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- ジョロウグモ
公開日2022年04月21日 10:34
更新日2022年04月29日 16:13
文字数
2654文字(約 8分51秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
絡新婦(ジョロウグモ)/妖怪
視聴者役柄
人間の青年
場所
夜の繁華街→倉庫→山奥の小屋
あらすじ
ある夜の繁華街で少女からナンパされた青年は、ついて行ったさきで少女が絡新婦だということを知る。彼女に対して「キレイ」だと告げると彼女は憤りはじめる。そこには彼女の過去が存在していた。人間を食べたくない絡新婦と青年の物語。
本編
※※※
繁華街/夜
※※※
ねーおにぃさん!わたしと"いいこと"しない?
ーーーえんこう?
あははっ!ちがうちがう!そういう変なのじゃないから安心してって!!
まあ?お兄さんをたべちゃうって点では変なお誘いではあるんだけどねぇ
…で?どうする??わたしとしてはお兄さんと一緒にいたいと思うんだどなぁ…お兄さんも楽しませてあげるよ?
ーーーいいの!?やったぁ!ありがとー!
じゃあ…おりゃっ!
おー女の子に腕掴まれて顔あかくしてるのをみるに…え〜もしかしてうぶなのかな~おにぃさ〜ん?
うりゃうりゃ!ほら女の子のやわらか~い感触はどう?なんなら触っちゃう??
ごめんって!ちょっとからかっただけぇ!
じゃ!まずはご飯食べにいこっか!ほらお兄さんついてきてー!!
※※※
暗がりに移動
※※※
―――ん~?けっこう歩く??
あー…おすすめの所はちょっと離れたところにあってさーごめんね!
…(一拍置く)
…そういやなんでついてきてくれたの?
ーーーキレイだったから?あははは!正直だねぇ!
へぇ〜そーなんだ…やっぱこの顔はいいんだね…
ーーーんー?なんでもないよ!いまの顔には自信あるんだってだけ!
よし!ほらついたよお兄さん!
―――なんにもない?
…なにいってんの?私の目の前にいるじゃんとってもおいしそうなのが
はは…あはは!あははは!!
おっもしろぉ~い!やっぱ人間ってバカだよねぇ!簡単に引っかかるんだからさ!あははは!!
ん~んふふっ!固まっちゃってか~わ~い~!絡新婦じょろうぐもの姿みてびびちゃった?びびっちゃったの??
よしよしよし~!こわいんでちゅか~?逃げてもいいんでちゅよぉ~
ちっ…なんも反応しねぇじゃん
はぁ~つまんな…逃げるとか叫ぶとかしろよ。怯えた人間を踊り食いすんのが楽しいんだからさぁ…
いっか…おなかすいたしさっさと食べよ
(耳元でささやく)
安心しな、だんだん気持ちよくなってくみたいだからさ?
…ほんとに食べちゃうけど何か言い残すことある―――は?キレイ…?
あはっ!なに?最後の最後で食べられないように頑張ってほめなきゃ~って思たんだ?
あはははっ!!…ふっざけんなよ!?
キレイとか美しいとか、そんな感情はわたしを前にして絶対にわかないんだよ!
みろよこの複眼ふくがん!耳のところまで裂けた口と人間を食うための歯!そして蜘蛛くもの姿をした下半身!どれもこれも醜いみにくだろうが!!
決めた、お前は生きたまま食わない、引きちぎって引きちぎって細切れこまぎにしてからくってやる
自分の口が招いたことだ、せいぜい後悔しながら死ぬんだな
あ?まだ何か言うつもりなのかよ―――ちっ…まだそんなことほざくのかよ…
あ~もう萎なえたわ…食欲うせた…
もう帰っていいよぉ~あんたの顔みたくねぇし食べたくもない…
あー帰ってもいいけど他の人間にわたしのこと話したらすぐ殺すから、わたしの小グモを監視用としてつけておくから絶対忘れんなよ?
※※※
数十日経過
※※※
あ~あぁ~…おなかへったぁ!!
ん~!も~むしゃくしゃする!ぜんぶあいつのせいだ!!あいつが変なこといったからだ!それにおいしそうだったから我慢できないよぉ…!!
(SE:ドアが開く音)
っ!なにっ!?
なんであんたが…!?誰にもわからないはずなのに…って…なんで小グモもいんのよ?
―――は?小グモと仲良くなって場所を教えてもらった!?ど…どうやって仲良くなったの!?
あ、いやそんなことどうでもいいか…あんた、主人を裏切るなんて…あとでおぼえておきなさいよ?
―――わたしがずっと無理してるって教えてもらったから、いてもたってもいられなかった?
はっ!口だけならどうとでもいえんのよ!
言葉じゃなく態度で証明しなさいよ!そうね…わたしはいまとってもおなかすいてるから、あんたの腕をたべさせなさいよ!!
…(一拍置く)
ふんっ!ほらみたことか、どうせそんなことできな―――え?ちょっ!あんた!いきなり上着を脱ぎ始めないでよ!この…変態っ!!
―――腕を食べてもらうなら服が邪魔…?
はぁ!?あんた本気でわたしに腕を食べさせようとしてんの!?ば…バカじゃないの!?自分の腕がなくなっちゃうのよ?それに、本気だしたらあんたなんて簡単に捕食できるのよ!?
―――君のことが好きだから…あぁ~もう!なんでまたそういうこといっちゃうのかなぁ…
きょとんとしないで!こっちはそのせいで迷惑してんのよ!!
―――なんでって…はじめてだったんだもん…
はじめてだったのよ!人に「キレイだって」ほめてもらえたのが!!
…(一拍置く)
わたしね…じつは人間を食べないようにしてんだ…
小っちゃいときに山奥から人里に遊びにでたことがあったんだ。そのころは擬態ぎたいがうまくなかったから、もとの姿に戻っちゃって大勢の人間から殺されそうになった…そのとき、みんな言ってたのよ「あの人を返せ、あの子を返せ」って
親が来てくれたからなんともなかったけど、毎日食べてたお肉が人間だったってこと、だから人間から恨まれる存在なんだってことに気づいたんだ…
それからは家を飛び出して、人間を食べたくなっても我慢して我慢して我慢し続けてきたの
どうしてもおなかすいたら動物を食べるようにした。でも口に合わないから辛くて辛くてしょうがなかった
なのに!あの夜にあんたと会っちゃって…我慢できなくなりそうだった!
だからあんたを脅して自分の感情に見切りをつけようとしたのに…あんたはわたしのことを「キレイだ」って言ってきた…
だ!だから迷惑してんのよ!!もうほっといて!
あんたは人間だからすぐに死んじゃうし!「キレイだ」っていってくれたあんたを食べたくない!だから帰って―――ひゃっ!なっ…なによいきなり抱きついてきて!
―――それでも君を助けたい、食べてくれるまで離さない
…やっぱりバカね、ただの人間がわたしにかなうとでも思ってんの?…でもありがとう
…(一拍置く)
ひとつだけ方法があるの…わたしがあんたを仲間にすればいい…。そうすれば、あんたの一部を食べてもあんたは死なないし、食べた部分ももとに戻る!
でも…!そしたらあんたは人間じゃなくなるし、簡単には死ねなくなる…それじゃあ苦しめちゃう!
わたしにはできない!できないよ!!
―――君と一緒にいられるのなら
…ほんっとに馬鹿なんだから…きっと、きっと後悔しちゃうよ…?
―――うん…わかった、じゃあ…するね?
はむっ…ん…んぐ…(体の一部を食べる)
おいしい…!おいしいよぉ…!
はむっ…ん…ん…んぐ…(フェードアウト)
※※※
数年後
※※※
ん…んん…ん…
ふわぁ~
…おはようあなた…
ちょっとさぁ昔の夢みてた。うん…わたしとあなたが出会ったころの
ねぇねぇこっち来て…うんありがと!
ぎゅーーーーっ!
あのときあなたに会えてほんとによかった…わたしにもこうして必要としてくれる人ができてほんとうにうれしかった…
―――うん、とっても幸せ…これからもふたりで幸せに暮らそうね!
繁華街/夜
※※※
ねーおにぃさん!わたしと"いいこと"しない?
ーーーえんこう?
あははっ!ちがうちがう!そういう変なのじゃないから安心してって!!
まあ?お兄さんをたべちゃうって点では変なお誘いではあるんだけどねぇ
…で?どうする??わたしとしてはお兄さんと一緒にいたいと思うんだどなぁ…お兄さんも楽しませてあげるよ?
ーーーいいの!?やったぁ!ありがとー!
じゃあ…おりゃっ!
おー女の子に腕掴まれて顔あかくしてるのをみるに…え〜もしかしてうぶなのかな~おにぃさ〜ん?
うりゃうりゃ!ほら女の子のやわらか~い感触はどう?なんなら触っちゃう??
ごめんって!ちょっとからかっただけぇ!
じゃ!まずはご飯食べにいこっか!ほらお兄さんついてきてー!!
※※※
暗がりに移動
※※※
―――ん~?けっこう歩く??
あー…おすすめの所はちょっと離れたところにあってさーごめんね!
…(一拍置く)
…そういやなんでついてきてくれたの?
ーーーキレイだったから?あははは!正直だねぇ!
へぇ〜そーなんだ…やっぱこの顔はいいんだね…
ーーーんー?なんでもないよ!いまの顔には自信あるんだってだけ!
よし!ほらついたよお兄さん!
―――なんにもない?
…なにいってんの?私の目の前にいるじゃんとってもおいしそうなのが
はは…あはは!あははは!!
おっもしろぉ~い!やっぱ人間ってバカだよねぇ!簡単に引っかかるんだからさ!あははは!!
ん~んふふっ!固まっちゃってか~わ~い~!絡新婦じょろうぐもの姿みてびびちゃった?びびっちゃったの??
よしよしよし~!こわいんでちゅか~?逃げてもいいんでちゅよぉ~
ちっ…なんも反応しねぇじゃん
はぁ~つまんな…逃げるとか叫ぶとかしろよ。怯えた人間を踊り食いすんのが楽しいんだからさぁ…
いっか…おなかすいたしさっさと食べよ
(耳元でささやく)
安心しな、だんだん気持ちよくなってくみたいだからさ?
…ほんとに食べちゃうけど何か言い残すことある―――は?キレイ…?
あはっ!なに?最後の最後で食べられないように頑張ってほめなきゃ~って思たんだ?
あはははっ!!…ふっざけんなよ!?
キレイとか美しいとか、そんな感情はわたしを前にして絶対にわかないんだよ!
みろよこの複眼ふくがん!耳のところまで裂けた口と人間を食うための歯!そして蜘蛛くもの姿をした下半身!どれもこれも醜いみにくだろうが!!
決めた、お前は生きたまま食わない、引きちぎって引きちぎって細切れこまぎにしてからくってやる
自分の口が招いたことだ、せいぜい後悔しながら死ぬんだな
あ?まだ何か言うつもりなのかよ―――ちっ…まだそんなことほざくのかよ…
あ~もう萎なえたわ…食欲うせた…
もう帰っていいよぉ~あんたの顔みたくねぇし食べたくもない…
あー帰ってもいいけど他の人間にわたしのこと話したらすぐ殺すから、わたしの小グモを監視用としてつけておくから絶対忘れんなよ?
※※※
数十日経過
※※※
あ~あぁ~…おなかへったぁ!!
ん~!も~むしゃくしゃする!ぜんぶあいつのせいだ!!あいつが変なこといったからだ!それにおいしそうだったから我慢できないよぉ…!!
(SE:ドアが開く音)
っ!なにっ!?
なんであんたが…!?誰にもわからないはずなのに…って…なんで小グモもいんのよ?
―――は?小グモと仲良くなって場所を教えてもらった!?ど…どうやって仲良くなったの!?
あ、いやそんなことどうでもいいか…あんた、主人を裏切るなんて…あとでおぼえておきなさいよ?
―――わたしがずっと無理してるって教えてもらったから、いてもたってもいられなかった?
はっ!口だけならどうとでもいえんのよ!
言葉じゃなく態度で証明しなさいよ!そうね…わたしはいまとってもおなかすいてるから、あんたの腕をたべさせなさいよ!!
…(一拍置く)
ふんっ!ほらみたことか、どうせそんなことできな―――え?ちょっ!あんた!いきなり上着を脱ぎ始めないでよ!この…変態っ!!
―――腕を食べてもらうなら服が邪魔…?
はぁ!?あんた本気でわたしに腕を食べさせようとしてんの!?ば…バカじゃないの!?自分の腕がなくなっちゃうのよ?それに、本気だしたらあんたなんて簡単に捕食できるのよ!?
―――君のことが好きだから…あぁ~もう!なんでまたそういうこといっちゃうのかなぁ…
きょとんとしないで!こっちはそのせいで迷惑してんのよ!!
―――なんでって…はじめてだったんだもん…
はじめてだったのよ!人に「キレイだって」ほめてもらえたのが!!
…(一拍置く)
わたしね…じつは人間を食べないようにしてんだ…
小っちゃいときに山奥から人里に遊びにでたことがあったんだ。そのころは擬態ぎたいがうまくなかったから、もとの姿に戻っちゃって大勢の人間から殺されそうになった…そのとき、みんな言ってたのよ「あの人を返せ、あの子を返せ」って
親が来てくれたからなんともなかったけど、毎日食べてたお肉が人間だったってこと、だから人間から恨まれる存在なんだってことに気づいたんだ…
それからは家を飛び出して、人間を食べたくなっても我慢して我慢して我慢し続けてきたの
どうしてもおなかすいたら動物を食べるようにした。でも口に合わないから辛くて辛くてしょうがなかった
なのに!あの夜にあんたと会っちゃって…我慢できなくなりそうだった!
だからあんたを脅して自分の感情に見切りをつけようとしたのに…あんたはわたしのことを「キレイだ」って言ってきた…
だ!だから迷惑してんのよ!!もうほっといて!
あんたは人間だからすぐに死んじゃうし!「キレイだ」っていってくれたあんたを食べたくない!だから帰って―――ひゃっ!なっ…なによいきなり抱きついてきて!
―――それでも君を助けたい、食べてくれるまで離さない
…やっぱりバカね、ただの人間がわたしにかなうとでも思ってんの?…でもありがとう
…(一拍置く)
ひとつだけ方法があるの…わたしがあんたを仲間にすればいい…。そうすれば、あんたの一部を食べてもあんたは死なないし、食べた部分ももとに戻る!
でも…!そしたらあんたは人間じゃなくなるし、簡単には死ねなくなる…それじゃあ苦しめちゃう!
わたしにはできない!できないよ!!
―――君と一緒にいられるのなら
…ほんっとに馬鹿なんだから…きっと、きっと後悔しちゃうよ…?
―――うん…わかった、じゃあ…するね?
はむっ…ん…んぐ…(体の一部を食べる)
おいしい…!おいしいよぉ…!
はむっ…ん…ん…んぐ…(フェードアウト)
※※※
数年後
※※※
ん…んん…ん…
ふわぁ~
…おはようあなた…
ちょっとさぁ昔の夢みてた。うん…わたしとあなたが出会ったころの
ねぇねぇこっち来て…うんありがと!
ぎゅーーーーっ!
あのときあなたに会えてほんとによかった…わたしにもこうして必要としてくれる人ができてほんとうにうれしかった…
―――うん、とっても幸せ…これからもふたりで幸せに暮らそうね!
クレジット
ライター情報
老田コジカと申します。
使用に関する報告などは不要です。
使用に際して生じた損害の一切の責任を負えませんので、ご了承ください。
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