貴方はプロの漫画家である幼馴染の家に行き、締切間近の原稿を手伝っていた。しかし、彼女は二徹で身体が限界に達しており、作業もままならない。仕方なく彼女を説き伏せ、無理やり寝かせてから、貴方は彼女の原稿をやれるところまでやろうと決意する…

(インターホンが鳴ってドアが開く)


はいよ〜……あー、君かぁ。上がっていーよ。どぞ〜。


え〜？目のクマがどうしたってぇ？


んー…まぁ二徹くらいしてるけど、へーきへーき。何とかなるって。


いや、漫画の原稿。締切近くてチョーヤバたん。あとどんくらいで終わるかなぁ…


あ、手伝ってくれんの？やっさし〜。


やっぱ持つべきものは都合のいい幼馴染だよねー。へへっ…


ほら、いいから上がれよー。お茶くらい出すからさー。


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お茶飲んだ？じゃあ早速、お仕事手伝ってもらおっかな。


うん。いつも通り、ベタ塗りお願い。丁寧に塗りつぶしてよー？


オッケ。じゃあ作業開始ってことで…


(あくび)


へーきへーき…まだまだ余裕ですよ〜、あたしは。こちとらプロですからね〜。


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…はっ！ヤバ！意識飛んでた！


ね、ねぇ！あたし今、どんくらい寝てた⁉︎


ご、五分…？そんなに…？


うああ…二徹くらいで意識落ちそうになるとか、なっさけね〜…


いや、寝ろっつわれても…もうすぐ締切だし…遅れるわけにはいかないし…


あ、や…アシスタント雇わなかったのは、その…


うぅ…返す言葉もございません…


わかってるよぉ…本来はちゃんとアシスタント雇って、手の回らないとこをやってもらうべきなんだろうけど…


わかってるけど…できなかったっていうか、しようとしなかったっていうか…


うん…ごめん。あたし、君に頼り切ってた。


君なら助けに来てくれるって、都合のいい妄想してた。バカだよね、あたし…


君はいつでも助けに来てくれる都合のいいヒーローじゃないし、アテにするべきじゃなかったんだよね…


仕事としてやるなら、その辺のこともちゃんとしなきゃいけなかった。全部あたしが悪い。


ごめんね、いっつも無理やり巻き込んで…


その、あとは大丈夫だから…帰ってもらっていいよ。


そもそも、あたしが君を拘束する権利なんてどこにもないしね。あはは…


……帰らないの？なんで？


ふっ、ふーん…そう、なんだ…


ま、まぁ、やりたいなら勝手にすれば？あたしは止めないけど…


(嗚咽)


…うるさい。泣いてなんかないし。


目にゴミが…あと、ちょっと風邪気味だから、鼻水出てるだけ。勘違いすんな…


…いくら欲しいの？君にバイト代支払ってなかったでしょ？


い、要らないことないでしょ？


これまでだって、君の自由な時間奪ってきたんだし…！


…そんなこと言っていいの？


あたし、甘えるよ？君にとことん甘えちゃうよ？


わかった…じゃあ少しだけ寝る。


うん…起きたら全速力で仕上げる。


君はやれる範囲でいいから、やっといて。任せたよ？


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お疲れ〜。やー、間に合ってよかった。


今回は本気で助かった。ありがとね。


うん…あたしが寝てる間に、君が友達に声かけてくれたおかげで、みんな手伝いに来てくれて…ホント、感謝してる。


あ、あはは〜…まぁ、ね。


あの量を一人でこなすとか、今考えたら頭おかしいよね。あたし。


うん…そうする。次回からはちゃんとアシスタント雇うことにする。


あ、でも君もたまには手伝いに来てくれてもいいんだよ？


へ？……ちょ、何でそれを⁉︎ あっ…


や、その、今のは違くて…！


ていうか、カマかけたなー⁉︎ この〜！


う、ぐ……ふ、二人きりがよかったから、アシスタントを雇わなかったわけではないようなあるような…


う、うぅ〜…意地悪はその辺にしてよぉ。あたしが悪かったからぁ…


まぁ、その…二人きりで過ごせたらって思う時は、仕事手伝ってもらったりしたよ…？


(抱きしめられる)


あ、あの…なんでそこで抱きしめてくるんですかー？


…いいの？寂しくなったら、電話かメールで呼びつけるよ？睡眠妨害しちゃうかもよ？


ふふっ…昔っから変わらないなぁ。君のそーいうとこ。


普段はあたしよりダントツでバカなくせに…いざとなったら、世界で一番頼りになるし。


やっぱ持つべきものは頼り甲斐のある、ヒーローな幼馴染だよね。えへへっ♪

・台本（ゆるボイ！）
漫画家の幼馴染はいつも無茶ばかりするから、いい加減わからせてやる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎