ポジション:一塁手
打順:4番
役割:強打者(ホームランバッター)

はぁはぁ…

おー…サンキュー、マネージャー。

(スポドリを飲み干す)

ぷはぁ〜…あー、生き返るわ〜…

ん？……おっ、マジ？

打つときの姿勢の歪み、さっきはちゃんと矯正されてた？

よっしゃ！マネージャーのおかげだわ！

サンキューな！

おっ、動画撮ってくれたんだな。助かる。

あとで見とくわ。

よしっ！んじゃ、休憩終わり！練習行ってくる！



よっ、マネージャー。

片付け、手伝うわ。

いいって、気にすんな。

あたしがやりたくてやってるだけだから。

これ、こっちでいいかー？

りょーかい。そこな。

ん？あぁ、あん時のホームランがどうした？

へー…あん時が一番いいフォームで打ててた、かぁ…

なんかホームラン打てる時ってさ、「おっ、これはいける！」って感覚になるんだよな。

こう、身体が無意識に動いたって感じ？

その点、今日はちょっとイマイチだったなー。

調子悪いってほどじゃねえけど、なんかしっくりこない。

言うほど悪くない？

んー、そうなんかな…

ま、もうちょっと身体に覚えさせてみるわ。

マネージャーが撮ってくれた動画でも見て、イメトレするかー。



おし、片付け終わり！

ん、お疲れさん。

そんじゃ、着替えてササっと帰りますかー。

あれ…？なぁ、マネージャー。それ、なに？

いや、首の付け根あたりに付いてるそれ…キスマ？

なに照れてんだよ、言ってみろって。な？

…へー、それマジ？

ふーん…あの天然無邪気なエース様が、ねぇ…

最近、妙にマネージャーとの距離が近いと思ったら…

いや、こっちの話。

あ、マネージャー。ちょっとそこの窓閉めてくれ。開いてる。

(鍵をかける)

ん？あぁ、ちょっとな…

なぁ、マネージャー。

単刀直入に聞くけど、マネージャーってエースと付き合ってんの？

あ、そう。エースが勝手に彼女名乗ってるだけか。

…アイツを分からせる良い方法があるぜ。聞くか？

(壁ドン)

あたしと付き合えばいいんだよ。

そうすりゃ、アイツも自分の勘違いに気づくだろ。

大丈夫だって。

アイツ、馬鹿だけど物分かりはそんな悪くねえはずだから。

それともマネージャー…

あたしと付き合うのに、なんか不都合でもあんのか？

じゃ、いいじゃん。あたしを彼女にしても。

もちろん好きだぞ、マネージャーのこと。

あたしよりちっこくて可愛いし、素直だし、笑顔が可愛いし、あと可愛いし。

ははっ、ごめんって。

ちゃんとした理由もあるから。

マネージャーさ、去年の夏の県大会であたしが調子悪くて打てなかった時言ってくれたじゃん？

「チームの4番だから、大事なところでは必ずかっ飛ばしてくれる」って。

マネージャーのあの言葉で目ェ覚めたよ。

失いかけてた自信を取り戻せた。

ははっ…単純だよな、あたしって。

けど、マネージャーを好きになったきっかけは、それで間違いない。

もう一度言うぞ。

あたしはマネージャーが好きだ。付き合ってくれ。

ダメ、か…

そっか、そうだよな…

マネージャー、さっきはあんなこと言ったけど、ホントはエースにたぶらかされてんじゃないか？

キスマまで付けられてるし…

…ッ、だったら、なんで断るんだよ！

自分よりデカい女は嫌いなのかよ！

マネージャーさぁ…あんまりあたしのこと、怒らせない方がいいぞ。

(押し倒す)

力づくでも手に入れたくなっちゃうだろ…！

無理だって。諦めろ。

マネージャーの細腕じゃ、あたしは振りほどけねえよ。

これでもチームの4番、ホームランバッターだしな。

力には結構自信あるんだ。分かるだろ？

…そんな可愛い顔すんなよ、ちくしょう…！

(キス)

エースなんかよりあたしを選べって。

アイツ天然馬鹿だから、よそで思わせぶりなこと言って、他の男引っ掛けてる可能性あるし。

その点、あたしは一途だから。

マネージャー一筋だし、浮気もしねぇ。

だから、な？

賢いマネージャーなら正しい選択くらい、できるよな？

な、マネージャー…

今から気持ちよくしてやっから、あたしのこと、選んでくれよ…？

・台本（ゆるボイ！）
チーム屈指のスラッガーは胸に秘めた想いを僕にぶつけてきた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎