貴方は以前付き合っていた幼馴染の元カノを呼び出し、寄りを戻したいと告げる。しかし、彼女はそれを一蹴。二度と関わらないで欲しいと貴方に告げる。ところが、失意のまま家に引き篭もった貴方の前に、再び彼女が現れて…？

…久しぶり。相変わらず冴えない顔してる。


わたしは元々こんな顔。君にとやかく言われる筋合いはない。


それで？わたしをこんなところに呼び出して何の用？大体想像はつくけど。


…無理。君と寄りを戻す気はない。


わたし、君とはしっかり別れたつもりだから。


うん。君になんて言われようと、わたしの心は変わらない。


わたしと君は付き合うべきじゃなかった…


ずっとただの幼馴染でいるべきだった。


関係が上手くいかなくなったのは、付き合い出してからだし。


お互い幼馴染だからって、相手のことは何でも分かってるつもりだった。


けど、付き合って同棲を始めて…わたしと君とじゃ、何もかも噛み合わなかった。


そう。生活習慣も趣味も食事の好みも身体の相性も全部。


君はわたしに合わせようと必死だった。


わたしも同じように君に合わせようとした。


けどダメだった。元々合わないものを合わせようとすること自体が無理だった。


君だってそれは重々承知してたはず。


それでも寄りを戻したいって言うの？


…やめた方がいい。もう一度付き合っても、きっと同じ結末を辿るだけ。


わたしもあんな苦しい思いはもうしたくない。


本気でわたしのためを思うなら、このまま立ち去って欲しい。二度と連絡も取らないで欲しい。


(失意のどん底に突き落とされた男はその場から立ち去る)


……行っちゃった。けど、これでいい…


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(玄関のドアが開く)


部屋、真っ暗だね。明かりくらいつけたら？


あと、玄関の鍵開きっぱなし。流石に不用心が過ぎるよ？


…君、変な顔してる。どうしたの？


あぁ、そっか。別れたはずの彼女がどうして自分の家にいるか不思議なんだ。


幻覚なんかじゃないよ。試してみる？


(近くに寄り添ってキス)


リアルだって分かるでしょ？唇の感触でさ…


ふふふっ…間抜けな顔。それが見たかった。


嘘だよ、全部。


これまで君にやってきたこと、全部嘘。


全て噛み合わなくしたのも、別れを切り出したのも、寄りを戻す君の誘いを断ったのも、全部嘘なんだよ。


理由は簡単。君をわたしに依存させ、裏切らせなくするため。


ずっと不安だった…君がわたしの所から離れてどこかに行ってしまわないか、ずっと…


君には昔から放浪癖があるから…どこかにフラッと出掛けて、女引っ掛けてこないか心配でたまらなかった。


だから一計を案じた。君の心をわたしだけで満たすために。


だいぶ荒療治だったとは思うけど…そうでもしなきゃ、わたしの不安が払拭されなかったから。


うん…本当は好きだよ、君のこと。


演技とはいえ、君を突き放すのは苦しかった。


でも仕方ない…君と本当の意味でゴールインするためには必要なことだったから。


(男を抱きしめる)


はぁ…君の身体、こんなにあったかい。


君のこと、こうしてずっとギューってしてたい…


わたし、信じてるよ？君の寄りを戻したいっていうあの言葉…


好きなんでしょ？わたしのこと…


自分の気持ちに正直になって…ね？


(男に抱きしめ返される)


んっ…よかった。君も同じ気持ちでいてくれて。


君にはわたしがいなきゃダメ…そうでしょ？


うん、もちろん。わたしにも君がいなきゃダメ。


君と離れてる間はさ、君の部屋からこっそり持ち帰ったシャツとパンツと靴下で、君を感じながら過ごしてたんだ…


変態だって思う？けど、わたしだって頑張ったんだよ？


生の君を知っているから、衣類程度じゃ全然満たされなくて…


それでも君を本当の意味で手に入れるために、ここまで頑張ってきた。ちょっとの盗みくらい、些細な問題でしょ？


さっきも言ったけどさ、わたしたちの身体の相性、ホントは全然悪くないよ。


あの時はわたしが嘘をついていただけ。


だから…もう一度試そうよ。今ここで…


ボタン、外すね…外したら上脱いで…


(男が上半身を脱ぐ)


いい子…素直に言うこと聞けて偉い。


君が脱いだんなら、わたしも脱がなきゃ…


(女が下着姿になる)


夢みたい？そっか…あんなことがあったばかりだもんね。


でも大丈夫…もう茶番は終わり。


ここからは本当に二人が愛し合う時間だよ…？


君の方から頼まれても、別れてあげないから…


ずっと、一緒だよ…？えへへ…

・台本（ゆるボイ！）
クールな幼馴染の元カノの壮大な茶番劇
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎