近所の海岸で夜釣りをしていると必ず現れる少女。一人の夜は寂しいという彼女はもう離れない…

おじさん…今日も夜釣り…？


ごめん…お兄さん。でも老け顔だから、やっぱりおじさん…


わかった…お兄さん。今日も坊主…？


そう…釣れたらわたしに魚料理、振る舞ってくれる…？


ありがとう…楽しみにしてる。


わたし？散歩してるだけ…この辺は夜風が気持ちいいから…


うん…親には内緒。バレたら多分、怒られる…


怒られる、から…その時はお兄さんも一緒に怒られて。


ケチ…こうして出会って、言葉を交わしてる時点で、もう他人じゃないのに…


それは……友達？恋人？


どっちも無理がある、か…たしかにそうかも。


わたしがもう少し大人だったら…付き合うのはあり？なし？


そっか…少しは脈ありなんだ。ちょっとだけ、嬉しい…


(後ろからハグ)


いいじゃん…後ろから抱きつかれたくらいで、魚が釣れなくなるなんてことはない、はず…うん。


好き、だよ…わたしは。お兄さんのこと…


うん…愛の告白。夜に一人は寂しいから…一緒にいよ？ずっと、一緒に…


断らないで…お兄さんとわたしの仲、でしょ…？


だって…話、付き合ってくれるから。わたしのつまらない話に…


寂しいもん…夜に一人は…それを、お兄さんが埋めてくれる…だから、好き…


困る…？そっか…そうなんだ…困らせてごめん…


(抱きしめる力が強くなる)


でも…もう逃がさないから。お兄さんは、わたしのモノ…


夜釣り…魚は釣れないけど、わたしは釣れた…ほかならぬ、お兄さんの才能…


嫌だ…離さないって言ったでしょ？身体が冷たいのは、謝るから…


これからももっと一緒にお話ししよ…？誰にも邪魔されない、海の底で…ね？

・台本（ゆるボイ！）
【ホラー】夜の海岸に出没する口下手少女の愛の囁き
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎