残業で帰りが遅くなった彼女を駅まで迎えにきたあなた。二人で歩く帰り道。

※SEは必須ではありません。


[駅の改札音(構内アナウンス、人の声等)]

わっ、えっ？
なんでいるの？

暗いから迎えに来てくれたの？
えー、優しいじゃーん。


あ、だからさっき電車乗ったか聞いてきたんだ？
いやぁー、愛されてんねぇ私。


ん、今日はちょっと遅くなりすぎたぁ。

あー…いや、システムトラブルがあってさ、部内の人間フル稼働で対応！みたいな感じになっちゃって。


君より帰りが遅くなるの、結構めずらしくない？
最近は、君のほうが忙しそうだったもんね。



なんかさ、迎えに来てもらうのいいね。
今度私も迎えに来ようかな、君のこと。

だめー？なんで？
危ないから？

まぁー確かに、私可愛いもんね？
心配で過保護にもなっちゃうよなー。


ふふっ、じょーだん。
このへん街灯少ないし、遅い時間になっちゃうと結構暗いからやめとく。

うん、さすがに一人で待つのはこわいかな、って。


(少し間を開ける)
ね、手繋ごうよ。
…ん。

なーんか久しぶりだね。
最近繋いでなかったから、ちょっと照れる。


一緒にいる時間が長くなるとさ、なんていうのかな…
いろんなことが似てくるっていうか。

生活リズムとか、食の好みとか、笑いのツボとか？
あと、話し方とか。

ほら、同じタイミングで同じこと言ったりするじゃん。
ハモったー！みたいな。

君と長いこと一緒にいるんだなって、ちょっと嬉しかったりするんだけど。


そういうのと同じで、歩く速度もさ…

いつのまにか、お互いの歩幅に合わせて歩くのが当たり前になって、手を繋ぐ必要もなくなってた気がする。


んーーー、でも！
手繋ぐだけでこんなにしあわせになれるなんてねー。


…ふふっ。


正直、付き合ってから何年も経って、君への気持ちも落ち着いてきたなーって思ってたんだよね。
あ、もちろん、気持ちがなくなったとかじゃないよ？

むしろ好きな気持ちは増えてると思うんだけど…(小声)


でも、付き合いたてのころみたいに、君の言葉ひとつひとつに反応しなくなったし。
一緒にいてドキドキする人、っていうよりは、一緒にいて落ち着く人になってたから。


ぅー、なんだよぉ…
こうやって迎えに来てもらったり、手繋いだりするだけで、めちゃくちゃドキドキするんだけど？

いつもとちょっと違うだけなのに、不思議じゃない？

君もドキドキしちゃってるでしょ。
耳が赤くなってまーす。



あ、こっちから帰ろうよ。
うん、少し遠回りになるけど。

いや、確かに疲れてはいるんだけどさ…
もう少しだけ、この特別な感じを楽しみたいなぁ、って。


えー…だめなの？
けちっ。


へ、…えっ？はっ？
まじ？

夜ご飯作ってくれてるの？
君が？

うわー、なにそれ…
今日最大級のサプライズじゃん！

それは早く帰らないとだ。
よし、走って帰ろ。

ほら、君も走って！

[走る音(二人分)]


(少し間を開ける)
[玄関の開閉音]

はぁっ…ふぅ…久しぶりに走ったぁ。
やば、体力落ちてる気がする…


ふぅ…よし、ただーいまっ。
ちょ、そこはおかえり、でしょー？

いとしの彼女が帰宅しましたよー？
…ん、よろしい。


それじゃ、君もただいまって言って？
いーの、どっちもやるの。


(数秒開ける)
ふふっ、おかえり。
今日もありがとね。

…大好きだよ。

・台本（ゆるボイ！）
欲張り彼女はただいまとおかえりを要求する
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ミフジ