クラスのボクっ娘同級生の裏の顔は報酬さえ積めばなんでもする呪い屋の魔女らしい。そんな噂を耳にした僕は彼女の営む呪い屋を訪れる。ある人の好意を自分に向けさせる恋のおまじないを頼むため、触媒のための髪の毛を握りしめて。彼女は本当にやってくれた。その髪の毛が誰のものなのかも確認せずに…
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あれ？きみは確か…
そうだよね。おんなじクラスの人だ。

こんなところでいったいどうしたの？
この辺りは良くない噂もあるし、あまり近づかないほうが良いって聞いたことない？

…あぁ、そういうことね。
まさにその噂に釣られてボクをこっそりつけてきたと。

ならいいよ。そこ、座ってよ。
久しぶりのお客さんなんだ。お茶でも淹れてあげるよ。


さて、じゃあ始めようか。
呪い屋へようこそ。何がお望みだい？
イタズラ、復讐、お祓い、その他もろもろ、報酬さえ貰えれば大抵のことはできるよ。
ま、重たいやつはそれなりにもらうことになるけどね。

へ～、恋のおまじない、ね。
あるよ。特定の相手を強制的に自分に惚れさせる強力な呪い。
代金は、まぁ結構高くなるけど。

でもそれってきみに必要あるのかな？
だってきみ、クラスの中でも結構整った顔立ちしてるし、成績も運動神経も優秀、
その気になれば女の子なんて引く手数多なんじゃない？

”どうしても振り向かせたい相手がいる”…ねぇ。
ふ～ん、誰かは知らないけど、ずいぶんと入れ込んでいるんだね。
まぁいいか。ボクの知ったことじゃないし。

じゃあ、もう少しこの呪いについて説明するね。
実はこの呪いの効果ってあくまで一時的なものなんだよね。
個人差はあるけど大体一週間。
この期間を過ぎたら、呪いの効果はそこで終了。
呪いで上がった分の好感度は下がってしまう。

”話が違う”って？
まぁ少し落ち着きなよ。
言っただろう？「上がった分の好感度が下がる」って。

つまりその期間中にその相手に自分のことをもっともっと好きにさせれば、
その稼いだ好感度は据え置き。
その恋が実るかどうかは、きみの頑張り次第ってことさ。
まぁ適当に押し倒してキスでもすれば簡単に落ちるんじゃないかな。
そのくらい強力な好感度ブーストがかかるはずだから。
とまぁ説明はこんなところかな。

じゃあそろそろ準備に取り掛かるとしようか。
きみ、触媒は持ってきてる？
なにかその子のゆかりのもの。

なるほど。準備良いね。
うん。その髪の毛で大丈夫。
あとはきみの髪の毛もね。(ﾌﾞﾁｯ)
あっごめん、痛かった？
まあちょっとくらい我慢してよ。男の子でしょ？

さて、あとはこの藁人形にその子の髪の毛を縫い付けて…
こっちの五寸釘にはきみの髪の毛を巻いて…
うん。これで準備は完了。

さっそく始めるかい？
おっけー。いくよ。

(釘を打つ金属音×3)

はい、終わったよ。
これでその子は君のことが好きで好きでたまらなくなったは…ず…
………ッ！？

う、うそ…なんで…！
き、きみ、いったい誰に呪いをかけて…！
ま、まさかあの髪の毛はボクの……

…ぅ…がう…ちがう違う違う…！
好きじゃない好きじゃない好きじゃない好きじゃない！
これは呪いのせいなんだ！
ボクは、きみのこと、なんか…

…すき…(小声)
ッ！？ち、ちが、今のはちょっと口が滑っただけで…

ちょ、ちょっと！なにをするつもり！？
やめて！そんなに顔を近づけないで！
このままだと…ボクは…ボクは…
んっ…

ぷはっ…
…すき…好き…すき、すき好き好き…

ち、ちがう…これ以上すきになっちゃ駄目…
キスなんかで気持ちよくなっちゃ…
だめ…なのに…
んっ…

っはぁ…
なに、これ…知らない…
こんなの知っちゃったらもう…
んっ…

はぁ…はぁ…
ヤバい…あたまばかになってる…
おなかの奥がきゅんきゅんしてる…
もっと…もっとして…？

うん…付き合う…
呪いなんてどうでもいい…
きみと付き合うから…はやく…
ん～～！

(読点部分は短くキスを挟みながら)
ボクが、こうなっちゃったのは、きみのせい、なんだからね…
きみが、ボクに、おまじないなんて、かけさせたんだから…

責任…ちゃんととってもらうから…
覚悟してよね…ダーリン？

・台本（ゆるボイ！）
呪い屋のボクっ娘魔女に恋のおまじないをかけてもらう。対象は目の前の…
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ろべ