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長い間闘病生活を支えてくれた彼女に看取られる。
written by ろべ
  • シリアス
  • カップル
  • 純愛
  • 切ない
  • 病院
  • 看取られ
  • MTR
公開日2022年09月13日 19:22 更新日2022年09月13日 19:22
文字数
1074文字(約 3分35秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
あなたはもう意識もあるかないかの容体です。医者から声はきっと聞こえると言われ、ずっと支えてきた彼女は彼との最期の会話としてこれまでを振り返っていきます。
本編
(心電図の音)

(病室の外から声)
…はい…はい…わかりました。ありがとうございます。(少し泣いている声)

(深呼吸の後ノックの音)
わたしです。入るよ?

(扉が開き、近くに座られる。)
やっぱり…目は開けてくれないんだね…。
手、握ってるの、わかる?

お医者さんから、まだ声は聞こえるから話しかけてあげてって言われたから…喋るね?
…って言っても何から話していいか、わかんないや。

とりあえず、最初の方から話そうか。
高校の時、わたしが君に一目惚れして告白したんだよね。
で、フラれて…あの時はショックだったな。わたしって魅力ないのかなって。

まさか君の病気のせいだなんて思わなかったし、
でもその後も何回も告白してやっと付き合ったんだよね。
我ながら今思うとめちゃくちゃ恥ずかしい問答したよね。
まあそれは置いとくとして、
その後はいっぱいデートして、楽しかったなぁ。
その時間は一瞬だったけど…

3年生になってから君は学校にこれなくなって…
わたしも受験で忙しかったから、お見舞いにもなかなか行けなかったし。

一回だけ大ゲンカしたよね。きみがいきなり別れようって言って…
あの時は本気で怒ったけど、今なら君の気持ち、わかるよ。
もしわたしがそっち側だったら絶対に同じことするってわかるから。
で、仲直りするときに君、言ってくれたよね。
絶対に病気なんか治して結婚するって
恥ずかしくって、まだ高校生なのに、なんて茶化しちゃったけど本当にうれしかったんだよ?

それから君は本格的に闘病し始めて、きついリハビリも、薬の強い副作用もがんばって乗り越えようとしてくれた。
わたしはその時の君が一番好きだった…それまでの君は、かっこよかったけど…
なんだか諦めちゃってるような感じだったから。

そのあと闘病の甲斐あって、だんだん元気になって、久しぶりにデートにも行ったよね。
このまま…こんな幸せな日が続いていくんだって、わたしもきみも信じて疑わなかった。

でも…君の病気はそんな夢物語を許してくれなかった。
それまで泣き言一つ言わなかった君も、ついに元気なくなっちゃって…
わたしも気持ちがぐちゃぐちゃになっちゃって、君が一番つらいときにそばにいてあげられなかった。
あのとき一人にしてごめんなさい。ずっと…ずっと謝りたかったの。
私…ほんとに…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめ

!?いま…手、動いた…?
…そうだね。こんなこと言いたかったんじゃなかった。
…ありがとう。わたしと一緒にいてくれて。わたしを頼ってくれて。
わたしに笑顔をくれて。わたしと…付き合ってくれて。

!口が、動いて…
あ、い、し、て、る?
うん…!わたしも!わたしもあなたのこと愛してる!
だから…だから…!

(心電図が止まる)

いかないで…(噛み殺した声)
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
長い間闘病生活を支えてくれた彼女に看取られる。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ろべ
ライター情報
pixiv,twitterで活動しているフリー台本師です。得意な系統はストーリー性のあるタイプの台本です。よろしくお願いします。
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