv( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14630034 )からの転載です。
勇者パーティーは、商人、盗賊、遊び人です。
最期の一人も気が向いたら書きます。
本編
 おぉ大将、どーした?
 折角の休暇だ、羽伸ばさないと損だぞ?
 
 私? 私は何してるのかって?

 わ、私は……
 まぁ、特にすることもないし、ぼーっとしてたよ?

 休暇ったってさ、何かしてないといけないわけじゃないだろ?

 街に出て騒ぐのも、今日はパスだ。
 私にも立場が出来ちまったし。
 部下共に気を遣わせんのもな なんか悪いだろ?
 私が出て行って堅い空気にするのも、どうかなって思ってさ。

 それに、こんだけ大所帯で過ごしてたらさ。
 偶には、静かな場所にいたいってときも、あるだろ?
 
 ああ、ああ、いいよ……一々出ていかなくても。
 どうせ、なんか用事があってきたんだろ?

 我らが神に選ばれた慈悲深き英雄、勇者様――
 この下賤な盗賊に、何かご命令でも?
 それとも私の事、デートでも、連れて行ってくれるのか?
 別に甘い物とか、奢ってくれてもいいんだよ?
 
 あハハ、分かってるって。
 そういう気遣いは、本命の子にしてやんな。
 私は別に、そういうのは気にしなくてもいいって言ってるだろ?

 で、本題はなんだ?

 なるほど、また、耳かきか。
 そういうの、最近入ってきた女騎士とか幼馴染のアイツにしてもらえばいいのに……。
 それに、「商人」もいるだろ?
 ほんとに私でいいのか?

 あハハ、分かってるよ。
 そんな顔するなって。
 
 堅い膝だけど、膝枕もしてやる。
 寝っ転がりな、勇者様。

*SE:膝枕に頭を乗せる音。

 よし、寝てくれたな、勇者様。
 商人の奴が用意してくれた綿棒で、お前の耳を掃除してやる。

*SE:ベビーオイル、縁で湿気を切る音。
 ベビーオイルでちょっとだけ、湿らせて……と。
 いい感じだ、気持ちよくても――腰ぬかすなよ。

▼:以降、SE:濡れ綿棒の音。左耳▼
*:1分間、無言

 おーい、起きてるか? 
 いくら、耳掃除が気持ちいいからって、すぐ寝るのはなしだぞ。
 
 そしたら、お前のポケットの小銭、くすねて酒代にしてやる。
 そのつもりで金入れてきてるのは、分かってるけど……マジでやってもいいんだぞ。

 別に耳かきが気持ちいいなら……そのくらいは、どうでもいい?
 まったく……お前って奴は、本当に耳かきが好きだなぁ。
 出会った頃に、毎日私に耳かきしろって強請ってた頃から何も変わってないな。
 
 お前が強請るからって、毎日毎日、耳かきしてやってたら……
 いつの間にか、私も上手くなっちまった。
 
 それなのにお前は満足せずに――
 出会う奴、出会う奴。
 誰にでも耳かきを求めるんだもんな。
 
 エルフの里を救ったからって耳かきを頼んだり。
 東方に耳かきを求めに旅をしたり。
 まったく、お前みたいな奴のことを「マニア」っていうんだろうな?

 あハハ、褒めてるんだよ……
 でも、一番驚いてるのは、結局私にやれってせびりに来る所なんだよなぁ。
 耳かきだけなら……私が、一番上手いから?

 ま、それもそうだろうな。
 私は耳かきに殆どスキル振ってないけどさ。
 「耳かき」って「器用」と「賢さ」のステータスがモロに出るからな。
 国で一番の盗賊の私に、器用のステータスで勝てる奴なんていないよ。
 そりゃ、私が一番上手いわけだ……自分で言ってて、腑に落ちまった。

 期待される理由も、何となくわかった所で。
 もう少し……耳の方ももやかしてやるか……
 寝るなら、寝ててもいいぞ……ちゃんと綺麗になるまでやってやるからな。

*:1分間、無言

 こうやって、触るか触らないかの感覚で触れられるの、気持ちいいか?
 耳垢だけ触るようにして……このまま、取ってやるから我慢しろよ……

*SE:耳垢を取る。
 っし……結構デカいのがとれたぞ
 って、おいおい、見ようとするな勇者様。
 お前には、耳垢じゃなくてこのまま天国を見せてやる。
 ほら、リラックスして――ゆっくりと深呼吸でもして待ってな。
 
▲:SE:綿棒の音。左耳ここまで▲
*耳吹き×2回

 ふーーーーーーーーーーーーっ
 ふーーーーーーーーーーーーーーーーーっ

 どうだ、勇者……満足したか?
 まだ? そうだよな、お前はこの程度で満足するような奴じゃあないもんな。
 じゃあ右耳もしてやるよ……。頭、左に倒してくれ。

*SE:頭を左に倒す音。

 ん、聞き分けがいいのはいいことだぞ。
 それとも、私の願いだから聞いてくれるのかな……?
 ふふ……冗談だよ。
 こっちの耳も綿棒で掃除していくからな……

*SE:ベビーオイル、縁で湿気を切る音。
 綿棒をオイルで、湿らせて……と。
 始めるぞ……

▼:以降、SE:濡れ綿棒の音。右耳
*:1分間、無言
*SE:ベビーオイル、縁で湿気を切る音。

 ん、ちょっと大きいのがあったから集中して取るぞ。
 こうやって、奥の塊をふやかして……
 耳にくっついたの、剥がすからな。
 ちょっと痒いだろうが、我慢して集中しろ、気持ちいいからな。

*SE:大きいの取れる。
*SE:綿棒の音、止める。
 ん、ちゃんと取れたな。
 痒かったろうに、動かなかったのは偉いぞ……

*SE:頭を撫でる
 お前、そんなに嬉しそうにするなんて――
 全く、こういうときだけ年相応だな。
 何時もはあんなにかっこいいのに、耳かきされてるときは子供みたいだ。
 年相応の自分に戻りたくて、私に甘えてるってのは……悪い気はしないけどね。

 くす、悪かったって……
 代わりに、二度と他の奴にされたくなくなるくらい本気で耳かきしてやるからな。
 大きいのがとれたところが痒くなってきただろ……?
 ガマンしなくていいぞ、ちゃんときっちり掃除しきってやるからな。

▼:SE:濡れ綿棒の音。右耳を再開。
*:1分間、無言
 
 勇者どうだい? 私の耳掃除は満足したかい?
 ……いいよ、ホントに寝ちゃってもさ。
 もう寝返りを打てとも、言わないからな……

 なんだ、勇者。
 ……アフォガード?
 
 ああ、アイスにコーヒーが掛かってるって……アレ?
 今夜、私だけに奢ってくれるってかい?

 もう、照れくさいねぇ、そういうのは、いいって言ったのに。
 でも、勇者がそこまで言うなら、ご相伴に預かろうかな……
 ふふ、嬉しそうな顔しやがって……
 私だって、本気にしそうになるだろ?

 最期だ……耳吹き、してやる。
 意識飛ばすなよ?
 
▲:SE:綿棒の音。右耳ここまで▲
*耳吹き×3回

 ふーーーーーーーーーーーーっ
 ふーーーーーーーーーーーーーーーーーっ
 ふーーーーーーーーーーーーーーーーーっ

 全く、お前って奴は……ほんと、面白い奴だよ。
 大盗賊の頭ったってさ、井の中の蛙みたいなものだったのに。
 悪い奴を倒しに行くなんて言われて、冗談だと思ってたのにな

 気づいたら、もう軍団みたいになっちまってて
 そこで将軍なんて、ガラじゃないと思ったのにね
 なんだかんだ、傍に立って、同じ夢を見れてるんだ。
 勇者には感謝しても仕切れないよ。

 あーあ、私も、もっと可愛かったらな……
 勇者、お前に本命って、思ってもらえたのかなぁ……
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
悪党勇者の奇妙なパーティー「盗賊の綿棒みみそうじ」
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ハシダ シュンスケ
ライター情報
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