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娘として生き返らせたはずの人工ゾンビは娘の形をしたナニカだった
written by 松平蒼太郎
  • ヤンデレ
  • ファンタジー
  • 依存
  • ゾンビ
  • シリアス
  • 嫉妬
  • インモラル
  • SF
公開日2023年09月28日 18:44 更新日2023年09月28日 18:44
文字数
2094文字(約 6分59秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
ゾンビ娘
視聴者役柄
科学者の男
場所
男のラボ
あらすじ
人を生き返らせるという禁断の領域に踏み込んでしまった男は、手痛いしっぺ返しを食らうことになる…生き返らせた当の本人である『娘』によって。
本編
あ、ドクター。おかえりなさい。お外、大丈夫だった?また変なのに狙われたりしてない?


よかった…ドクター、敵が多いから心配。わたしを護衛として連れ出してくれていいんだよ?


ぶー。ドクターのケチ。あたしならドクターのこと、四六時中守ってあげられるのに…


(頭を撫でられる)


んっ…頭撫でて誤魔化そうとするの、ドクターの悪いとこ…そんなんでうやむやにはさせないからね?


違いますー。撫でるのをやめろとは一言も言ってませんー。もうちょっとこのままで…


…あ、それはごめん。生前の記憶は思い出せなくて…今のあたしにとってドクターはドクターだから…


うん…ドクターは、本当はあたしのパパなんだよね?あたしが死んで、ゾンビとして蘇らせて…けど、記憶だけは戻らなくて…


だ、大丈夫だよ…たとえ記憶が戻らなくても、ドクターのことは大好きだから。


(抱きしめられる)


わっ…急に抱きつかれるとびっくりする。もぅ…


…ドクターはやっぱり、あたしからはパパって呼ばれたい…?


そっか…そうだよね。娘を取り戻したいって気持ちは大事だよね。父親にとっては、当たり前のことだもんね…


…うん。新しいお薬は飲んだよ。今度こそ効き目あるといいね。記憶が戻るための効き目…


(インターホンが鳴る)


…お客さん?誰?


そうなんだ…今から話す約束してたんだ。変な人とかじゃないよね?


女の人…そっか。ドクターが信頼できる人なら大丈夫だ。


うん、行ってらっしゃい。あたし、ここでいい子で待ってるから。


(男が女性客の応対に出向く)


女、か…ドクターにあたし以外の女…


どんな人か、ちゃんとこの目で確かめておかなきゃ…ね?


(男と話し終えた女性を追いかける)


お姉さん…さっきドクターと何の話してたの?


あたし?あたしはドクターの娘…みたいなものかな?


それで?さっきはドクターとどんなお話してたの?あたしも知りたいなっ。


…研究?それって何の……っ⁉


(発砲されて、咳き込む)


かはっ!ごほっ、ごほっ…!


いきなり何するの…お姉さん…


へ、へぇ~…やっぱり。あたしが人工ゾンビだって、知ってたんだ…


そうだよ?ドクターはすごい人なんだから…


死んだ人間を蘇らせたんだし、当然だよね。そのせいで、敵も多いけど…


ふ~ん…つまり、お姉さんはドクターの研究結果が欲しいわけだ。だからドクターに色目を使って、あんなことを…


(マフィアの男たちに取り囲まれる)


ふふっ…こんなに人数揃えて…金儲けのためにあたしまで強奪するんだ。マフィアらしい考え方だね。


うん…身体、動かない。さっきの撃ったの、麻痺弾だよね?確実にあたしを捕らえるために…


…捕まらないよ?だってあたしはドクターだけのモノだもん。よい、しょっ…!


(無理やり身体を起こす)


あはは…何驚いてるの?あたしはゾンビだよ?それもドクターが真心こめて作ってくれた最高傑作…こんなちんけな銃弾で倒れるわけないじゃん。


ほら…傷の治りだってこんなに早い。ドクターがあたしに痛い思いをさせないようにって、頑張った成果がこれ。あたしへの愛が深い証拠だよね。


ねぇ…ドクターから奪った研究データ、返して?返してくれなきゃ、嫌だよ?


そっか…悪いお姉さん。ドクターのために、今ここで排除しておかなきゃ…ね?


(マフィアたちを一掃し、ラボへと戻る)


ただいま、ドクター。ごめんね?勝手にお出かけして…


身体、大丈夫?あの女にいっぱい変なことされたでしょ?


あ、はい、これ。あの女がドクターから盗み出した研究データ。取り返してきてあげたよ?


ふふっ、どういたしまして。それよりドクター、今から大切なお話するけど、聞いてくれる?


ありがとう。あたし、いろいろ考えたんだけど、やっぱり生前の記憶は取り戻さなくていいって思うんだ。


うん、娘としての記憶。だって結局、ドクターの娘さんは死んじゃったわけで、こうして肉体だけ蘇らせても、記憶は戻らなかった。


記憶は戻らなかったけど…ドクターを好きだって気持ちだけは残った。


ううん、残ったっていうか、新しく芽生えたっていうべきかな?だってこの気持ちはどう考えても、娘としての好きじゃなくて、女としての好きなんだもん。


きっとあたしはドクターの娘であって、娘じゃない。ドクターが本当に愛していたその子は死んじゃったんだよ。


わかるよ…これから先、ドクターがどんなに頑張っても、あたしに娘としての記憶は戻らない。今までもどんな薬を飲んだって、変わらなかったし。


もう娘さんのことは諦めてさ…あたしのことだけ、見てよ。


あたしはドクターが生み出した新しい命だよ?姿かたちは似てても、娘さんとは別物。そう割り切った方がドクターも楽になれると思うんだ。


やだ…諦めて。もうドクターの娘さんは死んだの。


ドクターがどれだけ頑張っても、人が死んだ事実は覆せないんだよ?


大丈夫…あたしが代わりに愛してあげる。これからはあたしがドクターの新しい娘で、恋人。あたしのこと、ちゃんと受け入れて?


(上から覆いかぶさってキス)


唇、冷たくてごめんね?ゾンビだし、そこはご愛嬌ってことで…


今回の件で学んだでしょ?ドクターは大勢の悪い人から狙われてるって。あたしに守られる必要があるって。


そういえばさっき、汚い女の身体を触ったよね?それ、今から上書きしてあげる。


心配しないで…ドクターの心はあたしが癒して、満たしてあげる。娘さんのことすら思い出せないくらいに…ね?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
娘として生き返らせたはずの人工ゾンビは娘の形をしたナニカだった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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