あら…気がつきましたか？おはようございます。

そんなに見つめられると、ちょっと恥ずかしいです…

え？わたし、ですか？

ふふふっ…誰だと思います？

一度は会ったことあるはずですよ？

思い出せない、ですか…

それはちょっと悲しいですね。泣いちゃいそうです…

うふふ♪うそうそ、冗談です♪

(抱きしめる)

ね、この感触とぬくもり…思い出せませんか？

ふふっ、正解です♪

はい、その四神ですよ。

青龍、朱雀、白虎、玄武、麒麟、黄龍…

彼女たちが一体となった姿が、このわたしです。

一応人々からは「黄帝」と呼ばれています。

はい…それで何でこの姿になったか、ということですよね？

それは貴方が四神の攻略に成功したからです。

はい、たしかに貴方は四神との勝負には惨敗しています。

ですが、それは外側から見た結果にすぎません。

はい、大事なのは内側…心です。

四神は四罪によって洗脳されこそしましたが、完全に屈服したわけではありません。

みんな、きちんと分かっていましたよ。

貴方が自分たちを救おうとしてるんだって。

彼女たちが多少手加減してくれたおかげで、力そのものは集められたでしょう？

はい。貴方の目的は、彼女たちに挑み、その力を自分の内に取り込むことによって、本当の意味での主人になることでした。

実質的に四神の上に立てば、貴方から四神に働きかけて、洗脳を解くことも可能だと考えたんでしょう？

あぁ、四神の攻略がどうしてわたしの出現につながるのか、ということですが…

四神は各方角の守護の役割を担っています。

それらがすべて攻略されるということは、すなわち、その守護の役割を果たす者がいなくなるということ。

ふふっ…はい、その通りです。

最後の仕掛けとして、自分たちの残ったすべての力を凝集し、全方角の守護を一度にやってのける形態を作ったんです。

その形態がこの黄帝、というわけです。

ここまではお分かりになりましたか？

え？そんなの聞いてない？

ふふっ、まぁ誰も言ってませんからね。仕方ないです。

そもそも中央の麒麟と黄龍を同時に攻略されること自体が、彼女らにとって想定外でしたから。

攻略の条件が緩い？

ふふっ、まさか。そんなわけありません。

四神は天界でも最強と言ってもいい神々なんですよ？

それを攻略する貴方がいかに凄いか…言葉では言い尽くせません。

というか、そもそも四神は…とっくの昔に貴方に攻略されていますから。

(キス)

知ってます？恋愛は惚れさせた方が勝ちで、惚れた方が負けなんですよ？

貴方がいかに屋敷に囚われていようと、四神は貴方に勝てません。

だってみんな、貴方にベタ惚れなんですから♪

むしろ屋敷に閉じ込める以外の選択肢を取らせない、貴方がすごいんですよ？

はい。屋敷に閉じ込めたのは、彼女たちなりのアプローチですから。

みんな、貴方に振り向いて欲しくて、ああして貴方から契約してくれるのを待ってたんですよ？

やり方がアグレッシブすぎる？

ふふ…そこはほら、神さまで女の子ですし、ちょっとしたお茶目ということで、目をつぶってください。

それにしても…本当に大した方ですね、貴方は。

四罪の目を盗んで、四神の力をこっそり集めて、こうしてわたしを呼び出すまでに至るんですから。

え？四罪？

彼女たちなら、わたしが禊(みそぎ)をして、ちゃんと元に戻しましたよ。

穢れを祓いさえすれば、彼女たちも普通の良心的な神さまですから。

はい。四罪によって天界中にかけられていた洗脳はすべて解けています。

ついでにこのあいだ逃げた四凶も、全員捕らえてお仕置きして更生させてありますので、ご安心ください。

ふふっ、はい。

万事解決で、めでたしめでたし！というわけです。

さ、あとは…わたし(四神)と結婚、してくれますよね？

え？何言ってるんですか？

貴方がわたしに挑んで、最後にプロポーズしてくれるんですよね？

は？下界に里帰り？

ふふふっ、あははっ！

この期に及んで何言ってるんですか、まったくもう…

貴方はずーっと、わたし(四神)と暮らすんですよ？

下界になんて二度と帰らせません。

わたし(四神)が、貴方の帰るべき場所ですから。

あ、もう一つ言い忘れてました。

貴方が負けても、わたしからプロポーズしますから、何も心配することはありません。

これで心置きなく、存分にイチャイチャできますね♪

さぁ…わたしのこと、しっかり攻略してくださいね…

わたしだけの旦那さま…うふふっ♪

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレ四神に愛され過ぎて下界に帰れない〜無敵の黄帝編〜
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎