会社では仕事ができると噂のお姉ちゃんは、家では姿が違っていて…そんなお姉ちゃんが毎日のお礼に耳かきをしてくれることになった。

※本作品は、
【仕事ができると噂の姉は弟の僕の前でだけポンコツになる】
https://yuruboi.com/script/6422
上記作品の耳かきありVer.となります。

※耳かきなしVer.投稿に伴いタイトルを変更いたしました。

※SEは必須ではありません。


んー、あ、弟くん、それ取ってー。
そう、それー。
ありがとっ。


[ペットボトルの蓋を開ける音]

ん…… [水を飲む音(嚥下音)]


ぷはぁ…
よくわかったね、水がほしいって。

何年一緒にいると思ってるんだ、って…あはは、確かに。
弟くんが産まれた時からの付き合いだもんねー。
そりゃそーだ。


弟くんのオムツを替えたことだってあるし、小学生の頃まで一緒にお風呂入ったりしてたもんねー？
シャンプー流すときに目をぎゅーってつむる弟くん、可愛かったなぁ。


ふふ、顔真っ赤じゃーん。
えー？恥ずかしいこと思い出すな、って？

弟くんさぁ、最近言葉遣い悪くない？
ていうか、お姉ちゃんに冷たくない？


私はお姉ちゃんで、君は弟なんだよ？
お姉ちゃんのほうがえらいんだぞー？


いやー…あはは、うん、確かに…最近は弟くんに面倒見てもらうことのほうが増えてきた、けど…


うー、じゃ、じゃあさ。
お礼に何かしてあげる！

そう、いつもお世話になってるお礼。
何がいい？
なんでもいいよー？


え？弟くん、耳かきしてほしいの？
ふふ、意外と可愛いこと言うんだねぇ。

あっ、からかってないって。
いいよ、耳かき、お姉ちゃんがしてあげます。


よい、っしょ。(ソファーに座り直す)

はい、ここ、太ももの上にどうぞー。
ほーら、自分から言っておいて照れないの。

頭乗せて？


[頭を膝に乗せる音]
よし、じゃあ耳かきするよー。
綿棒しかないから、綿棒でいいよね？

うん、それじゃ、失礼しまーす。

(耳かき開始)



力、抜いていいからね。
お姉ちゃんが耳かきでリラックスさせてあげるから。

む、確かに人に耳かきするのは初めてだけど…小さい頃はよく、お母さんにやってもらってたでしょ？
あれを思い出しながらやるから、大丈夫。



もー、信用がないなぁ。
これでもお姉ちゃん、会社では仕事ができて優しくて完璧な人、なんて言われてるんだよ？



あ、いや、うん、お弁当、いつも作ってくれてありがと…
うぅ…、そうです…
会社では私が自分で作ってることになってます…


否定はしたんだよ？
私ぜんっぜん料理できないし、センスもないし、あんなに可愛いお弁当作れるわけないもん。

けど、なんでか誰も信じてくれなくてさぁ…

料理もできるんですねーって、盛り上がっちゃって。
気づいたら、朝早起きして毎日お弁当作ってから出社してる、みたいな話になっちゃってて。


毎日早起きしてるのは弟くんなのにねぇ。

ほんと、弟くんには感謝してもしきれませんっ。


…あ、綿棒どう？
痛くない？

うん、それならよかった。
ちょっと奥のほう入れていくねー。



実際の掃除は苦手だけどさぁ、お姉ちゃん、耳掃除は結構得意かも。
弟くんも気持ち良さそうにしてるし、なんだか嬉しいなぁ。


んー？
あー…実際の掃除もうまくなってほしい、と。

それはー…うん、努力はしてる。

綺麗にしたい、って気持ちはあるし、なんとかしなきゃって気持ちもある。
あるんだけどさぁぁぁぁ…気持ちだけじゃどうにもならない部分ってある、でしょ？


わ、悪いとは思ってるよ？
リモートワーク中に会議がある日は、お部屋の掃除もしてもらってること。

だって、サボり防止のために、リモート会議での背景合成禁止！なんてルールがあるんだもん…

せめてカメラに映り込む部分は、綺麗にしておかないと、って思って…


あー、うん、食べたお菓子のゴミはちゃんと捨てます…うん、その日のうちに…はい。

飲みかけのペットボトルを作らない…はい。
の、飲み切れなかった場合は？
…あ、冷蔵庫に入れる…なるほど…


あと、服を脱ぎ散らかさない？
…う、だって出したらしまうの面倒だし…
確かに、着た服と着てない服が混ざってわかんなくなっちゃってるけど…

いや、そうだよね…弟くんももう大学生なのに、お姉ちゃんの下着まで片付けるの嫌だよね…
うん、気をつける…




あ、こっちの耳、一通り終わったよ。
え？
ふーってするの？

うん、わかった。

ふーーー。(耳ふー)

これ、好きなの？
そうなんだ。
じゃあ反対側終わったときもやるね。


ん、反対向きになっていいよ。
ぐるんってしてー。

[頭の向きを変える音]


よし、こっちの耳もやっていくね。
(反対側の耳かき開始)



ふぅ…改めて考えると、お姉ちゃん本当に弟くんのお世話になってばっかりだねー。
弟くん、なんだかんだ言いながらも全部やってくれるから、ついつい甘えちゃうんだよね。


ふふ、優秀過ぎる弟くんが、私をダメなお姉ちゃんにしたのかもしれないね？




え、ま、まだ言いたいことあるの…？

うん、あー、一週間に一回は忘れ物をして届けてもらってる、こと…？

そう、だね…周りの人たちは、会社近くに来た弟くんが私に会いに来てる、って思ってるね…

そのせいで弟くんが、お姉ちゃん大好きなシスコン大学生だと思われてることに関しては、まぁ…本当に申し訳ないと、うん、思ってます…


でもなんか、ほら、さ。
みんなに、弟さんに愛されてますねーって言われて、ちょっと嬉しくて…えへへ。

そうなんですーって答えてから、そういう流れになっちゃった、っていうか。


あーもう、怒らないでよぉ。
でも今更私が本当のこと言ったところで、どうにもならない気がするんだよねぇ。


みんなの理想の私が一人歩きしてる、みたいな。

正直結構きついよねー…
期待を裏切らないようにしなきゃーって、毎日緊張感すごいし、体中に力が入ってる感じ。



(このあたりから綿棒を耳奥へ)

んー、まぁ、だからって家でこんなにだらしなくしてるのが許されるわけじゃないんだけどさ。

でも弟くんのそばが唯一、私が私でいられる場所だから。
だからもうしばらくは、お姉ちゃんの面倒を見てもらえると助かりまーす。


お姉ちゃんも少しずつ、自分でいろんなことをできるように頑張れ、たら、いいねぇ(笑)

頑張る気ないだろ、って…そんなことないよー？
さっきも言ったけど、「気持ち」はあるんだから。
そのうち、そのうち頑張りまーす。



あ、それと、弟くんに大事な人ができたら教えてよー？
ちゃんとお姉ちゃんとして、挨拶するからね。
んー？
彼女チェックなんてしないよー。

そりゃ、弟くんが変な人に騙されてたら困るけど…弟くんの人を見る目は、確かだって思ってるから。
昔から、連れてくる男友達みんないい子だったもん。


あー…ただ、優しすぎてお姉ちゃんみたいなダメな人を助けてあげようとしちゃうのは、気をつけないとダメだよ？
弟くんの優しさにつけ込む人がいるかもしれないからね。

お姉ちゃんはそこだけが心配です。



でもさ、弟くんに大切な人ができても、たまにはこうやって、お姉ちゃんにお姉ちゃんらしいこと、させてくれたら嬉しいな。


うん、ありがと。
弟くんならそう言ってくれると思ってた。


ん、こっちもそろそろ終わりかな。
ふーってやつ、するね。

ふーーー。(耳ふー)



よし、完了です。
(耳かき終了)


気持ちよかった？
ん、そっか。



ふぁーあ…(あくび)
弟くんの体温あったかくて、眠くなってきちゃった。

んー、よいしょー。
(ソファーに横になる)
[衣擦れの音]



このまま寝ていー？

んぇー？今日？
朝起きてー、ご飯食べて、お昼寝してー、ご飯食べて。
弟くんの耳かきしてー、今だよ？

だらけすぎー？
んんー、ふふ、そんなこと言いながら、毛布かけてくれる弟くんさいこーう。


弟くんも一緒に寝る？

狭いから無理って…ふふっ、狭くなかったら一緒に寝てくれるんだ？
文句言う割に、お姉ちゃんに甘いんだよなぁ…弟くんは。



ん、それじゃ、夕ご飯の時間になったら起こしてね。

おやすみぃ…

・台本（ゆるボイ！）
外では仕事ができると噂の姉が日頃のお礼に耳かきをしてくれた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ミフジ