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気が付いたら椅子に拘束されてて異世界に飛ばされていたんだけどその先でダークエルフに耳かきされた
written by 雨宿 りと
  • 耳かき
  • ファンタジー
  • 年上
  • エルフ
  • シリアス
公開日2022年04月25日 00:43 更新日2022年05月01日 01:23
文字数
3556文字(約 11分52秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
ダークエルフ
視聴者役柄
人間
場所
ダークエルフの自室
あらすじ
気が付くと手足を縛られていて、椅子に座ってた。意識が鮮明になると、声をかけてきたのは日焼けした肌に銀髪、そして尖った長い耳の女性だった。
ダークエルフは気絶して倒れてるのを見つけ自室に連れてくるも、警戒心が強いため、手足を縛って座れていた。

本作ではエルフをアールヴ、ダークエルフをデックアールヴと表記してますが、エルフとダークエルフに置き換えてもらっても構いません。
その場合はデックに関したくだりを飛ばしてもらうか、ダークエルフになった理由など多少台本を変えてご使用ください。

ダークエルフさんについて
フレンドリーというか、友好的というよりも、初対面でも自分のスタイルを崩さない感じでしょうか
距離はやや近いし、面倒だったり嫌だと思ったらストレートに言う所謂サバサバ系に近いものがある感じで書きましたが、
これも演者さまによって口調や語尾、性格などの多少の変更は問題ありません。
本編
(左耳から聞こえるように)
「目が覚めたかしら?」

(SE:縄が軋む音)

「無駄よ。手足は拘束させてもらってるわ。不意に暴れられたら困るからね」

「ここは何処だ。ですって?そんな演技が通用すると思ってるの?」

「縄を解いてくれ…?そんな怪しい服装をした人をそう易々と信用すると思ってるの?」

「それはアンタだ?何を言ってるのよ。ここではこれが普通の服装よ」

(SE:歩く音)
(正面から聞こえるように)

「そんな事より、君は何者なの?上質な布を使ってはいるけど、姿からして貴族には見えない…そもそもこの辺で人間など住んでるという話しも──」

「…は?チ、キュ…ウ?ニホン…?それが君の住んでいた国の名前なの?」

「うーんどちらも聞いたことない名前だけど…え?い、せか…い…?」

「なっちょっと!何?!急に暴れだして!」

「え?異世界…転…生…?」

「つまり、君はチキュウという星からやってきた異世界者って事?」

「ふーん…」

「え?なんでそんなに、リアクションが薄いんだって?」

「いや、だってそんな事簡単に信じるわけないでしょ?まぁ、変な服装にかばんの中身は確かによくわからないものばかりだけど…」

「それに私たちは人間の生活なんてよく知らないし、罠って可能性もあるしね」

「私は人間じゃないのかって?えぇ、そうよ。私はアールヴ族…人間でいえばエルフって言った方が一般的かしら」

「と言っても、私は普通のアールヴ族じゃなくてデックアールヴだけどね」

「つまりは、ダークエルフって事?まぁ、人間ではそう呼んでる人もいるんじゃないかしら」

「そんなことより…君が気絶してる間に持ち物を調べさせてもらったわ。危険物が入ってたりしても嫌だし」

「で…幾つか疑問、というより興味深い物を見つけたんだけど…」

(SE:歩く音)
(SE:カバンから取り出す音)

(右耳から聞こえるように)
「この、木のような物で作られた棒と、両端が白い布…?がついた棒が気になったんだけど…これは一体何に使うのかしら?」

「かばんの中身を見ると、何かが描かれた本と何も書かれてない本と、上質で分厚い布とか…」

「これらは、大体推察すれば想像がつくものだけど…この棒は違う、一体何に使うのか見当もつかない」

「人間が考えた、新たな小型の暗殺武器?それとも小型の魔杖?何にしたって私にとっては危険物に決まって──」

「何笑ってるの?まさか、図星じゃ──え?これは武器でも杖でもない…?」

「耳かき棒…?綿棒…?それは一体何なの…?」

「耳が痒かった時や、耳垢が溜まった時に掃除する為に使う物…?人間はそういうのが必要なの?」

「私?基本的に私たちアールヴ族は浄化の魔術を使ってるから、そういう行為自体必要ないのよ」

「耳かき…ねぇ…」

「え?なんなら、試しに耳かき棒を使ってみたらわかる…?まぁ、確かにそう、よね…ふむ…」

「まだ疑ってるのかって?決まってるじゃない、人間とは別に争ってるわけじゃないけど、交流がそんなにあるわけでもないし」

「というか普通、生まれて初めて見た物に対して用心深くなると思うんだけど?それとも人間は好奇心が強い種族なのかしら?」

「まぁいいわ、今は君の言葉を信じるかぁ、触っても何の魔力も感じなかったし。まぁ…嘘だったらその時はどうなるか…」

「ふふふ、それはさておき、この耳かき棒ってのはどうやって使うのかしら?」

「ふんふん…え、私の膝に君の頭を乗せるの…?このままの姿勢じゃダメなの…?」

「それだと、見えにくいだろうし、やりにくい…。まぁ、確かに…はぁ、仕方ない。こっちのベッドでするか…あ、でも縄の拘束は解かないからね」

(SE:歩く音)
(SE:ベッドに座る、軋む音)
(SE:片耳を膝に乗せる音)

(片方の耳から聞こえるように)
「…確かにこの姿勢だと見やすいし、やりやすそうね…でこの先が曲がった方を耳穴に入れて、耳垢を掻き出せばいいのね?それじゃ…」

(耳かき開始)
「ん…このくらいの強さでいいの…?もう少し強くしてもいい?わかった」

「こうして、改めて見ると人間の耳って面白い形してるわよね。なんというか…小さい?あと溝の形も私たちと全然違うし」

「もう少し奥も掻いてほしい…?え、大丈夫なの…?どうなっても知らないからね…?」

(SE:布がこすれる音)
(耳かき中断)
「ちょ、ちょっと!変な声出さないでよっあともぞもぞ動かないで!危うく力んじゃうところだったじゃない!」

「丁度痒い所に、いい感じで耳かき棒が当たって気持ちよかった…?」

「そ、そう…で、でも動くとビックリするからやめてよね」

(耳かき再開)
「それにしても、なんともまぁ…間の抜けた顔しちゃって…でも、気持ちいいってことは、これは本当にそういう道具なのねぇ」

「まだ疑っていたのかって?当然でしょ、私は警戒心が強いの」

「ん、そろそろ、反対の方を使ってほしい…?あぁ、この綿毛の方ね」
(梵天開始)

「よほど上質な綿毛なのかしら、すごいふわふわだし…気持ちよさも…顔見れば一目瞭然ね」

「綿毛じゃなくてボンテン…?変わった名前ね」

(梵天終了)
「そろそろいいかしら……え?まだ続きがある?一体──なっ耳に息を吹きかけろですって?!」

「さては、それが目的じゃ──え?そうするとボンテンでも取り切れなかった細かい垢を吹き飛ばすことができる…?ま、まぁ確かにそういわれると…」

(耳ふー)
「こ、これでいいの?え?あと数回…?はぁ、わかったわ」

「これで終わり?あぁ…反対も?確かにそれもそうよね。じゃあ反対向いて」

(SE:布がこすれる音)
(反対の耳から聞こえるように)
「あぁ…始めるのはいいんだけど、さっきの白い方…そう!綿棒!そっちも使わせて。なんでって耳かきはわかったけど、こっちも一応使わないと本当かどうかわからないでしょ?」

(SE:綿棒を取り出す音)
「ふーん…耳かき棒と違ってこっちは柔らかいのね?ま、とりあえず入れるわね」

(耳かき開始)
「うーん…綿棒だと柔らかいから、取るの難しいわね…え?綿棒をクルクルと回しながら絡めながら取るとやりやすい…?」

「こう…?へぇ、確かにこっちの方がやりやすいかも!」

「ん?この辺には人間はいないのかですって?そうね、ここは森でもかなり奥地方なの。だから人を見かけるのは商売に来る商人か、旅人くらいかしら」

「好き好んでこの村に来る人は多くはないわよ。私たちアールヴ族は人間を敵対してるわけでもないけど、歓迎してるわけでもない。つまり最低限の交流しかしてないのよ」

「といってもこの村はって話だけど。え?ダークエルフなのはわかったけど、デックアールヴのデックってどういう意味なのかって?」

「…私たちデックアールヴ族の先祖はその昔、闇の力に手を染めて闇に支配されたの。闇に支配されたアールヴ族は力も魔力も強いけど、それよりなによりも、性格が豹変して悪事を働いたとされてるわ」

「といっても、伝説の域を超えないおとぎ話だけど。普通のアールヴ、もといエルフは近接戦闘や、体術などが得意で、私のデックアールヴ、ダークエルフは近接や体術はもちろん魔術もエルフより高いとされてるわね」

「…ま、ハイアールヴと比べると全然だけどね。ちなみに、デックアールヴには先天性、後天性ってのがあってね、生まれ持ってデックアールヴなのと私みたいに後天的にデックアールヴの2種類が存在するの」

「え?私がデックアールヴになった理由…?知りたいの…?」

(耳かき終了)
「あ、こっちも梵天した方がいいよね?わかったわ」
(梵天開始)

「えぇ?せっかく話の腰を折ったのに、まだ聞きたいの?」

「あ、ううん。別に言いたくないわけじゃないんだけど…ここで言うのもなんか変というか…そもそも見ず知らずの人間に話す理由でもないかなって」

(梵天終了)
「はい、梵天おわりっと、あとは─」
(耳ふー)

「うん、これでいいわね」

(SE:縄をほどく音)

「これは確かに耳掃除に使う道具っだったようね。ごめんなさい」

「それで…私がデックアールヴになった理由なんだけど。まだ聞きたい?」

「即答なのね…わかったわ…私同族殺しをしてるの。私の家族をバラバラにしたいけ好かない親族達が居てね」

「それで、復讐を始めてから気が付いたらデックアールヴになってて…」

「二人よ、今まで殺めた同族は二人。でもまだこれじゃ終わらない。これから先も復讐を続けるわ。私の、両親、妹に弟。みんなあいつらのせいで…」

「ってなんかごめんねこんな話ししちゃって。それじゃ君をこの村の村長にところに案内してこれからの事を話し─」

「え?手伝う?」

「その気持ちすごくよくわかるって…そう、君も同じ目にあったのね…」

「でも、大丈夫、というか、人間に手伝ってもらうことじゃないし、何より…君弱そうだし、ね…」

「ともかく!村長のところに行くわよ」

(SE:ドアを開ける先に出ていく音)

(小声で)
「確かに、弱そうだけど。あの目は本気の目だった…けど、ダメよ。知らない人間に手伝わせるなんて。これは私の事なんだから」
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
気が付いたら椅子に拘束されてて異世界に飛ばされていたんだけどその先でダークエルフに耳かきされた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
雨宿 りと
ライター情報
ただのしがない暇人おたくです。ゲームとか音楽とか貪って生きてる声劇大好きマン、台本とかも趣味で書いてます。
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