(インターホン)

あ…久しぶり。

いきなりでごめん、ちょっと上がらせて。お願い…

ちょ、ホントに！マジでお願い！

別れ切り出した分際で、今さら何言ってんだって話だけど…！

今、追われてる！だから助けて！



ごめん…ホントにいきなりで…

その、頼れるのがもう君しかいなくて…

えっと…さっきも言ったけど追われてる。ストーカーに。

大学時代の先輩なんだけどさ、たまたま買い物してる時にばったり会って…

まぁ、そのなに…付き合うことになったわけ。

お互い恋人いない同士ってことで。

そう。流れで付き合うようになった感じ。

しばらくは特に何もなく、平穏に暮らしてたんだけど…

向こうがある日急に同棲したいとか言い出して…

あたしはその時の距離感がちょうど良かったから、断ったんだけど…

そしたら逆上して、ストーカーになった。

毎晩、あたしの家の近くをうろつくようになってさ…

そいつがずっと外であたしのこと、見張ってるんだって思うと怖すぎて…

今日、玄関にそいつがいないの確認して逃げ出した。

で、今君のとこまで逃げてきたってわけ。

そ、そうだよね…分かってる。

もう君とあたしは別れたんだし、この問題に君は何の関係もない。

巻き込んで申し訳ないって思ってるけど…ホントに怖くて…

実家は……やだ。

親に知られたくないし、そもそも物理的に遠いし…

友達？もし、その子が標的になったらあたし、もうその子と顔合わせらんないし…

君しか頼れる人が思い浮かばなかったの。分かって…

うん……ありがとう。

君のそういう優しいとこ、変わってないね。

なんであたし、あの時別れようなんて言い出したんだろ…

ううん、寄りを戻そうなんて思ってない。

流石にそれは虫が良すぎるし…

ストーカーをどうにかできるまで、匿ってほしい……お願いします。

あ、えっと…じゃあお言葉に甘えてシャワー、借りるね。



ありがとう、さっぱりした。

え？……あ、そうなんだ。

家の周り、見て回ってくれてたんだ…

とりあえず怪しい人はいない？よかった…

(インターホンを連打する音)

ひっ！き、来た…！

やっぱり追っかけてきたんだ…！

そういやあたし、君にストーカーの容姿について話してなかったね…ごめん。

う、うん…奥で引っ込んでる…ホントごめん。

……ホントにごめんね。騙すような真似して。

(気絶させる)



…ありがとね、手伝ってくれて。

うん、マジ感謝。ストーカー役、お疲れ様〜。

今度なんか奢るからさ。それで手打ってよ。

オケ。じゃあ今度の日曜ね。

うん、また連絡する。バイバーイ。



……あれ？起きた？おはよ。

へ？今の？あぁ、聞かれてたんだ。

まぁ君が起きた時点で種明かしするつもりだったから、いいんだけど。

そ、ストーカーに追われてるってのは自作自演。

友達に手伝ってもらった。ストーカー役として。

君が見つけられなかったのは当たり前。

だってその子、見た目普通の女の子だし。

で、玄関の前でインターホン鳴らした時だけ、黒いパーカー被って、いかにもって感じの格好になってもらった。

ふふ、男にしては小柄だなって思った？

まぁ気づくの遅くて残念だったね。

気絶するレベルで殴ってゴメンね？痛かったでしょ？

いや、だって…君と寄り、戻したかったし。

たしかに別れ切り出したのはあたしの方からだけどさ、やっぱ普通に後悔した。

君と別れたあと、いろんな男と付き合ったけど、全然物足りなくて…

夜、一人になるとすっごく寂しくて、病みそうだった。

で、結局やっぱ君が一番だなって思った。

分かってるよ…自分勝手だってことくらい。

でも普通に寄り戻そうなんて言っても君、絶対うんって言わないじゃん？

だから一芝居打ったの。

ストーカーに追われて君に助けを求めるってシナリオ描いて。

そ。隙を見て君を拘束して…それからこうしようと思った。

(キス)

ね、久しぶりの元カノの味はどう？

あはは…そんな怒んなくてもいいじゃん。

きちんと身体でお詫び、するからさ…

もう…うるさいなぁ。ちょっと黙ってよ。

(連続キス又はディープキス)

ほら、君のココも元気になってきたじゃん。

口では拒否しても身体は正直だからさ…分かるよ。

あたし、もっかいちゃんと君のこと好きになるから。

君もあたしのこと受け入れてくれると嬉しいなー、なんて…

まぁ君がうんっていうまで、拘束解くつもりないんだけどね。

そーいうことだから、またよろしくね…彼氏くん♪

・台本（ゆるボイ！）
ストーカーに追われてる元カノを匿ったら、大変なことになった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎