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勇者様、起きてください。朝ですよ。
written by 柊ユーリ
  • 別れ話
  • 寝起き
  • 純愛
  • 切ない
  • 幼なじみ
  • 神官
公開日2022年06月08日 01:07 更新日2022年06月08日 01:07
文字数
1241文字(約 4分9秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
勇者パーティの神官・幼馴染
視聴者役柄
勇者
場所
宿屋
あらすじ
一人称、口調、性別変更、アレンジ等なんでもOK。
ご使用報告あれば嬉しいですが強制ではありません。
本編
 勇者様。
 勇者様。

 起きてください、朝ですよ。

 おはようございます。
 私です。神官です。

 はい。
 私は昨夜、一つ目の魔物、ギガンテスにやられて、死んでしまいましたね。
 痛かったです。とっても。
 ぷちっ、て押しつぶしてきちゃうんですもん。
 身体ぐちゃぐちゃですよ。ぐちゃぐちゃ。
 目もあてられない惨状を晒してごめんなさいね。

 でも、勇者様ったら私がいないと起きないじゃないですか。
 勇者様ったら、世界が滅んでもずーっと寝てそうじゃないですか。
 だったら、私が起こさないといけないじゃありませんか?

 はいはい。
 眠いなら、顔を洗っちゃいましょうね。
 はい、たらいにお水も用意していますよ。

 じゃぶ、じゃぶ、じゃぶ。
 はい、タオルをどうぞ。

 もう、そんなに床を水浸しにして。
 どうして顔を洗うだけであちこち水浸しにできるんですか?
 戦士さんにまた笑われちゃいますよ。
 豪快だな、なんてあの人に言われちゃ大変です。
 
 次に歯磨き。
 どうぞ、歯磨き粉つけてますよ。
 勇者様勇者様、そこは鼻です。
 歯を磨いてください。
 鼻に歯磨き粉をつけてたら、魔法使いちゃんびっくりしますよ。
 勇者様ったら、魔法使いちゃんに怖がられたくないでしょう?

 お着換えもどうぞ。
 鎧……は、あとでいいですね。
 とりあえず、宿屋の一階でご飯食べないといけませんものね。
 あー、もう。
 前と後ろが逆です。
 はい、袖だけ抜いて、くるっと回す。
 もう、変わりませんねぇ。

 え?
 さあ、私が貴方に敬語で話すことにしたのはいつからでしたっけ。
 少なくとも、ただの幼馴染の間は違いましたねぇ。
 貴方が選ばれし勇者様だってわかってから?
 私が貴方についていくために神官の道をこころざしてから?
 忘れちゃいましたね。

 どうでもいいじゃないですか、言葉なんて。
 言葉なんて、対外的なものですよ。
 それに、どうせここでおしまいです。

 はい、おしまいですよ。
 だって、私、昨日死んでしまいましたから。
 今日からの旅は、ついていけないんですよ。
 残念ですけどね。

 恨むなら私をぷちって潰したギガンテスを恨んでください。
 あ、トロい私を恨みます?
 うーん、仕方ないなぁ。許します。
 だって、私は神の使い……ううん、貴方の幼馴染だから。

 勇者様。
 ご存知ですか?

 あの扉の向こうに、魔法使いちゃんがずっと立っていますよ。
 貴方を心配して、入って来られないんです。
 言ってあげてください。
 明日からは、君が起こして欲しいって。
 きっと、喜んで起こしてくれますよ。

 ちゃんと起きてあげてくださいね。
 世界の滅亡まで寝ていちゃだめですよ。

 戦士さんも、昨夜遅くまで飲んでいたから、まだ寝ていますね。
 一緒に、起こしに行ってあげたらどうですか?
 きっといつもみたいにパンツ一丁で寝てるだろうから、笑ってあげましょう?

 だから……私がいなくなっても……もう、大丈夫、ですね?
 はい。
 ええ。
 はい。
 ……うん。

 さよなら、勇者。
 おじいちゃんになったら、またきっと会おうね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
勇者様、起きてください。朝ですよ。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
柊ユーリ
ライター情報
ゆるっと活動しています。
よろしくお願い致します。
有償販売利用の条件
販売ページにて当方の名前「柊ユーリ」のクレジット、twitterアドレスの記載。
完成作品の一点進呈。
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