帰宅途中の貴方は、家の前で途方に暮れている女子高生に声をかける。何事か聞くと、彼女曰く家の鍵を無くしたとのこと。
そんな彼女に貴方は鍵を探すのを手伝うことを打診するが…？

(カバンの中を漁る)

えー、嘘ー…鍵ねーじゃん。ヤバ〜…

どっかで落としたのかな〜…家入れねーし…

てか絶対怒られるパターンじゃん、これ…

(ため息)

あーあ、詰んだわ…もー、どーすっかなー、これ…

へ？……あの、どちら様ですか？

あ、あ〜、近所の、ね……どもです。

それでアタシに何か御用で…？

え？……あぁ、そうなんすよ。実は鍵、どっかに落としたみたいで…

いや〜…心当たりあったら、こんなとこで座り込んだりしねーっすよ。あはは…

今日一日振り返って？え〜っとぉ…何したっけなぁ、アタシ…

ふつうに学校行って、帰りに友達とゲーセン行ってカラオケ行って…

えー⁉︎ 今から⁉︎ めんどくさ〜…

うぐっ…まぁたしかに、落としたのアタシですけど…

いや、でもほら！もう誰かに拾われてるかもしれないし…！

…お兄さん、初対面の女子高生に容赦ないっすね。もうちょっと手心加えてくれません？

(ため息)

りょーかいで〜す…じゃあ今から探しに行きま〜す…

え？お兄さんも手伝ってくれんの？ガチで？

むっ…面倒見てくれるのは嬉しいですけど、ガキ呼ばわりは失礼じゃないですか？一応、これでも高校生なんですけど？

お兄さん、デリカシーねーわ〜…絶対モテないでしょ？

あぁ、嘘嘘！今の取り消すから手伝って！オナシャス！

え、えへへ…どーも、助かりま〜す…





ゲーセンもカラオケもないか〜…じゃあ学校かその途中で落としたくらいしか…

はぁ？何言ってんの？そんな都合よくその辺に落ちてるわ、け……

あーっ！それ、アタシの鍵！どこで⁉︎

え、嘘⁉︎ そんなとこに⁉︎

うわ〜、なんでそんな意味不なとこに落としてんだろ、アタシ…！

やー、でも助かったー！親に怒られずに済む！

ありがと、お兄さん！マジ助かったわー！

そーだね！さっさと帰ろ！日ぃ暮れそうだし！





お兄さんマジ神！なんであそこに落ちてんの分かったの？

へー、偶然。そっかそっか。まぁなんでもいいけど。

てかさー、お兄さん、どこ住んでんの？この辺？

あ、そーなんだ。うちと近いじゃん。

…って言ってるうちに着いたけど。アタシの家、ここね。

あ、そっか。アタシが家の前で途方に暮れてんの見たもんね、お兄さん。

うん、それじゃあまた！マジでありがとね！バイバーイ！





はー、疲れた〜。古典の授業、マジだりーよね〜。

そーそー。睡眠学習推奨してんのかっつーぐらい眠い声してるし、あの先生。

うん。じゃあアタシこっちだから。じゃねー。





あれ？お兄さんじゃん。こんなとこで何してんの？

へー…お兄さん、タバコ吸うんだ。見た目的にあんま意外でもないけど。

てかダルそうな顔してんじゃん。なんかあった？

ふーん、色々…お兄さんも大変そうだねー。

は？別にいいじゃん。つか、お子様呼ばわりすんなし。

お兄さんはこれだからさぁ…デリカシーのカケラもねーし。

それよりせっかく会いに来てあげたんだから、ちょっとくらい構えよー。

なんだ、分かってんじゃん。途中まで一緒に帰ろ。





ん？そうだよ。今学校の帰り。

いつも通り授業受けて、友達と駄弁って…あとたまにバイトして…

あ、そーだ。こないだはありがとね。家の鍵、見つけてくれて。

うん、見つかってよかった。あのまま無くしてたら、ママからゲンコツもらうとこだったし。あと、鍵代請求されてた。

せっかく貯めたバイト代消し飛ぶとこだったー。危なかったー。

てかさ、お兄さんは普段何やってんの？

へー、ライター…物書きってこと？初めて聞いた。

お兄さんも大変そーだね。お仕事。

むっ…またガキ呼ばわり…アタシ、高校生だって前に言ったよね？もう忘れた？

うっわ、ムカつく〜……お兄さん、ちょっと後ろ向いて。

(バックハグ)

どう？アタシの感触は？

にっぶ…決まってんじゃん。胸、当たってるでしょ？

は？そんだけ？何カップとか聞かないの？

いや、忙しいからって…さっきまで余裕こいてタバコ吸ってたじゃん。一応、それなりに余裕はあるんでしょ？

だったらちょっとくらい、アタシに構えよなー。

(頭を乱暴に撫でられる)

うわっ！ちょ！髪乱れるじゃん！もーちょっと、優しく撫でろって！

へ？……ふふっ、何言い出すかと思えば…

二十代後半のおっさんに言われなくても、アタシは自分のことちゃんと優先してますー。

あ、またガキって言った。そんな子ども扱いすんなっつの。

…ね、お兄さん。アタシってそんな子どもっぽいかな？

いや、気にするし。アタシだってそーいうお年頃なんですー。

(頭を優しく撫でられる)

な、なに…？急に優しくしちゃってさ…

え？マジ？今、何でもするって言った？言質とったからね？

ふふふっ…よーし、じゃあお言葉に甘えて、なんか一個言うこと聞いてもらおっかな♪

じゃあ一つお願い…アタシを優しく抱きしめて。大人の女として扱って。

うん、マジ。つか周り誰もいねーのに、通報されんのビビんなし。

サンキュー。じゃ、失礼しまーす…

(優しくハグされる)

うん…こんなもんでいいよ。悪くないじゃん。

ねぇ…今、ドキドキしてる？女の子抱きしめてさ…

もー、何それ…誰も通報する人いねーのに、前科持ちになる心配すんな。ムード台無しじゃん。

つーかお兄さん、彼女は？いる？いない？

そっか、いないんだ。じゃあ目ェ瞑って。

いいから早く。瞑らないなら、目潰しするよ？

ん、瞑った？薄目も開けてない？

よーし…それじゃ、失礼して…

(キス)

ふふっ♪こんなもんでどう？満足した？

あ、もしかして逆に残念だったり？ほっぺより唇のがよかった？

あははっ♪ お兄さん、めっちゃ動揺してるー！ウケる！

あはは……んー？なに？時間ならあるけど？

へっ？マジ⁉︎ 行く行く！連れてって！

やたー！お兄さんの奢り！ゴチになりまーす！

(手を繋がれる)

え？なに？手繋いでくるとか、急に積極的になるじゃん。

あ、あー、そーいうことね。納得。

ま、まぁアタシいい女だし？それなりに顔面偏差値高いし？

は？妹？お兄さんと顔似てねーじゃん。流石に兄妹は無理あるでしょ。

最初からちゃんと彼氏役やれよー。自分から言い出したんだから。

はいはい…エスコートよろ〜。

ん？……ふふっ、りょーかい。ちゃんと覚えとく。

覚えとくから、この次もご飯誘ってよね。お兄さん♪

・台本（ゆるボイ！）
近所に住むJKの家の鍵を見つけてやったら、懐かれた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎