（可能ならインターホンとドアを開ける音）

こんにちは〜、耳かきデリバリーで来ました〜。

えっ…どうして君がここに…？

いや、そりゃあ君の家だから、当然っちゃ当然だろうけど…。

じゃ、じゃあ…今日のお客様は…君ってこと…？

びっくりしたー…。

まさかこんな形で元カレと再会するなんて…。

ねっ。別れて以来会ってないから、引っ越ししたの知らなかったよ。

久しぶりだね、元気にしてた？

そっか、毎日遅くまで…。

それで耳かきデリバリーを頼んでみたんだ。

んー、君なら知らない人よりやり易いし、まあいっか。

ふふ、これも仕事の内。

ちゃんと癒してあげるから安心して。

うん、お邪魔します。

（可能ならドアを閉める音）

ふふ。こっちのおうちは初めて来たのに、全然そんな気がしないや。

君の匂いがするからかな？

あの頃はよくおうちデートしたよね、懐かしいなぁ…。

って、今は仕事として来てるのに、ごめんね。

早速耳かき始めるから、膝の上に頭乗せてもらえる？

ん、ありがと。

ゆっくり優し〜くするけど、痛かったら教えてね。

（右耳かき）

んっ…このくらいで大丈夫かな…？

気持ちいい？そう、良かった。

でも、これだけ溜まってたら声とか聞き取りづらくない？

でしょ〜？結構ガサガサしてるし、絶対痒いだろうな〜って思うもん。

あっ…もしかして、あたしに耳かきしてもらうためにわざとしなかったとか？

うそうそ。冗談だから、そんな渋い顔しないの。

ほら。動いたらグサって刺さっちゃうから、大人しくしてて。

ん、いい子。

ちょっとずつ奥まで入れていくね。

お〜、すっごい詰まってる。

これはあたしの実力が試されてますな〜。

なんて、君には何度も耳かきしたことあるし、それなりに上手なのは知ってるよね。

あたしの耳かきじゃないとだめだー。って、自分で耳掃除することなかったし。

相当気に入ってたよね〜。

まぁ…あたしもうっとり気持ちよさそうな君を見つめるのも好きだったけどさ…。

もっとしてあげたくなるというか…、甘やかしたくなるというか…。

確か…別れて1年ちょいくらいだっけ？

あっという間だったけど…変わってなくて、なんか安心した。

ねえ、今付き合ってる子はいるの？

そっか、いないんだ…。

うん、あたしもいない。

何度か告られたけど、全部断ったし。

いや、2人きりで遊んだりしたけどさー…。

なーんか、違うんだよねー…。

ま、あたしのことはいいじゃん。

そっちは気になる人とかいないの？

ふふ、この調子だとお互い次に進むのはしばらく無さそうだね。

（耳かき終了）

さ、反対側向いてくれる？

左耳も綺麗にするから。

ん、じゃあ始めるね。

(左耳かき)

ね、あのさ…。

あたし達…お互い忙しくて、すれ違って、喧嘩してそのまま別れちゃったじゃん？

もしあのとき…ちゃんと話し合えてたら…今も付き合ってたのかな…。

ま、別の理由で別れてたかもしれないし、所詮結果論だよね。

本当はいつまでも過去を引きずるのはよくないと思うけど…。

今も君と付き合ってた頃を、思い出すんだよね。

お互いめっちゃ大好きで、何をしても楽しくて…。

この人しかいないって確信してたよね。

あたし、このまま結婚するんだろうなーって本気で思ったもん。

結局、喧嘩別れしちゃったけど…。

さっき、何人かに告られたって言ったじゃん？

みーんな優しくていい人だったけど、どうしても君と比べちゃうよね。

好きになろうと頑張ったけど、やっぱり君が頭から離れなくて。

もうあの頃の恋愛はできないってわかってたのに…忘れられなかった。

未練タラタラだよね…あたし。

酷いこと言って別れたのに…。

自分でもおかしな話してると思うよ。

あのときは…ごめんね。

いくら余裕がなかったとはいえ…許されることじゃないから。

…ん、いいよ。

ず〜っとモヤモヤしてたから、きちんと謝れてよかった。

ふふ。あんなに大喧嘩したのにあっさり解決して、なんか拍子抜けしちゃうね。

（耳かき終了）

さてと、こっちも綺麗になったし、もう身体起こしていいよ。

お疲れ様でした。

え…ちょっと…。

なんで抱きしめてるの…？

ダメだよ…。好きって気持ちが溢れて止まらなくなるから…。

ねえ、本当にダメだってば…。

…ごめんね。

もう、我慢できない…。

（キス）

もう一度、やり直してもらえませんか…？

・台本（ゆるボイ！）
【男性向け】耳かきデリバリーを頼んだら元カノがやってきて…よりを戻すことになったお話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メア