仲の良いちょぴりサバサバした先輩と一緒の、いつも通りの帰り道。
突然の通り雨に降られた二人は近くで雨宿りをしていました。
天気アプリを見てみると、どうやらもうすぐ雨は止むみたい。
それを先輩に伝えると「ひとつ賭けをしてみない？」と提案されます。
『虹がかかるか当てられたら、ひとつお願いを聞く』
そんなお遊びに付き合うことに。
いつも通り先輩のペースに巻き込まれるアナタ。
いつもと少し違う様子の先輩。
ふたりの賭けの行方は……？

雨、止まないね

通り雨なんて最悪

こんな日に限って私もキミも傘持ってきてないしさー

はぁ〜あ
今日こそは早く帰りたかったんだけどなー

……ああ、別にキミと一緒にいるのが退屈だとか、そういうんじゃないよ？
ホントに

ふはっ
もうー、そんな顔しないでよー
キミといる時間も楽しいよ


ん？
何？
もうすぐ止むの？　雨

あ、ほんとだ
収まってきた

なにー？
もしかしてキミ、魔法でも使えちゃったりするー？

ははっ
冗談、冗談
分かってるって
ただの天気アプリでしょ

あ、そうだ
じゃあさ、アプリじゃ分かんないことしてみよっか

ふふっ
まあちょっとした賭けっていうか、ただお遊びって感じ

今から虹が出るかさ、予想してみない？
それで、当てられた方が、ひとつだけお願いを聞いてもらえる

どう？
面白くない？

そんなにビビんなくても大丈夫だって
私が当てても、優しいお願いしかしないから

ね、やってみようよ

ふふっ
ありがと
なんだかんだでノリが良いとこ、好きだよ

それじゃあ……私は虹が出る方に賭けよっかな

……何？
不満？

残念だけど、こういうのは早い者勝ち
キミは虹が出ない方ってことで

いいよね？

ふふっ
それじゃあ、一世一代の大博打、いってみようか
なーんてね

おっ
早速雨止んできたね

…….キミはさ、私にどんなお願いするつもり？

ああ、ちょっと気になったから、聞いちゃおっかなーって

先に言ったら意味ないって？
ふふっ
それもそっか

でもさ
この勝負、私の勝ち、決まってるから、今言っちゃっても変わんないと思うよ？

何でって？
それはヒミツ

まあ、見ててよ

ほら、あそこ

ね？
言った通りでしょ？

何で分かったのか気になる？

じゃあ特別に教えてあげる

魔法、だよ

あー
今明らかに『嘘だー』って顔したでしょー
信じなくても良いけどさ、信じた方が人生面白いよ？


冗談はさておき
それじゃ、私のお願い、聞いてもらおっかな

ふぅ……
それじゃ……いくよ？

……私の恋人になってください

……あー……やっぱりこんな告白じゃダメ……かな？
……ゴメン
ズルいよね、こんなの……

えっ……？
いいの？
ホントに？
ウソじゃない？
ズルした私に仕返ししてるとかじゃなくて？
ホントに？

……あ、ああ、ゴメン
つい、びっくりしちゃって……
めちゃくちゃ確認しちゃった……

えっと、これが最後の確認なんだけどさ……
ホントに、いいの？
私がキミの恋人になっても……

うん
分かった

ありがと

んーっ……
はあ〜！
緊張した〜！

ゴメンね
私の本当の賭けはこっち
ズルしちゃった

んー？
さっきも言ったでしょ
虹が出たのは、私の魔法だって
最初から分かってたっていうか、私がそうなるようにしたっていうかさ
まあ、そんなのさ、どっちでも良いじゃん

大事なのは、今日からキミと私は恋人同士だってこと
ね？

さ、帰ろ？


……って
あーあ……
雨、また降ってきちゃったね
ま、しょうがないか

ん？
何？
残念ながら魔法はそんなに便利なものじゃないんだよー
天気なんてそう簡単に左右できるものじゃないの

ほら、行くよ
傘ならあるからさ
ちょっと小さいけど、二人分くらいはあるでしょ

あっ……

ふふっ

またズルしたの、バレちゃった

・台本（ゆるボイ！）
【告白】サバサバ先輩の雨宿りとちょっとした賭け【甘々】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
さごし