別れたけれど想い合っている元カノが、月に一度耳かきをしに来てくれる話。

※本作品の耳かきなしver.はpixivにて投稿しております。
【別れたはずの元カノが、月に一度会いに来る】
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18345447

※SEは必須ではありません。

[玄関扉の開閉音]

おかえり。
待ってたよー。


はい、ただいまのぎゅー。

ぎゅーーー。




んー、ほんのり汗の匂い。
まだまだ暑いもんね。


私？うん、シャワーお借りしましたぁ。
私もここに来るまでに結構汗かいちゃってさー…
べたべたして気持ち悪かったから軽く、ね。



いい匂い？
えー？君のシャンプーと同じ匂いだよ？



あ、服も適当に借りちゃったけど大丈夫だった？
うん、君のトレーナー。

やっぱりおっきいね。
太ももまで隠れちゃう。




ふふ、そろそろ中入ろっか。
君も着替えておいで。



(玄関→部屋の中)
[足音]



ん、楽な格好に着替えたね。
はい、お膝どうぞー。



遠慮しないの。
君を癒すために来てるんだから。


ね？早くおいで？
[頭を膝に乗せる音]


うん、いい子いい子。
[頭を撫でる音]



それじゃ、耳かきするねー？
今日は、いつもの綿棒の隣にあったこれ、使うね。


入れていくよー？
(右耳、耳かき開始)




これ、いつ買ったの？
うん、この竹の耳かき棒。
先月来た時はなかったよね？



へぇ、先週の土曜日に買ったんだ。
いいね、これ、梵天…だっけ？

綿棒でしかやったことないから、下手かもしれないけど…
痛かったりしたら言って？



できるだけ優しくやるからね。

カリ、カリ、カリ、カリ…




どう？
気持ちいい？

奥のとこがかゆい？
ん、ここ、らへんかな…


スッキリした？
ふふ、よかった。



自分でも使ってみたの？これ。

自分じゃ見えないから、こわくてうまくできなかったんだ？
でも、恐る恐るやさーしくやるくらいがちょうどいいらしいよ。




うん、ちょっと調べてみたの。

君の耳、傷つけたくないからね。

竹の耳かき棒が良さそうだから今度買おうかなーって思ってたら、君の家にあってびっくりしちゃった。


以心伝心？
んー、ふふ、そうかもね。



よし、このくらいでいいかな。

梵天いきまーす。
おー、ふわふわだ。

気持ちよさそうだねぇ。



ふわ、ふわ…

肩の力抜いていいからねー。
うんうん、仕事であった嫌なことも忘れちゃお？




うん、右耳はこんな感じかな。
じっとしててね？

ふーーーっ。
(耳ふー)




よし、じゃあ反対側やるよ。
こっち向いてー。
[頭の向きを変える音]


…あ、ちょっと待って。
裾めくれちゃったから少しだけ頭あげてくれる？

[衣擦れの音]
うん、よし、おっけー。
ばっちりです。



じゃ、左耳始めるね。
こっちも、そーっと入れるよー。

(左耳、耳かき開始)

カリ、カリ…



んー？
なんでいつもタイミングよく来るのか、って？

なんでかなぁ…
なんとなく、わかるんだよね。

君が疲れてる頃かな、って。



まぁ、私が君に会いたくなるタイミング、っていうだけなのかもしれないけど。




君も会いたいと思ってくれてたの？

…ふふ、嬉しい。



え？毎日来てもいい？

んー…私たちはさ、１ヶ月に１回会うくらいが、ちょうどいいんじゃないかな。




そんな悲しそうな顔しないでよ。

君が私を必要としてくれる限りは、いなくなったりしないから。



でも、もし…ね。
君に好きな人ができた時は、ちゃんと教えてね。


できない、って…そんなのわかんないよ？
君の周りには素敵な人がいっぱいいるんだから。





…ん、そろそろ梵天に変えるね。

くすぐったくない？大丈夫？
よかった。


[頭を撫でる音]
(頭を撫でながら梵天)

ふわ、ふわ…

疲れてるだろうし、このまま寝ていいよ。
私も今日は泊まるから、大丈夫。


うん、おやすみ。





(耳かき終了)

(声小さめ)

ふふ、気持ちよさそうに寝てる。

ごめんね。
君は今も私を好きでいてくれてるのに。


私は…君をないがしろにした過去の自分を、まだ許せそうにないんだ。



いつか、君とまた一緒に暮らせるといいな…

私が私を許せるまで、君は待っててくれるかな。




…ちゅっ。[キス音]


おやすみなさい。
君の夢に、私が出てきますように。

・台本（ゆるボイ！）
別れたはずの元カノが、耳かきのために会いに来る
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ミフジ