王国騎士団に所属するあなた。最近の問題行動について、ついに騎士団長に呼び出されて…


※この台本は、如月ゆぅさん(@YuRelie0922)とのコラボ台本です。使用していただいた際のクレジットには、ミフジ、如月ゆぅさん両方の名前を表記いただけますと幸いです。

【騎士団長私室にて】

君に聞こう

どうして騎士団長である私の私室に呼び出されたか、分かるかな？

自覚があるようで何よりだ

君も理解してる通り、私は君の最近の行動に疑念を抱いている

先週の賊（ぞく）の討伐（とうばつ）任務に、一昨日の王族護衛任務、そして昨日の騎士団合同訓練

君はその中で６度の命令違反、または規則違反を起こした

撤退を命令したにも関わらず、１人で賊の巣窟（そうくつ）へ飛び込み、左腕に軽傷

護衛対象であるはずの王族を守る様に命令したにも関わらず、私と暗殺団との戦闘に介入

そして昨日の合同訓練では、同じ騎士団員と揉め事を起こした

ここまで聞いて、君から申し開きはあるかな？

謝罪の言葉はもう必要ない

その言葉は各事件の後に嫌という程聞いた

私が聞きたいのは、どうしてこの短期間にこれだけの違反をしたかだ

ふむ、言いたいことは分かった

命をかけてでも守りたい人がいる、その為のありとあらゆる力がほしい、か

多くの者がのどから手が出るほど欲しがる物だ

だがね、言わせてもらうと...君はことごとく空回りをしている

命令違反をした結果どうなった？

傷を負い、降格され、謹慎（きんしん）処分を受けた

君が起こした行動で手に入れられるものは叱責（しっせき）と不名誉のみだ

それ以外の何物でもない！

(ため息)

SE 椅子から立ち上がる

しかしだ、君はまだ若い。やり直しはいくらでもできる

SE 剣を抜く

さぁ、君も剣を抜くんだ

守りたい人が居るのだろう？なら、私ぐらいは超えていけ！

覚悟を見せてみろ！

SE 剣がぶつかる

甘い！

SE 衝撃音

SE 床に倒れる

勝負ありだ

もし、これが実戦なら君は死んでいたぞ

守りたい人も守れず、道半（なか）ばで死んでいたんだぞ！

...思っていた通りだ

君の剣には迷いがある

剣を交わす前から薄々勘づいていたが、剣を交わして全て分かったよ

はっきり言おう。今のままでは君はいずれ死ぬ

落ち着け、今のままではと言った

君の剣に乗る迷いを消す為には、まずは覚悟を決めることだ

まずは...そうだな

その命をかけてでも守りたい人に、気持ちを伝えるといい

あぁ、君の性格だ。どうせ伝えてはいないのだろう？

なら、はっきり伝えるべきだ

あなたを守りたい、この命に替えてもとな

そうすれば迷いは決意になる

決意が乗る剣は強い

たとえ、どんなに硬い素材で出来た鎧（よろい）だろうが、切り裂けるだろう。決意さえあればな

そして後は鍛練（たんれん）のみ

ふふっ、確かにシンプルだが、とても重要だ

決意があっても、剣を最大限に振る力が無くてはダメだからな

という訳で、納得して貰えたかな？

君に必要なのは迷いを決意に変える告白と鍛錬

そうか、なら...今後は空回りせずに励（はげ）みたまえ。下がっていいぞ

ん？どうした、改まって。また何か相談か？

ふむ、私に伝えたい事か...いいだろう...聞こう

SE 鐘が４回鳴る

何だ！？

鐘の音が４回...つまり...緊急事態か！

まずいな、騎士団の装備は王宮にある。今から取りに行ったのでは間に合わん

君！ひとまずは待機めいれい...

ん？いない？さっきまでそこに...居たはず

まさか…！

あのバカ！

SE 駆け足で走る



(間をあける)

…これが今回の負傷者のリストか

想像していたよりも多いな…

しかし、この程度で済んだのは奇跡というべきか、みなの健闘に感謝しなければ

軽度の者には傷が治るまでの休暇を、重度の者には、治療期間中の不自由に対する支援も行うよう、手配してくれ

うむ、君も疲れただろう

今日の業務が終わったら少し休むといい

ああ、退室していいぞ

SE ドアの開閉音

…どういうことだ？

彼の名前がない

あの軽装で飛び出したんだ、無傷なわけがないのに

…落ち着け、今回の戦いにおいて命を落としたものはいないと報告を受けている

ならば彼は…

SE ドアのノック音

ん？入っていいぞ

SE ドアの開閉音

っ…君…その怪我は…

バカものっ！だからあの時待機するようにと！

…声を荒げてしまってすまない

生きていてくれて、本当によかった…

そんな顔をしてどうした？傷が痛むのか？

今、なんと言った？

騎士団をやめたい、だと？

もしやその怪我は…そうか、もう…

しかし、だな…戦う事だけが君の使命ではない

前線に出なくとも、できる事はいくらでもある

何？既に本部に退団を伝えた？

…だからリストに名前がなかったのか

それなら、その…あー、なんだ、私の補佐なんてどうだろうか

なに、事務仕事をしろと言っているのではない

君のような、考えるより先に体が動く人間に事務仕事が難しい事は私でもわかる

私が言いたいのはだな、つまり…私の私生活を支える役目を担（にな）ってくれないか、という…そういう提案だ

(少し間をあける、聞き手が動揺するイメージ)

…いや、困らせるつもりはなかったんだ

君には大切な人がいるんだったな

言っていたじゃないか、命をかけてでも守りたい人がいる、と

だからこそ私はあの日、君への気持ちを断ち切ろうと訓練をつけた

意外か？

私にだって人を好きになる感情くらいはある

しかし…以前も伝えたが、君はまだ若い

そうだな、さっき私が言った事は忘れて…

忘れられない？何故だ？

待ってくれ

まさか、あの時言っていた私に伝えたい事というのは…

そ、そうか、私、だったのか

なるほど、だから君の剣には迷いが…

(深呼吸)
ならば、先程（さきほど）の提案を受け入れてくれるだろうか

あぁ、これからは国ではなく、私とのこの絆を守ることを命ずる

お互い、離れて戦っていても消えなかった想いだ

守り抜く事など容易いだろう

約束、してくれるか？

…ありがとう

SE 抱きしめる

想いは通じたんだ、いまさら私の気持ちなど聞くな、バカ…

・台本（ゆるボイ！）
部下想いな女騎士団長は君と永遠を誓いたい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ミフジ