幼い頃から親しくしている年上の幼馴染がいるあなた。毎年バレンタインの日にはゲームを仕掛けてくる幼馴染だが、今年は少し様子が違うようで…

※SEは必須ではありません。

[部屋の扉の開く音]

おかえりー。
遅かったね。

え、普通におばさんが入れてくれたよ？

いいじゃん、私とキミの仲なんだし。
今さら遠慮もなにもないでしょ。

そんなことより、早く入って。

[部屋の扉の閉まる音]
ねね、チョコもらった？

えー？もらってないの？
なんで毎年ゼロ個なのかなぁ。

そんなにモテないの？
かわいそ…

ふふ、じょーだん。
興味なくて断ってるんだっけ？

甘いもの好きなのに不思議だねー。
私のチョコは毎年受け取ってくれるのにねー。

あーもう、わかったわかった。
本題に入るってば。

そんなにそわそわしなくても。

じゃぁはい、毎年恒例、どっちが当たりでしょうゲーム！
今年もちゃんと二つ用意したよーん。

こら、文句言わないの。
そんなこと言いながら、いつもめちゃくちゃ真剣に選ぶくせに。

ぬぬ…確かに毎年キミは、ちゃっかりしっかり高級チョコレートをゲットしてるけどさぁ…

でもねー、今年は勝つ自信あるよ。

そっ、ちゃんと対策してきた。
失敗から学ぶ女なので、ふふ。

じゃーん。
見た目も重さも一緒、ラッピングもまったく同じにしましたぁ。

去年重さまではかり始めた時は、本気過ぎてびっくりしたんだから。

どーよ。
これならもう勘でいくしかないでしょ。

あ、信じてないなー？
ほら、持って確かめてみてもいいよ？

…ん、納得した？

それじゃ、どっちにする？

そっち？
ほんとにそっちでいいの？

おっけー、決まりね。
(片方を選んで取る)
うん、開けてみて。

[ラッピング袋から取り出す音]
ふふっ、やった。
ついに私の勝ちぃ〜。

食べていいよー。
初めてでしょ？私の手作りチョコ。

どう？美味しい？
へへ、ならよかった。

(一呼吸おく)
…まぁでも今年は、
[ラッピング袋から取り出す音]

…どっちも同じ、なんだけどね。

(チョコを一粒食べる)
ん、おいし。
毎年同じの作ってるから、年々上達してる気がする。

…なに。
別にズルじゃないもん。

私が出すクイズなんだから、私がルールなの。

…ていうか、気づいてたんでしょ？
毎年こっちが当たりで、私の手作りだってこと。

真剣に悩んで選んでるのに、何故か毎年市販のチョコを選んじゃって。
私の前では「よっしゃー！今年も勝ったー！」とか言ってたけどさ。

私が帰ってからいつも悔し泣きしてた、っておばさんから聞いてるよ？

ふふ、照れない照れない。
キミが泣き虫なのは、ちっちゃい頃から知ってるし。

きっかけがないと勇気を出せない性格だってこともねー。
…ま、それは私も、人のこと言えないんだけど。

でも、いい加減動いてくれてもいいんじゃない？とか思ったりもして。

昔は私の後ろを着いてくるだけだったけど、今は違うじゃん。

背も伸びて、大人になって、かっこよくなったんだから。
キミにビシッと決めてほしいなー…なんて思うのは、私のわがままかな？

…ありゃ、固まっちゃった。

もー…今すぐじゃなくていいってば。
私だって、今年は今までと違うことをしよう、って決めるまで１年かかったもん。

でもね、一つだけ確認させて？

その…私の気持ちにはもう気づいてるんだし…さ。
キミから踏み出してくれるの、期待してもいいんだよね？

…い、１ヶ月後？
そんなに早くていいの？大丈夫？
倒れたりしない？

…そ、そっか。

(深呼吸)
私も心の準備、しておくね。

…ん、ふふ、待ってる。

・台本（ゆるボイ！）
一歩踏み出したい年上幼馴染による勝ち確ゲームの仕掛け方
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ミフジ