ハロウィン禁止の会社に勤めているあなた。いつもと変わらず彼女である後輩とお昼を食べようとしたら…

※SEは必須ではありません。

せんぱいっ、お待たせしましたっ。

[イスに座る音]
ふぅ…

はい、もう大丈夫です。
ちょっと、書類整理に手間取っちゃいました。

あー…見てました？
最近よく話しかけられるんですけど、一応上司だし、邪険（じゃけん）にもできなくて…

いやいや、先輩は気にしないでください。
社会人たるもの、あの程度のことで集中力を切らしてるようじゃ、ダメですから。

うまく躱（かわ）せるようになってみせるんで、見ててくださいねっ。

…へへ。
でも、先輩が気にかけてくれて嬉しいです。

だって前は、あたしのことなんて全然興味なーいって感じでしたもん。
あの頃はつらかったなー、寂しかったなー。

ふふ、そうやってまたすぐ謝る。
相変わらずチョロいですねっ、先輩。

ん、そんなことよりぃ…
お腹、すきましたよね？

こういうとき、あたしがお弁当持ってるのって、結構不便（ふべん）ですね。
不便っていうか、先輩を待たせちゃうのが申し訳ないっていうか。

今度から、朝のうちに渡しておきましょうか？
そうすれば、今日みたいにあたしの仕事がお昼にかかっちゃっても、先輩はすぐに食べられますし。

え、今のままでいいんですか？
…ふふ、なるほど。

どんなにお腹がすいていても、かわいい彼女であるあたしと一緒に食べたい、ってことですね！
承知しましたぁ。

え、あ、えと…い、今のは、先輩が「ウザい」って言って、あたしが「ひどい！傷つきました！」っていう流れのやつじゃないですか！

「うん」って！

あああたし、顔赤くなってないですか！？
なってる！？
やっぱり！

先輩、付き合いだしてから妙に素直だし…ストレート過ぎて。

さすがのあたしも、心臓がもちませんよぅ…
うー…悔しい。

んんっ…(咳払い)
気を取り直して…

はいっ、今日のお弁当です！
じゃーん。

どうですか？
さすがに大人なので、キャラ弁とはいきませんが…
いろいろ勉強して作ってみましたっ。

ほら、これとか、お化けの顔をイメージしてて…
ふふ、ハロウィンっぽくないですか？

うちの会社、ハロウィン禁止じゃないですかぁ。
社内ハロウィンはもちろん、ハロウィンイベントへの参加も禁止、とか厳しいですよねー。

でもまぁ、社員がハロウィンイベントでハメ外してニュースになっちゃったら、困りますもんね。
仕方ないか…

ほんとは、先輩のおうちで二人だけのハロウィンパーティー、ってのも考えたんですけど…
ど平日だし、先輩は遠慮しちゃうと思って。

そこで思いついたのがこれです。
お弁当を工夫したら、少しはハロウィン気分を味わえるかな、って。

禁止されてるとはいえ、やっぱりこういうイベントって、恋人同士が愛を深めるのに持ってこいだと思うんですよね〜。

ちなみにこのお化け、レシピサイトではピーマンだったところをなんと！
ピーマンが嫌いな先輩のために、カボチャの皮で代用してみましたぁ。

ふふ、褒めてくれていいんですよ？
いい女すぎて、惚れ直しちゃいました？
…なーんて。

どうぞどうぞ。
食べちゃってください。

…んふ、おいしいですか？
よかったぁ。

へ？
あ…いつもよりちょっと早起きしただけなので、気にしないでください。

もう、先輩。
こういうときは、ごめんよりありがとう、ですよ？

先輩がおいしそうに食べてくれるだけで、あたしは結構幸せ感じちゃってるんで。
だからそのまま、あたしのお弁当を堪能（たんのう）してもらえれば、それで大満足です。

それに、今日はお弁当だけじゃないんですから。
カボチャの皮があるってことは…

そうです！
実は、パンプキンパイも作ってみたんです。

お菓子作りって、料理以上に難しいんですねぇ。
ちょっと苦戦しましたけど…ま、あたし、天才なので。

天才でかわいいあたしに、不可能はなかったわけです。
てことで、お弁当食べ終わったら、こっちも食べてくださいね。

ふふ、嬉しそうな顔。
ハロウィン感、楽しんでもらえてますか？

ん、それじゃあ先輩。
次は、先輩の番です。

トリックオア、トリート。
先輩なら…
イタズラしてくれても、いいですよ？

・台本（ゆるボイ！）
ウザかわ後輩彼女ちゃんはイベントチャンスを見逃さない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ミフジ