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お祓いのために帰省したら、子どもの頃好き合っていた娘と再会した。
written by しおぱいたん
  • インモラル
  • シリアス
  • ファンタジー
  • ヤンデレ
  • 人外 / モンスター
公開日2021年09月24日 16:34 更新日2021年09月24日 16:34
文字数
2245文字(約 7分29秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
婚約者! 友達! 同僚! 周囲の親しい人間が×ぬという呪いに見舞われてしまった聴き手は、多く被害を出さないためにと、生まれ育った田舎に戻ることを決意!!

誰にも会わないように、人目につかないところで佇んでいた聴き手は、一人の女性に声をかけられる!
話をする内に、実は彼女が「かつて婚約をした蛇神様」だったことが明らかになって――……!

というシチュエーションボイス台本!!
本編
【泣いている聴き手に声をかけるヒロイン】

やぁ、お兄さん。こんなところでどうしたんだい?

ああ、心配しないでくれ。大の大人が人知れず涙を流しているんだ
キミがここで泣いていたことは、他言しないと約束しよう

告白というのは、身近な人間にしやすいものもあれば、面識のない他人にしやすいものもあるだろう?

ここで出会ったのも、きっと何かの巡り合わせだ
僕に告白するでも、キミの独り言を僕がたまたま聞くでも良い

溜め込んでいるものを吐き出してみないかい?

【聴き手「自分の所為で大切な人がたくさん死んでいく」と事情を説明する】

……そうか。婚約者が……。…………
……申し訳ない。気の利いた言葉が思いつかないよ

キミを救う言葉は思いつかないし、負った深い傷に共感する想像力も僕には無い

けれど……頑張ったね。それほどの絶望と恐怖を感じながらも、より被害を拡大させないためにと、ここに戻ってきた

キミの大切な人たちを襲った不幸が、土地神様の祟りだったとして
人命を守ったその行動は、称えられるべきことだと思うよ

しかし……不可解だね。キミの体験したことはすべて事実だろう
それはキミの顔を見ればわかることだし、疑いの余地はない

……そう。何故キミが祟られているのかがわからない
僕の知る土地神様は、何もなしに人間を祟るような神ではなかった気がするけれど

遥か昔から村人たちに畏敬(いけい)の念を抱(いだ)かれ、それに応えるように土地を守る
それが、僕が知る土地神様だよ

……祟りの原因になりえるのは、禁足地(きんそくち)に足を踏み入れてしまったり、土地神様を祭(まつ)る祠(ほこら)に罰当たりなことをしてしまったり……とかだよね

でも、キミはそういうことをする人間には見えない。他に心当たりはないかな
例えば、昔どこかで土地神様に出会ったことがある、とか

祭られているのは白蛇(しろへび)の姿だけれどね、土地神様は人間の姿にも成れるんだ

キミが人間だと思っていた相手が、実は土地神様だった
なんてこともあるかもしれないよ?

【聴き手「小さい頃出会ってから再会できなかった子がいた」と言う想定】

……やっぱり。きっと、その娘が土地神様だったんだ
どうして人間の前に姿を現したのかはわからないけれど……

十中十(じゅっちゅうじゅう)、土地神様だったと考えるのが妥当だと思うよ

次は約束を思い出さないといけないね。そう、約束

理由は様々だけれど、基本的には土地神様と交わした約束や、土地神様が定めた守るべきルールを破った時に、祟りが起こる

人間社会でも同じだよね? 約束を破られたら、誰でも怒る
きっと土地神様は、キミが約束を反故(ほご)にしたことを怒っているんじゃないかな

さぁ、思い出してごらん。あの日交わした約束を

【聴き手「小さい頃、土地神様と婚約の約束をした」と言う想定】

……ふふっ。……ああ、申し訳ない。あまりにも突飛(とっぴ)な約束だったからね
神様と婚約する人間が目の前に居ることに、笑ってしまっただけさ

いや、神様と人間が交わる神話なんて腐るほどあることなのだから、驚くべきことでも無いのかな

原因はわかったね。土地神様は、キミが婚約したことを忘れ、別の女性を妻に迎えようとしたことを怒っているんだ
きっと、どうにか思い出させようと、周囲の人間を祟ったのではないかな

それじゃあ、次は祟りを解除する方法だけれど――、

【聴き手「土地神様はそんなことで、みんなを殺したのか!」という想定】

…………”そんなこと”? そんなこと、って、どういうことかな
キミは僕と婚約をした。それは純然たる事実であって覆(くつがえ)せない現実だ

約束を忘れていたことを”そんなこと”と切り捨てるのは、虫が良過ぎるとは思わないかい?

確かに、多くの命を奪ったことは、褒められたことではないかもしれない
けれどね、僕が手を汚すまで追い詰めたのは、キミなんだよ

(自分の正体を明かしてしまったことに気づいて)
…………ああ、しまった。つい興奮してしまって……
……今更聞かなかったことにしてくれ、というのは無理な相談だよね

だとしたら、どうする? 僕を手にかけるかい?
大切な人を奪った仇が、目の前に居るわけだけれど

先に言っておくと、仮にキミが殴りかかってきたとして
僕は反撃しないし、最期まで無抵抗でいるつもりだよ

僕はキミを愛してる。嫉妬で周りの人間を祟り殺すくらいにはね
……そして同時に、罪を悔やんでもいる

僕の所業を目(ま)の当(あ)たりにしたキミには信じられないかもしれないけれどね
これでも土地を守護する神なんだ。殺生(せっしょう)は好むところではないんだよ

これ以上、罪のない人間を手にかけるつもりは毛頭(もうとう)ない

……もう一度聞くよ。どうする?

【聴き手「殺した人間を生き返らせろ」と言う想定】
できない。僕個人の感情としてではなく、そもそも不可能なんだ

はっきり言おう。生と死の象徴なんて崇められているけれどね、無理なんだ
僕の力でキミの大切な人を生き返らせることはできない

……僕にできることは、キミとの約束を果たすことと、愛すること
神様なんて立場だけれどね、それだけしかできないよ

キミからすれば、身勝手な約束だと思うだろうけれどね
勝手に約束するよ。僕は、奪った命の分までキミを愛すると

僕が許せないのなら、キミが満足するまで無抵抗でいよう
生きることが辛いのなら、共に逝こう
僕と生きる道を選ぶのなら、キミの帰る場所になろう

いずれもキミが選ぶことだ。選んだ道を僕は受け入れるよ
…………。まぁ、すぐに答えを出さなくても良いよ

10年以上も待ち続けたのだから、今さら数日くらい変わらないさ

僕は先に行って待っているよ。婚約をしたあの場所で

またね。蛇の生殺しにだけは、もうしないでくれよ?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
お祓いのために帰省したら、子どもの頃好き合っていた娘と再会した。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
しおぱいたん
ライター情報
サークル「ぱいたん工房」のしおぱいたんです!

当サイト開発&運営のサークル「減塩旅団」の代表もしています!
※「ゆるボイ!」に関するお問い合わせは、チアリちゃん(公式twitter)へご連絡ください~!

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