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男勝りな死神と清楚な天使の耳かきによる魂争奪戦
written by 松平蒼太郎
  • 耳かき
  • 喧嘩
  • 敬語
  • 死神
  • 天使
  • 耳吹き
  • 梵天
  • 癒し
  • ファンタジー
公開日2023年06月13日 19:35 更新日2023年06月13日 19:35
文字数
2438文字(約 8分8秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
2 人
演者役柄
天使と死神
視聴者役柄
死者
場所
某所
あらすじ
肉体が死んで魂となった貴方は、冥界から死神がお迎えに来るが、そこに天界からの使者・天使が乱入。どちらも貴方を譲る気はなく、耳かきで勝負することになって…?
本編
A.死神 B.天使


A.よーす。約束通り、迎えに来てやったぞー。じゃ、早速一緒に…


B.お待ちください。彼はわたしと共に天界に行くと決まっているんです。冥界へは連れて行かせませんよ、死神さん?


A.あ〜、うぜぇのが来た…あのさぁ、彼とは生前に冥界に連れてくって約束してたわけ。それを横取りするとか、どういう神経してんの?マジで理解不能なんですけど。


B.ふふ、何を仰います?冥界などという、薄気味悪いところに善良な人間さんを行かせるなど言語道断。死神さんが許しても、天の神は許しませんよ?


A.話通じねぇ〜…ちょっと君も何とか言ってやれy……っておい!心揺らいでんじゃねぇ!このバカ!


B.はい、ギュー♪ 人間さん、確保です♪ もうこれで天界行きは確定ですね♪


A.いや、ふざけんなし。コイツの冥界行きは最初から決まってんの。今さら取り消しとかあり得ねーから。天使は大人しくお空の上にすっこんでろ。


B.もぅ、話の分からない人ですね。そこまで言うのでしたら、わたしと勝負しましょう?彼を連れて帰る権利を賭けて、ね?


A.は?なんでアンタと勝負しなきゃいけないわけ?あたしを自分の土俵に乗せようったって、そうはいかねーから。


B.うふふっ…もしかして、わたしに勝つ自信がないんですか?勝負しないというのであれば、わたしの不戦勝となりますが、それでもよろしくて?


A.ぐっ…こっ、の〜…!あったま、きた…!その勝負、乗ってやろうじゃん!


B.そうこなくては。それでは、耳かきで勝負というのはいかがでしょう?彼をより気持ち良くさせた方の勝ちということで。


A.上等…!アタシが勝った暁には、コイツを連れてくついでに、アンタを地べたに這いつくばらせてやっから。今のうちに覚悟しとけ?


B.ふふふ…そちらこそ、負けてみっともなく泣いちゃ嫌ですよ?死神さんの泣き顔なんて、どこにも需要ありませんからね。さ、君はそちらの椅子に座ってください。両側から同時に耳かきしますので。


(男が椅子に座る)


A.君のこと、絶対気持ち良くしてやるから…その後でヨモツヘグイ食べてもらうからな?


B.そんな物を食べたらお腹を壊しますので、やめて差し上げてください。さ、それでは耳かき勝負、開始です♪


(両耳かき)


A.どーよ…あたしの魔力で作った冥界性耳かき棒、よだれが出るほど気持ちいいだろ?


B.いえいえ。神聖なる霊力で作られたわたしの天界性耳かき棒の方が気持ちいいに決まっています。ほら、耳の奥から浄化されていく心地がするでしょう?


A.大体君さぁ、あたしが冥界で安らかに過ごさせてやるって約束したのに、なんで今になって迷うわけ?言っとくけど、冥界はそんな悪いとこじゃねーからな?


B.悪いところではないにしても、天界には及ばないでしょう。荘厳なる神殿があちこちに乱立し、空は常にまばゆい輝きを放ち、わたしのような美しい天使があちらこちらを飛んでいる…そんな理想郷が天界なのですよ?もはやどちらを選ぶべきかは明白でしょう?


A.騙されんな。天界に連れて行かれたら最後、24時間365日天使に甘やかされるだけの生活が待ってんぞ。自由な生活は二度とできないと思った方がいい。それでも天界に行くか?


B.それを言うなら、冥界もある一定の区域からは絶対に出られないではないですか。そちらのやっていることは実質監禁でしょう?


A.独断と偏見でモノを語るな。冥界に行ったこともないくせに。


B.そちらこそ、天界の事情も知らずに、よくも彼に嘘八百を平然と吹き込めますね。その面の皮の厚さはむしろ尊敬に値します。


A.そりゃどーも…って、何?急に質問って、どうした?


B.あぁ…ご自身が魂だけの存在になったのに、どうして耳かきが〜、というやつですね。それは魂にも五感に似た感覚があるからですよ。勿論、実際に汚れは存在しませんけどね。


A.まぁ、つまりはそーいうこと。それにあたしらはそもそも人間の魂に干渉できる存在なわけだし。耳かきとかできて当然じゃん?


B.あまり細かいことは気にしないでください。君はただ、わたしの耳かきに身を委ねていればいいんです…そうすれば、天界での幸せな生活が待っていますからねー。うふふっ♪


A.だから騙されんなって。冥界のがある程度自由に行動できるし、ハデス様だって寛容なお方だから、ある程度融通は利かしてくれる。人らしい生活が送れんのは冥界の方だぞ?


B.いえいえ。我らが主、ヤハウェは全ての人の子を救ってくださいますので。やはり救いを求めるなら、天界がよろしいかと。


A.コイツ、ホントブレねぇな…まぁ、いいや。君は先約のあたしを取るって信じてっからな?


B.どちらが先とかそんなことはどうでもいいです。重要なのは、彼がどちらに行った方が幸せか、ですよ。わからず屋の死神さん?


A.うっせぇ、泥棒天使。人が回収するはずだった魂横取りしに来やがって。さっさと堕天して、堕天使にでもなれ。このアマ。


B.うふふ♪ 口の悪い死神さんだこと。そろそろ決着でもつけましょうか…この梵天で、ね?


A.オッケー…あとで吠え面かくなよ?性悪天使…!


(両耳梵天)


B.ふふっ…ちょっとこしょばそうですね。わたしの梵天が効いてるに違いありません。


A.バカ…どう考えても、あたしの梵天に反応してんだろ。目ん玉付け替えた方がいいんじゃねえの?


B.ふふっ…常に薄暗いところで生活してる死神さんの方が目は悪いかもしれませんよ?あ、性格も暗くて悪かったんでしたね。これは失敬。


A.アンタ、本当に天使かよ…悪魔のなり損ないじゃねえの?こんな性格悪りぃ天使が人の魂強奪しに来るなんざ、世も末だな…


(しばらく無言で梵天)


B.…さ、彼が梵天の感触に飽きてしまう前に、決着をつけてしまいましょう。勿論最後は…


A.耳ふー、だろ?冥界へと誘なう死神の息吹、たっぷり味わいな…!


B.天界へと導く天使の息吹、いっぱい堪能してくださいね?


(連続両耳吹き)


A.…堕ちたな。あたしの勝ちだ。コイツはもらってくぜ。


B.いえいえ。これはどう見てもわたしに堕ちたに決まっています。そうですよね、人間さん?


A.君はあたしと一緒に冥界に来てくれるよな?
B.君はわたしと一緒に天界に来てくれますよね?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
男勝りな死神と清楚な天使の耳かきによる魂争奪戦
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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