去年同じクラスだった同級生のクール美人が、めちゃくちゃ俺にアタックしてくる。
逃げても逃してくれないし、今日も案の定捕まった…

ねぇ、ちょっと…君。

なんでそんな無視するの？人が話しかけてるのに…

知らない、そんなの。周りに勝手に言わせておけばいい。

それで？わたしに何か言うことは？

そう。髪、切った。どう？

それだけ？他に何か言うことは？

ん…とりあえずそれで勘弁してあげる。

それじゃ、また放課後。教室まで迎えに来るから。




みんな、ありがとう。彼を捕まえておいてくれて。

うん。このまま一緒に帰る。

べ、別にそういうことはしない…したいけど。

とりあえずわたしたちは行くけど…いい？

うん、じゃあまた。今日も本当にありがとう。




何？……やだ。離さない。

腕、離したら逃げるでしょ？

嘘つき。その言い方は嘘をついてる。間違いない。

君はすぐわたしから逃げようとする。なんで？

美人とかマドンナとかよく分からないけど…

要するに、わたしと一緒にいると目立つから、逃げたがるんだ。

でもわたしは君に逃げられたくない。どうすればいい？

影を、薄く……難しいな。具体的にどうすればいいのかさっぱり分からない。

この顔は生まれつきだから。そうそう変えられるものじゃない。

え？そんなの決まってる。

君のことが好き。だから一緒にいたい。それだけ。

君は自分のことを価値のない人間みたいに言うけど、それは違う。

君はとても良い人。ぶっきらぼうだけど、優しくて周りをよく見てる。

困ってる人を見捨てられないし、そういう人がいたらさりげなくフォローする。

たしかに君の表面の態度はあまり良くないけど、だからこそ優しいところが光って見える。

少なくともわたしはそう思ってるし、そういう君を好きになった。

去年同じクラスだったから、君の良いところも悪いところも分かってるつもり。

きちんとわたしなりに君のことを見て好きになった。

君はわたしのことどう思ってる？聞かせて。

一緒にいると目立つとかそういうことじゃなくて、わたしという人間を君がどう見てるか知りたい。

…そう。まだよく分からない、か…去年同じクラスだったのに。

うん…分かった。なら、わたしのことをもっと知ってもらえるように努力する。

できればもう、わたしから逃げないでほしい。

あまり逃げられると、君に嫌われてるんじゃないかって不安になるから…

え？……そ、そう…よかった。髪を切った甲斐があった。

うん、バッサリ。君のクラスの子から、君がショートヘアが好きだって聞いたから。

…？ 何言ってるの？好きな人のことを知ろうとするのは当たり前でしょ？

うん、それも当たり前。君に好きになってもらいたいから、切った。

ロングにしてたのはなんとなく。特に理由はない。別に自慢ってわけでもないし。

なに？……笑えって、いきなり言われても…こう？

あっ…君のそんな顔、初めて見た。

もしかしなくても照れてる、よね…？

わたしの笑顔、君には効果抜群なんだ…ふふっ。

あ、今のは自然に出た笑いで……っ⁉︎

(抱きしめられる)

その反応…わたしのこと好きになってくれた？

反則…そうなんだ。君にとって、わたしが笑うとズルいんだ。

よかった。君に笑顔を好きになってもらえて。

え？そうでしょ？こうやって抱きしめてくれたんだから。

…離れなくていいのに。もっと君とくっついていたかった。

でもこれで一歩前進。君にわたしのこと意識してもらえたから。

これからもっと君にアピールして、わたしのこと好きになってもらう。

あ……そうだね。わたしの帰り道あっちだ。

じゃあ今日はここでさよならだね。名残惜しいけど…

え……君にしては前向きな発言。ちょっと驚いた。

うん…それじゃ、また明日学校で。バイバイ。

・台本（ゆるボイ！）
隣のクラスのクールビューティーなマドンナは、なぜか無愛想な俺のことを好いてくる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎