戦士の男は毎度の如く、ライバルに敗れていた。負け続きで不機嫌になっている彼に話しかけたのは、男の片腕に封印されている邪龍であった。彼女はなんとか自身を解放してもらおうと男を説得するが、男はなかなか首を縦に振らない。そこで彼女は人間の女の子の姿になり、彼を色仕掛けで口説き落とそうとして…？

やぁ、ご主人。ずいぶん機嫌が悪そうだけど、何かあった？


ふふふ…ごめん。知ってて聞いた。


残念だったね？永遠のライバルとやらに敗れて。


彼、君のことしっかり雑魚扱いしてたもんね？しかも公衆の面前で。


まぁまぁ。そんなカッカしないでよ。勝つ方法ならここにあるじゃないか。


え、なんで？ボクを使わない理由がないだろう？


ボク、これでも一昔前は世界中でブイブイ言わせてたんだよ？


ボクを解放してくれればあんな奴、一捻りなのになぁ。


えぇ〜…ご主人までボクを危険物呼ばわりするの？酷いなぁ。


あーあ…ご主人なら、ボクを使いこなせる才能あるのに…もったいない。


うん、実際あると思うよ。ボク、本来なら人間の左腕一本に封印されるようなタマじゃないからね？


そ。ボクを片腕一本で封印してるご主人はすごい。普通の人間じゃそんなことできないからね？


え？ライバル君に勝てないのは、ご主人が力を出し惜しみしてるからだよ。


ボクという力を解放すれば、あんな奴瞬殺だよ？


むー…なかなか首を縦に振ってくれないね。強情なご主人…


ボクもいつまでも封印されてたくないしなぁ…あ、そうだ！良いこと思いついちゃった♪


そうと決まれば…まずは人の姿を取って、と…


(人の姿として現界)


どう、かな…？人の姿を見せるのは初めてだね。えへへ♪


可愛い？ホントに？ありがと、ご主人♪ ギュー♪


(男の腕にしがみつく)


ご主人…ボク、前々からご主人のことは気に入ってたんだぁ…


うん…負けても負けても、諦めずにライバルに食らいついていく…そんなご主人がいつもカッコいいって思ってる。


ホントだよ。頑張り屋なご主人に少しでも力を貸してあげたいっていつも思ってるんだ…


ね……ボクのこと、信用できない？


世界中を荒らし回った邪龍だからって、警戒してる？


今のボクは昔のボクとは違う…ちゃんとご主人に忠誠を誓ってるし。ご主人の言うことなら、何でも聞くよ？


うん、何でも。だからボクを解放して？ご主人を世界最強の男にしてあげるよ？


解放してくれたら、ボクのことも好きにしていいから。ね？


そうそう。あーんなことや、こーんなこともし放題。このチャンスをご主人は逃したりしないよね？


ふふっ♪ ありがと、ご主人♡ だーい好き♡


(スーパーベロキッス)


ご主人ってば、思ったよりチョロいね♡ こんな分かりやすい色仕掛けに引っかかるなんて…


もう遅いよ…ご主人との魔力パスは完全に通ったし、これでボクはご主人の身体を好き勝手できる。えいっ♪


(押し倒す)


え？騙してないよ。ご主人が大好きなのはホントだし。


ただ、ちょこっと自由の身になりたかっただけなんだ…ずっと片腕に押し込められてて、しんどかったからね。


今のキスでご主人とは対等な契約が結べたし…あとはどちらが上か、白黒ハッキリつけるだけってこと。


ご主人はボクの尻に敷かれてて？そっちの方がお似合いだからさ♡


大丈夫。あのライバル君もボクが倒してあげる。塵一つ残さないから安心して？


無駄だよ…ボクに同じ封印術式は通用しない。残念だったね？


(拘束から逃れようともがく男をさらに強く押さえる)


もう諦めなよ…諦めてボクの番いになって？


ちゃんとご主人の力になってあげるからさ…ボクと一緒に、世界中で好きなだけ暴れよ？ね？

・台本（ゆるボイ！）
ズル賢いボクっ娘邪龍の口車に乗せられて、大後悔
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎