俺は幼馴染のお姉さんのお誘いで彼女の家に呼ばれた。
クリスマスパーティをするらしい。いつもだいすき～って言ってくるようなお姉さんだ。
なんというか。ナニとは言わないけど期待してしまうのは学生の悪い癖だな。
でも今日もお姉さんが笑顔で出迎えてくれた。イケない妄想だ。捨て去れ煩悩。

【】：状況
（）：声色 or SE

【読み手にクリスマスパーティに呼ばれ、家に来る】
（玄関の音）

あ、いらっしゃ～い！
来てくれてありがとうね～！
だいすきよ～、ふふっ！

今さら照れる必要なんてないじゃない！
だいすき～なんて、いつも言っていることでしょう？
さっ、上がって上がって！　今日は楽しいクリスマスパーティなのよ！
この日のためにたっくさんお料理作ってみたの！　よかったらいっぱい食べてね！

（グラタンが焼きあがる音）

あら！　グラタンが焼けたみたいね。
早速ご飯にしましょう？

　◇

【読み手がテーブルを見て驚く】

ふふっ、あなたが驚いてくれたみたいで嬉しいわ！
やっぱ男の子だもの、たくさん食べて成長してもらわなきゃ。
ちょっと待っててね、今からグラタンを持ってくるから！

でっきたってアツアツ、グラタン～
ミトンを着けて両手で持って……。ん～いい匂いだわ！
はい、お待たせ！　アツアツだから少し待ちましょうね～

わたしの分も用意して、と。
ふぅ。我ながら素晴らしい出来だわ！
サラダにチキン、グラタンとから揚げ。節操がない感じが日本のクリスマスよね～

じゃあ、熱いうちにいただきましょうか？
両手を合わせて、いただきます！

【ご飯を食べる聴き手】
（アツアツのグラタンをもぐもぐの読み手）

あつ……っ！　あふっ！　ふぅー……。ふぅー……。はむっ！
んー。んん～！　美味しいわ！　グラタンは何度も作ったことはあるけれど、今日のは格別ね！
どうしてかしらね～、ふふっ。

【何故自分を見る、的な聴き手】

ん～？　どうして自分を見てるのか、みたいな顔ね～
やっぱり幼馴染だから分かるのかしらね、ふふっ。
じゃああえて言わせてもらうわね。え～、おほん。

【数秒溜め】

ないしょ、よ！

ふふっ、何を期待したのかしら～？
いいのよ、わたしはただあなたのことを想って料理しただけだから。
それが友愛なのか、親愛なのか。それとも……。あなたが想像するのは自由なのよ。ふふっ。
ただ一つ言うのであれば、わたしはあなたがだいすきなだけよ～！

っと、グラタンが冷めてしまうわね。
ほら、フーフーしてあげるからあなたも食べて。

【嫌がる聴き手】

恥ずかしがらないの！
ほーら、グラタンをすくって、フー……。フー……。
はい、お姉さんのフーフーグラタンを、召し上がれ！

【顔真っ赤聴き手】

ふふっ、かわいいわね。そんなに顔を真っ赤にしちゃって。
どうかしら、美味しい？

うん、ありがとう。嬉しいわ～
愛情を込めた料理はね、
その人のことを想って作った相手が美味しいって言ってくれるだけで心が躍るものなの。
よかったわ、ちゃ～んと美味しいって言ってもらえて！

【今、愛情って言わなかった？　揚げ足取りの聴き手】

え？　今わたし、愛情って言ったかしら……？
…………。言ったかしら～？　そ、それは、言葉の綾と言うやつよ！
そうそう！　お姉さんは普段からあなたのことがだいすき～って言ってるだけ。
その先のことなんてな～んにも思ってないのよ？　本当よ～？

【疑いの聴き手】

ほ、本当よ！
あなたがこのままご飯を食べた後に満足して寝落ちしたら、わたしが膝枕をして頭を撫でながら、好き。好き。って囁こうだなんて、お、思ってないわ！

……だから、その～。
あなたが学生の間は、幼馴染っていう曖昧なぬるま湯に浸かりたいの。
卒業するまで、その日まで、ね？

だ～か～ら！
あなたが想像するのは自由なの。答えは卒業後に教えて、あ・げ・る！

さっ、残りの料理もいっぱい食べましょう！

・台本（ゆるボイ！）
幼馴染のお姉さんと曖昧な関係のクリスマスパーティ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス