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公開日2024年02月08日 20:35
更新日2024年03月23日 00:38
文字数
2605文字(約 8分41秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
幼馴染
視聴者役柄
ふつうの人
場所
宇宙の僻地のプレハブ小屋⚡︎視聴者の自宅
あらすじ
ひょんなことから体が大きくなり、はるか彼方の星へと隔離されてしまったあなたの幼馴染。元の大きさに戻るための治療の一環として、定期的に耳かきをしてくれていたが……。
本編
もしもーし。聞こえる?
うん。大丈夫。え、もう横になってるの?
はっや。される気満々じゃん。
今日は右と左、どっちからがいい?
右、おっけー。じゃ、早速始めるね。
最初は浅いとこから。
(耳かき開始)
あたしがこっちに来て、もう一ヶ月経つんだね。
君はもう慣れた? 半仮想耳かき。
うん。あたしも。面白いよね、これ。
神経接続で、離れてても肌触りや温もりをそのまま感じられるんだって。けっこうリアルじゃない?
そう。また新しいやつ。
こんな無駄遣いばっかりしてていいのかって? もー、何度も言ってるじゃん。偉い人が全部出してくれてるから問題ないんだって。ほんとに君は気にしなくて大丈夫だから!
奥のほう、やってくよ。
だからー、あたしだって好き勝手やってるわけじゃないんだよ? 先生からも言われてるの。今のあたしには自己効力感を育む人とのふれあいと、集中力を高める細かい作業が最も大切です、何でもいいので可能な限り習慣として続けてください〜って!
あ……痛かった? 大丈夫? よかった。
びっくりさせちゃったね。ごめん。
(無言)
梵天、使うね。
(梵天)
(無言)
(耳ふー)
右耳おわり。反対向いて。いいから早く。
こっちも始めるよ。痛かったら言ってね。
(耳かき開始)
反対側、もうちょっとやってほしかった?
ごめん。いつもより雑だったかも。
ん、別に不機嫌じゃないよ。全然。
だから宇宙松茸ごはんは関係ないって。いや、関係なくはないけど……あれは事故だから。空間のひずみとか、使ってたお箸とか、具現化マシンの暴走とかとか…… いろいろと悪い偶然が重なっちゃったんだよ。だからね、あれは君のせいじゃない。いい?
ねぇ。そんなに言うなら、ほんとに全部君のせいにしちゃうよ?
……冗談だよ。
(耳かき中断)
んー……待って……見えづらい。
よいしょ……。
(体勢を変える。天井に頭をぶつける)
痛 った!……えっ……。
……うん、頭打った……。
……うん。だい……じょぶ。いつつつ……。
んー……。えぇと……。
よしっ。部屋明るくした。
んー? どしたの? ほかに?
こっちは特に異常ないよ。超光速通信も、五次元マイクも大丈夫。そっちは? ……逆ラグ気味?
おっけ。調整するね。
(耳かき再開)
22世紀だね、って。ふふっ。君はなーんにもしてないでしょ。
そうそう、ありがたいことだよ。人類は何度も滅亡の危機を乗り越えて、なんとか平和な世界を守ってきた。あたしを見捨てることだって簡単にできたはずのに、遠い空の彼方に飛び出して、わざわざこんな施設まで作ってくれた。
色々やなこともあったし、不自由がないとは言えないけど、こうして君とも話せてる。
あたしたち、すごくいい時代に生まれたんだと思うな。
そう言うには、ちょっと迷惑かけすぎたかな?
でも今日まで本当に、ずっと楽しかった。
……あのね、実は昨日の夜、測ったらほんのちょっとだけ背が伸びてたの。すぐ先生に電話して、大きくなっちゃったかもしれないですーって伝えたら、「ふぉっふぉっふぉっ、そうかそうか」って言われて、ガチャ!って切られてさ。それから一切繋がんなくなっちゃった。ね、流石に酷くない?
……うん、ちょっとだけ。こっちに来てからはずーっといい感じに縮んできてたんだけど。
えっ、ちょっとはちょっと。本当にちょっとだけだよ。
は? 「具体的に」? ……指一本分くらい。
「つまり」? うーんと、えーっとですね……つまり……だから……その……じ、10メートル弱……です。はい全然大したことなくないです。
……なんかごめん。
そう、それでね、んと……言ったっけ。あたしに起きたこの現象、一度だけならまだ元の大きさに戻る手立てがあるみたいなんだけど……。
何かのはずみで二回目が始まっちゃったら、歯止めが効かなくなって、際限なく、倍々に大きくなり続けちゃうんだって。
(耳かき中断)
えっとね、だから、何が言いたいかって言うと、その……わかるでしょ?
そう。また大きくなっちゃうんだって、あたし。
(耳かき再開)
……ううん、こんどはこれまでと違って防げないし、もうどうやったって止められない。止まってくれないの。
うん、時空に干渉して歴史を書き換えるとかも無理。だって、あたしがこれから直接影響を与えちゃう範囲だけで無限大なんだよ。それに観測不能な域まで行ったら、違う世界や過去にだって侵食しちゃうかもしれないし。
そもそも重力とかもエネルギーに変えちゃうくらいだから、そういうのは全部ダメ。打つ手なし。もう手遅れなの。
ね、実感湧かないでしょ。どこまでも大きくなり続けるとか。わけわかんなさすぎて、自分でも笑っちゃいそうなんだけど。
どう思う?…… あたしの身長、156.3光年……とか……ぷっ、はははっ……。
まって。君は動かないで。危ないから。
ふふっ……ほんとさ、なんで……なんで、あたしなんだろうね。
ほら、あたしの手。
(耳に手を当てる)
ね、大きいでしょ。
始めたときからずーっと君の頭押さえてたはずなんだけど、意外と気付かれないもんだね。あったかい? そっか。
ねぇ、この手、どれくらいあると思う?
……どのくらいなんだろうね、あたしもわかんないや。でも、ちょっとずつ大きくなってる気がしない? どう?
……うん。実はね、この特製耳かき棒も、もうおもちゃみたいに小さくて。さっきから部屋も少しずつ狭くなってきてるの。
この部屋にあるもの全部、あたしの大きさに合わせて自動で補正してくれる機能がついてるはずなんだけど、多分もう、追いつかないくらい、あたしが……。
……だから、ほんっと馬鹿馬鹿しいし、あたしもまだ全然そんなつもりじゃなかったんだけど……君とこうして話せるのも、これが最後になっちゃう……かな。
ふふっ。そんなこと言わないでよ。
梵天、するね。
(梵天)
あたし、これからどれくらい大きくなっちゃうんだろうね。あたし自身は痛くも痒くもないらしいけど、それがかえって怖くって。
「全宇宙があたしで埋め尽くされるのが嬉しい」……? ほんっとどうかしてる。
ねぇ、いつかまた……君に会えるかな。見えたらすぐに手ぇ振ってよね。きっと見つけてあげるから。
じゃあ、仕上げ。
(耳ふー)
……ん、待って。
もっかい右耳 上にしてくれる?
中途半端だったから、最後、したげるよ。
うん。反対向いた? ありがと。
(耳かき開始、少し早め)
……んんー……。
(金属の壁が軋む音)
(ゆっくり静かに深呼吸)
ううん。あたしは大丈夫。
(耳かきを続ける)
(ぴたりと手を止め、ため息をつく)
うん、こんなもんかな。
(少しだけ大きな音の耳ふー)
(耳元で)
大好きだよ。ばいばい。
(次第にヒビが広がる音)
(ノイズと共にフェーズアウト)
うん。大丈夫。え、もう横になってるの?
はっや。される気満々じゃん。
今日は右と左、どっちからがいい?
右、おっけー。じゃ、早速始めるね。
最初は浅いとこから。
(耳かき開始)
あたしがこっちに来て、もう一ヶ月経つんだね。
君はもう慣れた? 半仮想耳かき。
うん。あたしも。面白いよね、これ。
神経接続で、離れてても肌触りや温もりをそのまま感じられるんだって。けっこうリアルじゃない?
そう。また新しいやつ。
こんな無駄遣いばっかりしてていいのかって? もー、何度も言ってるじゃん。偉い人が全部出してくれてるから問題ないんだって。ほんとに君は気にしなくて大丈夫だから!
奥のほう、やってくよ。
だからー、あたしだって好き勝手やってるわけじゃないんだよ? 先生からも言われてるの。今のあたしには自己効力感を育む人とのふれあいと、集中力を高める細かい作業が最も大切です、何でもいいので可能な限り習慣として続けてください〜って!
あ……痛かった? 大丈夫? よかった。
びっくりさせちゃったね。ごめん。
(無言)
梵天、使うね。
(梵天)
(無言)
(耳ふー)
右耳おわり。反対向いて。いいから早く。
こっちも始めるよ。痛かったら言ってね。
(耳かき開始)
反対側、もうちょっとやってほしかった?
ごめん。いつもより雑だったかも。
ん、別に不機嫌じゃないよ。全然。
だから宇宙松茸ごはんは関係ないって。いや、関係なくはないけど……あれは事故だから。空間のひずみとか、使ってたお箸とか、具現化マシンの暴走とかとか…… いろいろと悪い偶然が重なっちゃったんだよ。だからね、あれは君のせいじゃない。いい?
ねぇ。そんなに言うなら、ほんとに全部君のせいにしちゃうよ?
……冗談だよ。
(耳かき中断)
んー……待って……見えづらい。
よいしょ……。
(体勢を変える。天井に頭をぶつける)
……うん、頭打った……。
……うん。だい……じょぶ。いつつつ……。
んー……。えぇと……。
よしっ。部屋明るくした。
んー? どしたの? ほかに?
こっちは特に異常ないよ。超光速通信も、五次元マイクも大丈夫。そっちは? ……逆ラグ気味?
おっけ。調整するね。
(耳かき再開)
22世紀だね、って。ふふっ。君はなーんにもしてないでしょ。
そうそう、ありがたいことだよ。人類は何度も滅亡の危機を乗り越えて、なんとか平和な世界を守ってきた。あたしを見捨てることだって簡単にできたはずのに、遠い空の彼方に飛び出して、わざわざこんな施設まで作ってくれた。
色々やなこともあったし、不自由がないとは言えないけど、こうして君とも話せてる。
あたしたち、すごくいい時代に生まれたんだと思うな。
そう言うには、ちょっと迷惑かけすぎたかな?
でも今日まで本当に、ずっと楽しかった。
……あのね、実は昨日の夜、測ったらほんのちょっとだけ背が伸びてたの。すぐ先生に電話して、大きくなっちゃったかもしれないですーって伝えたら、「ふぉっふぉっふぉっ、そうかそうか」って言われて、ガチャ!って切られてさ。それから一切繋がんなくなっちゃった。ね、流石に酷くない?
……うん、ちょっとだけ。こっちに来てからはずーっといい感じに縮んできてたんだけど。
えっ、ちょっとはちょっと。本当にちょっとだけだよ。
は? 「具体的に」? ……指一本分くらい。
「つまり」? うーんと、えーっとですね……つまり……だから……その……じ、10メートル弱……です。はい全然大したことなくないです。
……なんかごめん。
そう、それでね、んと……言ったっけ。あたしに起きたこの現象、一度だけならまだ元の大きさに戻る手立てがあるみたいなんだけど……。
何かのはずみで二回目が始まっちゃったら、歯止めが効かなくなって、際限なく、倍々に大きくなり続けちゃうんだって。
(耳かき中断)
えっとね、だから、何が言いたいかって言うと、その……わかるでしょ?
そう。また大きくなっちゃうんだって、あたし。
(耳かき再開)
……ううん、こんどはこれまでと違って防げないし、もうどうやったって止められない。止まってくれないの。
うん、時空に干渉して歴史を書き換えるとかも無理。だって、あたしがこれから直接影響を与えちゃう範囲だけで無限大なんだよ。それに観測不能な域まで行ったら、違う世界や過去にだって侵食しちゃうかもしれないし。
そもそも重力とかもエネルギーに変えちゃうくらいだから、そういうのは全部ダメ。打つ手なし。もう手遅れなの。
ね、実感湧かないでしょ。どこまでも大きくなり続けるとか。わけわかんなさすぎて、自分でも笑っちゃいそうなんだけど。
どう思う?…… あたしの身長、156.3光年……とか……ぷっ、はははっ……。
まって。君は動かないで。危ないから。
ふふっ……ほんとさ、なんで……なんで、あたしなんだろうね。
ほら、あたしの手。
(耳に手を当てる)
ね、大きいでしょ。
始めたときからずーっと君の頭押さえてたはずなんだけど、意外と気付かれないもんだね。あったかい? そっか。
ねぇ、この手、どれくらいあると思う?
……どのくらいなんだろうね、あたしもわかんないや。でも、ちょっとずつ大きくなってる気がしない? どう?
……うん。実はね、この特製耳かき棒も、もうおもちゃみたいに小さくて。さっきから部屋も少しずつ狭くなってきてるの。
この部屋にあるもの全部、あたしの大きさに合わせて自動で補正してくれる機能がついてるはずなんだけど、多分もう、追いつかないくらい、あたしが……。
……だから、ほんっと馬鹿馬鹿しいし、あたしもまだ全然そんなつもりじゃなかったんだけど……君とこうして話せるのも、これが最後になっちゃう……かな。
ふふっ。そんなこと言わないでよ。
梵天、するね。
(梵天)
あたし、これからどれくらい大きくなっちゃうんだろうね。あたし自身は痛くも痒くもないらしいけど、それがかえって怖くって。
「全宇宙があたしで埋め尽くされるのが嬉しい」……? ほんっとどうかしてる。
ねぇ、いつかまた……君に会えるかな。見えたらすぐに手ぇ振ってよね。きっと見つけてあげるから。
じゃあ、仕上げ。
(耳ふー)
……ん、待って。
もっかい右耳 上にしてくれる?
中途半端だったから、最後、したげるよ。
うん。反対向いた? ありがと。
(耳かき開始、少し早め)
……んんー……。
(金属の壁が軋む音)
(ゆっくり静かに深呼吸)
ううん。あたしは大丈夫。
(耳かきを続ける)
(ぴたりと手を止め、ため息をつく)
うん、こんなもんかな。
(少しだけ大きな音の耳ふー)
(耳元で)
大好きだよ。ばいばい。
(次第にヒビが広がる音)
(ノイズと共にフェーズアウト)
クレジット
ライター情報
タイトルや台詞などお好みに合わせて改変していただいて構いません。
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性癖!!!!!!!!申し訳ない!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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