魔王城に侵入してきた勇者を待つ魔王
魔王の待つ部屋の扉が開かれ勇者が現れたがその勇者は小さく可愛いかった。
その容姿に驚きつつも魔王として振る舞うが戦う前に勇者に泣かれてしまい、魔王の我慢が限界になってしまった。

何？
もう勇者が我が城に侵入し、もうすぐここに到達するだと？

フフフ、フッハッハー。
どうした？
敵が目の前まで来ているのに笑っているのがおかしいか？
なーに。
我が魔王軍の精鋭部隊を倒した勇者をやっと見ることが出来ると思うと少々楽しみでな。

確か勇者は魔族と人の共存を唱えているようなやつだったな。
そんなことを言う奴が魔族の王たる我に何をいうか本当に楽しみだ。

確か勇者はパーティを組まずに1人でここに来たのだったな。
なら、私も1人で奴を迎えるとしよう。
お前はどこかに避難しているといい。

……さて、勇者よ。
お前がどんな奴なのか早く見てみたいものだ。



ギィ(扉が開く音)

よく来たな、勇者よ。
我こそが魔族の王、魔王…なるぞ。
…おぬし、本当に勇者か？

い、いや、我が想像していた勇者とは随分違って…
もっとがたいが良く見るからに強そうなのをイメージしておったから
その…おぬしみたいに小さく…というか…かわいい奴だとは思わなかった。

ま、まぁよい。
見た目など問題ではないからな。
問題は我とおぬしどちらが強いかだ！

ん？
なんだ？
話を聞け…だと？
命乞いでもするつもりか？

ああ。分かっているさ。
こんなところまできて勇者であるおぬしが命乞いなどするはずない。
フッ、話とやら一応聞いてやろう。

…おぬし、そんなくだらないことを言いにここまで来たのか？
くだらなくなんてないだと？
ふざけるな！
魔族と人間が共存できる世界を作るのを手伝ってほしい？
そんな世界出来る訳がない！
何故…だと？

仮にそんな世界が出来たとする。
その場合、魔族と人、それぞれが持っていた恨みはどうなる？
魔族に大切な者を奪われた人は魔族を受け入れることが出来るのか？
無理だろ？

おぬしが一人でここに来たのもおぬしの考えに賛同するものがいないからではないか？
…図星か。

立ち去れ。
そんな考えを持っているものと我は闘うつもりはない。

…な、泣くでない。
仮にもおぬしは勇者だろ。
お、おぬしに泣かれると我は…もう…

ガバ(勇者に抱き着く音)

我慢できぬ。

(ここから声が近く、少し優しく)

もう無理だ。
おぬしのような小さく、可愛いものを見てると我は抱き着きたくなるのだ。
一目見たときからこうやって触りたかった。
我は我慢して魔王として振る舞っていたのに急に泣くのは反則だぞ。
我慢していた我が馬鹿みたいではないか。

あぁ、よしよし。
冷たい態度を取ったりして悪かったな。
でも、立場上そうしなければいけなかったんだ。
分かってくれ。

よしよし。
泣き止んだな。
それでこそ勇者だ。

なぁ、勇者よ。
お前の考えは素晴らしいがその道は修羅の道だ。
それは分かってるか？

そうか。
分かっているならよい。
じゃあ、我と一緒に頑張って実現していこうな。

ん？
いいのか、だと？
本当は駄目だろうな。
だが、こうしておぬしを抱きしめてるとなんかどうでもよくなってきた。
と、言っても我も魔王だ。
ただでおぬしに協力とはいかん。
一つだけ条件がある。

なに、簡単なことだ。
勇者、おぬしが我の物になるのであれば協力してやろう。

どうした？
おぬし一人が犠牲になれば魔族の長たる我が魔族と人の共存に手を貸すと言っているのだぞ？
悩む必要などないだろ？

それでいい。
今からおぬしは我の物だ。
共に魔族と人の共存を目指すとしよう。

そして、それが成就した暁には…フッ。
その先の事はこれから考えるとしよう。

とりあえず、今はこのままおぬしをずっと抱きしめさせてくれ。
よいだろう。
なぁ、我の可愛い勇者よ。

・台本（ゆるボイ！）
ショタコン魔王は小さな勇者の泣き顔に弱い
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
トラクベルク