あれってクラスメイト、だったよな……？
新学期のころオタバレしてぼっちになっていたことを思い出す。
真剣に見つめてるグッズ、俺の推しなんだけど……うーん。話しかけるかどうか……。

【】：状況
（）：声色 or SE

【商品を品定めする読み手】

ふぅん……。
この子のグッズ、出てたんだ。
ふぅーーーーん……。うーん、でもなぁ。お金、足りるかなぁ。
先月ライブのBlu-ray買っちゃったし。いやぁ、でもなぁーーー……。

【声をかける聴き手】

……ん？

うわっ！　なになになんですか？！
え、あの……え？　クラスの、人ですよね？
なんでこんなところに……。

あ、あっ！　違うんです！
私、オタクとかそう言うんじゃなくって。
いや、あの。友だちに誘われて、誘われるがままに来ちゃったみたいな、あはは。

……嘘です。すみません。
私に友だちなんていませんでした……。
うぅ、自分で言ってて悲しくなってきた。

と、というか。その。
あなたは確か、そういうサブカル系の話をしてなかった気が、するんですが……。

【隠してた聴き手】

隠してた……。あ、あぁ……。
なんというか、その。器用な人ですね。
私なんてオタバレした翌日には話す人なんていなかったのに……。
あぁ闇が。私の内なる闇が溢れ出る……。

あっ！　その、このことはご内密にしていただけると助かるのですが……。
いや、オタバレしたとは言えども、どういうグッズが好きとか、そういうのは言ってなくて。
この作品って、いかにも男性向けって感じじゃないですか。

胸もお尻もおっきいくせにウェストは細いし、みんな顔が良くって。
この子だってそう！
口はちょっとひねくれてるけど、根っこのところはちゃんとかわいいっていうか。

あ、この子結局ソシャゲの主人公のこと好きなんだ、って思った途端キュンってきて！
分かります？！　こんなにかわいい子だから人気が出るんですよ！
やっぱり一癖あるキャラの方が、親心ながら可愛かったりするんですよねぇ……。

【肯定の聴き手】

分かりますかやっぱり！
あー、なんでもっと早く会わなかったんだろう。
いや、会ってはいたんですけどね。あはは……。

でもあなたはオタクを隠してて、ここにも秘密で来てますし。
私は、なんというかその、ぼっちですし……。
一応クラスにも、それなりの立場、っていうのがありますし……。
やっぱりここは出会ったことをなかったことにするしか……。

【提案の聴き手】

……え？　か、隠れて会うんですか？
クラスメイトに隠れて、こういうオタクショップに来て、一緒に買い物……。
それ、なんかいいですね。友だちっていうか……。
あいや、そういうのはおこがましいと思うので、共犯者？　みたいな。

まぁ、憧れないことはないっていうか。
むしろ憧れているっていうか。

ぼっちだから友だちとかいなくて。
1人で買い物に行くの、すっごい寂しかったんです。

私でいいのでしたら、秘密の買い物、付き合ってくれますか？

【肯定の聴き手】

ふ、ふへへ……。ありがとうございます！
では早速語りましょうか！　どの娘が推しですか？！
私はこの子が推しなんですけど！　あ、同担拒否なのでその辺はご遠慮くださいね！

・台本（ゆるボイ！）
顔だけはいいクラスメイトの陰キャちゃんと内緒の密会の約束をする話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス