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魔術師は、その言葉を言うために。
written by ろべ
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公開日2023年08月24日 19:10 更新日2023年08月24日 19:10
文字数
2458文字(約 8分12秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
もしもあの人がまだ生きていれば…
もしももう一度だけ会えたならば…
そう思うことは誰しもがあるだろう。

ただその少女は、それを実現できてしまう力があった。
当然それは許されざる行いであったが。

台本の使用と改変についてはご自由にどうぞ
ご使用の際はお手数おかけしますがご一報(DMや@robe_3333をつけてツイートなど)をお願いします
本編
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人が死んだらどうなるか?

それは、死んだ者の身体の話?それとも精神の話したりかな?


う〜ん…一概にどう、とは言い切れないけれど、多分何も無くなるんじゃないかな。

身体はそのまま朽ちていくだろうし、意識は脳が機能しなくなった段階で終わっていると思う。


続きなんてありはしない。考えることも感じることも出来なくなるから。

それは様々な魔法が満ちたこの世界でも変わることはない、絶対に。



ただ…もしも死んだはずなのに世界が続いている、なんてことがあったのなら。

不運なことに悪い死霊使い(ネクロマンサー)に操られてしまったか。



あるいは、どうしても君を死なせたくなかった人が禁忌(許されざること)に手を染めてしまったかだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あ、おかえりなさい。
今日はどうでした?何か良い物は採れましたか?


あ、すごくおっきい…立派なお魚ですね。
ありがとうございます。これなら美味しい料理が作れそうです。


ところで、身体の方は大丈夫ですか?
どこか怪我をしたりなどは?


……そうですか。それなら良かったです。
お湯を沸かしておいたので身体を洗ってきておいてください。なにかあったら大変ですから。

その間にお料理、作っておきますね。


はい、いってらっしゃい。





あ、上がりました?

ちょうど良かったです。たった今出来上がりました。

それじゃあ二人でさっそく…



…ちょっと待ってください。
少しお顔を…


何か体調に異変はありませんか?

何でもいいです。感じることがあれば言ってください。

…隠されるほうが…心配ですので。


…はい。…はい。

だるさが少し…それにふらふらするような感覚…


前にもあった血圧の低下でしょうか…
胸元、失礼しますね。


…拍動が弱い…心機能の再現はやはり長くは続きませんか…


ごめんなさい…またあの魔力注入をする必要がありそうです…


はい… 魔力で強制的に代謝を活性化させます。

副作用は…もうわかってますよね…


ごめんなさい…ベッドにお願いします。
では、拘束します。


(枷をはめる)


あ…はい、口枷も必要でしたね。
取ってきます。


では、口を開けてください。

…苦しくないですか…?


って…そんなわけないですよね。

できるだけ早く終わらせます。我慢してくださいね。


それでは、始めます。


(深呼吸)


ふっ…〜〜〜ッ…!はぁ…はぁ…くっ!〜〜ッ…


きゃあ!

や、やっぱり拒絶反応が…
でも、やらなきゃ…


ごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい…!
(暴れる身体を押さえつけながら必死に魔力をこめる)



苦しいですよね…。気持ち悪いですよね…っ。
わかります…!わかります…っ!でも…!
もう少しです…!もう、少し…っ!


ごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい…!
(罪悪感で泣き出しそうになりながら)



はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……


終わり…ました。

拘束、外してあげますね。


どう…ですか?もう私の魔力は暴れてませんか?


…今回も無事、馴染んだみたいですね。

心臓は……今は痛そうなほど鳴っていますが、すぐに落ち着くと思います。

大きく深呼吸をしてください。荒い口呼吸は過呼吸を引き起こします。

鼻から、ゆっくり、大きく息をしてください。



あ…鼻血が…。
今、回復魔術を…


これで一応血管の傷は塞がったはずですが…
しばらくこのまま安静にしたほうがいいかもしれません。

ご飯は…後でもいいです。あなたの身体のほうが大事ですから。

……………


……ごめんなさい。たくさん、嫌な思いをさせてしまって。

私の我儘のせいであなたを生きづらい身体に閉じ込めてしまって。

合わない魔力で無理やり身体を動かして、終わった命を弄んで、余計にあなたを苦しませて…
一体なにがしたかったんでしょうね…


師匠の言ったとおりでした。禁忌を破った者は皆不幸になる。例外はない。って。

私はきっとこれからも、あなたを死なせないために魔力を注ぎます。

そのたびにあなたは傷ついて、私は罪を背負い続ける。


そのうち私の魔力も今より少なくなって、多分次は私自身のマナを使います。

他人のマナなんて毒のようなものです。さっきより酷い拒絶反応が起こることが容易に想像できます。


そして私も命を削られていって、その時が来てしまうんです。

死にたくなるくらい酷い未来ですよね。


でも死ねないんです。あなたをもう一度死なせることを私は赦せないですから。


なので、ごめんなさい。
恨んでもらってもいいです。

というか、それが当然なので…



あっ…(抱きしめられる)


なんで…なんでそんなに優しくするんですか…


やめて…ください…
そんな…あの人みたいに…


ぐすっ…


温かい…温かいよぉ…

生きてる…あの人が生きてるんだ…ぐすっ…


私…私頑張ったんです…

ずっと…言いたかったことがあって…言えないまま終わっちゃって…


もう一度だけ会いたくて、全てを捧げました…


好き、です。好きだったんです…


あぁ…あぁ…!やっと言えた…言えました…
このために…このために…!


…ぐすっ…


こんなことのために、してはいけないことをしてしまいました…


頭と胸を魔術で生かしながら、散らばった肉を集めて…繋げて…その容器に私の血と黒く変色した魔力を流し淹れました。


狂ってますよね…

いつも大人しくて、後ろから支援魔術をかけていただけの女の子がですよ。


もう一度だけでも優しくしてもらいたかった。好きって言いたかった。

そのためだけに巻き込んで、苦しめて、傷つけて…

………

そんな私をそれでもこうやって抱きしめてくれるのはなんでですか…


………


もう…いいですよ…

私のことなんて放っておいて…


優しい人は嫌いなんです…
私より先に死んでしまうから。


(呼吸)


…離れてください。
ありがとうございました。私に、夢を見せてくれて。


正気に戻りました。
あなたは…あなたです。あの人じゃない。

そんなことはとっくにわかってるんです。
だってあの人は、死んでしまったんですから。


それでもこうして縋りたくなるときがあるんです。
同じ顔、同じ声、同じ温もり、同じ優しさのあなたに。

それくらいは…神様も許してくれるんじゃないでしょうか


……相変わらず、優しいことを言ってくれますね。


……


……


そうでした。夕食ができているんでした。
食べましょうか。

冷めてしまっては勿体ないですし。


手伝ってもらってもいいですか?

ありがとうございます。


……

……(食器を置く音)


いただきます。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
魔術師は、その言葉を言うために。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ろべ
ライター情報
pixiv,twitterで活動しているフリー台本師です。得意な系統はストーリー性のあるタイプの台本です。よろしくお願いします。
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