街の人から恐れられ、人里離れた海辺の洞窟で一人暮らしているメデューサの女の子に興味を持ったあなたは、事あるごとに彼女の元へ通い、親交を深めようとしていて…

※SEは必須ではありません。


君、また来たんだ。
…別に、待ってないけど。


髪の毛が喜んで、る…？
ばっ、…変なこと言わないで。

うちのへびっ子ちゃんたちは、私の感情に合わせて動いたりしないから。

今日は天気がいいから、いつもよりちょっと元気に動いてるだけ…


それで？
今日も耳かきされに来たの？
…いいよ、ちょうど暇してたし。


はい、膝に頭乗せて。
[頭を膝に乗せる音]


…ふぅ、それじゃ私、目隠し外すからね。
君は今から、絶対に目を開けちゃダメだよ？



ぅ、まぶし…

うん、大丈夫、すぐ慣れるから。

…よし、それじゃあ始めるよ。


(右耳、耳かき開始)

最初は優しくがいいんだっけ？
ん、わかった。


(しばらく無言で耳かき)

どうかな？
少しは上手くなった？

君が初めて耳かき棒を持ってきた時は、さすがに驚いたけど。

耳かきしてる間は自分が目をつむるから、目隠しを外していい、って言い出して。
ずっと目隠しをしてるのはつらいでしょ？なんて。

そもそも、君みたいに私を怖がらない人間自体、初めてだった。

このへびの髪も、目が合うと相手を石化させちゃう目も、ずっとみんなから恐れられて生きてきたから。


太陽が出てる間は、人間を怖がらせないように目隠しして生活してるけど…
へびっ子ちゃんたちがいるから、物の位置とか温度は大体把握できるし、別に不便に感じたこともなかった。

それに、これは仕方のないことなんだ、って思って生きてきたんだ。

でも、突然君が現れて、私の戸惑いなんてそっちのけで話しかけてきて。


最初は何か企み(たくらみ)があると思ってたけど、いつまで経ってもただ話をするだけ。
ついには耳かきをしてほしい、なんて言うからびっくりした。

気づいたらこうやって、君に耳かきをすることにも慣れてきちゃったかも。


(無言で耳かき)

よし、こっちはこんな感じかな…

今からふーってするよ？
びっくりして目開けたり、しないでね。

(耳ふー)


ん、完了。
頭の向き変えて？

[頭の向きを変える音]
じゃあ、左耳やっていくね。

(左耳、耳かき開始)

(しばらく無言で耳かき)


え？
迷惑だったんじゃないか、って心配してるの？

んー…正直に言うと、すごく感謝してる。
こんなに近くで誰かと話ができるなんて、考えたこともなかった。

人間の体温が、こんなにも温かいってことも、初めて知った。

君が教えてくれる外の世界は、私が知ってる世界とは全然違って、なんていうのかな…すごく、キラキラしてて。


私は今後も、人間に混じって生活することはできないけど、でも…
楽しそうに話す君を見てるだけで、その…私も同じ景色を見てるみたいで、楽しめるから。


これからも、会いに来てほしい…と、思ってる。


(誤魔化すように耳かきを速くする)
あーもう…なんか、柄(がら)にもないこと言っちゃった。

君が急に、変な心配するから。
確かに私、普段は目を隠してるから表情もわかりにくくて、伝わらないかもしれないけど…


でもほら…へびっ子ちゃんたちを見たらわかる、でしょ…？
…そうだよ、さっきはそんなことないって言ったけど。

本当はこの子たち、私の感情通りに動いちゃうの…


あっ、ダメ、こっち見ないで。
君を失いたくないから……お願い。

私に君を、石になんてさせないで。

うん、ごめんね、ありがと。


(少し間をあける)
こっちも、終わったよ。
まだ、目閉じてて。

(耳ふー)


気持ちよかった？
…そっか。

目隠し付けるから、もう少し待って。

よし、これで大丈夫。
目開けていいよ。


ねぇ、さっきも言ったけど、また、来てくれるよね…？
…うん、待ってる。


あの、さ…君がこうやって私に会いに来てくれるの、本当はすごく嬉しい。
嬉しいけど…


私に気づかれないように、へびっ子ちゃんたちを餌付けするのは、やめてくれる？

・台本（ゆるボイ！）
クーデレメデューサちゃんの本音と耳かき
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ミフジ