引っ越しの準備中なのかダンボールが何回かあり部屋の半分は片付いてる状況である。部屋の真ん中のテーブルにはアルバムが何冊か重ねて置いてあり…。

台本
女：あー、きたきた。
まだ片付けてる途中だから汚くてごめんね。

あ、それ？
やっぱり思い出は最後にしようかなって私の大事な宝物だもん。
だって7年もやったんだよー。
右も左も知らない高校生がいきなりアイドルって笑っちゃうよね。
でも楽しかったな…。

うーん、それも考えたんだけど、やっぱり地元が落ち着くし、あっちで求人探そうかなって。家の事情もあるしね。

そりゃあ、私も寂しいよー！
これからも、連絡するね。
…うん、もちろんっ、応援するね

(つい歯切れ悪く答えてしまうと心に溜めていたものがボロボロとこぼれだし)

ねぇ、仲のいい(A子)だから言うね
本当はあれ嘘なの。…脱退する理由。
私ねアイドルしてる自分が好きなの。
可愛い衣装きて良いパーフォーマンスしてファンサして…。
理想の自分を演じてるのがすっごい好きだった。どんな辛いことも乗り越えられるくらい幸せだった。

でもね、そろそろそれも似合わなくなってきた。しかも年齢とか将来のこととか現実の私が日に日に悩みだす度にどんどん理想の自分とズレていってるの凄い分かるの。


プロ意識？
そんなじゃあないよ。
私が造った理想の自分を誰かに壊されるのが嫌なの。
あんたらに何が分かるんだって！アイドルの(名前)は、私だけのただ1人のアイドルなのに！

だから辞めるの。
これ以上は誰にでも汚されることなくキラキラした思い出の中で理想の自分を寝かしてあげるの…っ…。

…ごめん、いきなりこんなこと話して。たまに不安定になるの…。
Twitterみたら本当に私が…アイドルの私がいなくなちゃうのかって思ったら悲しくて…。

…大丈夫。
笑顔でいないと、アイドルの私に誇れるようにこれからの私もちゃんと幸せになってあげないと。心配させちゃうもん。


よーし、一般人に戻るんだし我慢してたこといっぱいやるだから。まず美味しいものいっぱい食べる！
ふふっ、いいでしょう？体型維持のために我慢してたんだもん。

ほら、全然終わってない！！
喋ってないで手動かしていこう。私こっちやるからそっちお願いね！

はぁ…長くなるぞ…。

でも結局私はなにになれたのかな…。
これで良かったのかな…。


～完～

・台本（ゆるボイ！）
偶像
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・台本制作者
餡ころ