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ヤンデレゴースト
  • ファンタジー
  • ヤンデレ
  • 人外 / モンスター
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
3766文字(約 12分34秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
ゴースト
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
 内容としましては、とある廃墟にあるという宝の噂を聴きそこへ行くと、一人の女性がいて・・・・・・という流れとなっております。
本編
 【ある日の夜 廃墟にて】

 (ホーホー、というフクロウの鳴く音)

 (ザクザク、と砂利道を歩く音)

 あら?そこのお方、どうしたのですか?

 このような廃墟に何か御用ですか?

 あっ、もしかしてその逞しい体つき・・・・・・冒険者の方ですか?

 となると、ここに訪れたのは、ここの宝を求めてですね?

 うふふ、こう見えても私、生前は人を見る目に自信がありましたの!

 あ・・・・・・はい、実は私、人間ではないのです。

 元人間だったといいますか、なんといいますか・・・・・・。

 えっと・・・・・・そう、ゴースト、というものですわ。

 一応、貴方の探している宝には私、思い当たる物がありますの。

 すぐに貴方にお出しすることもできるのですが、その前に・・・・・・。

 一つだけ、お願いしてもよろしいでしょうか?

 長年私はここにいるのですが、ずっと一人でここにおりまして。

 ここが廃墟となってからかなりの時も立ちますし、皆さんもここの事をお忘れなのでしょう。

 その、実は寂しかったのです。

 も、もし、宜しかったら。

 私と踊ってくれませんか?

 私、踊る事がとても好きなのです。今はあの頃の様にオーケストラや楽団がいませんけれど。

 どう、でしょうか?

 ・・・・・・。

 ありがとうございます。とても嬉しいです。

 では、早速・・・・・・。

 お体、失礼しますね。

 手をこうして握って、体をくっつけて。

 足は右、左、右、と・・・・・・ゆっくりで構いません。

 右、左、右・・・・・・ふふ、お上手です。

 ♪~♪~(「美しき青くドナウ」などのワルツ曲を鼻歌で歌って頂けると。10秒~20秒程)

 うふふ、楽しい・・・・・・。

 まだ幼かったころ、母様に手を引かれて踊りを教えられた時を思い出します。

 はぁ、ありがとうございました。

 とても楽しいひと時でした。

 では約束の・・・・・・こちらをどうぞ。

 サファイアです。

 我が国では、強い魔力を持った王族の方は青い瞳を持って生まれてくるのです。
 
 その伝承になぞらえて、我が国では透き通るほどに美しいサファイアが崇められていたのです。

 このサファイアはその中でも最も大きく、城の目立つところに置かれていたのですよ?

 ・・・・・・そ、その。

 もし貴方さえ良ければなのですが。

 また来てくれませんか?

 勿論、客人をタダで返すわけには参りません。

 次の宝の方を用意して待っております。

 なので、またここに来ていただけると・・・・・・とても嬉しいです。

 【別日の夜、廃墟にて】

 (ホーホー、とフクロウの鳴く音)

 (ザッザッ、と砂利道を歩く音)

 あっ!ごきげんよう!

 貴方が来るのを指折り待っていましたわ。

 うふふ、嬉しい・・・・・・。

 例え目的が宝であっても、こうしてあなたに会えて、その・・・・・・。

 とても嬉しいです。

 では、今日も踊りの相手をお願いしてもよろしいでしょうか?

 ・・・・・・。

 では、失礼します。

 (ギュ、と手を握る音)

 少し、手が逞しくなられたような。

 ふふ、おおきな手・・・・・・。

 殿方の手というのは、こんなにも逞しいのですね。

 では、体の方をくっつけまして、足を・・・・・・。

 右、左、右・・・・・・。

 うふふ。

 ではここで片足を軸にして、一回転をして貰ってもよいでしょうか?

 生前、父様と母様が楽しそうに踊るのを見て、一度してみたいと思っておりましたの。

 ・・・・・・うふふ、お上手ですわ。

 前の時よりも足運びや身のこなしが美しくて、魅入ってしまいますわ。

 そ、それに。

 貴方の瞳って、とても綺麗ですのね。

 あっ・・・・・・こ、こちらを見ないでくださいっ。

 は、恥ずかしい、です。

 ・・・・・・。

 今日も付き合ってくれてありがとうございます。

 まるであの頃に戻ったかのようで、とても楽しく美しいひと時を過ごせました。

 では、約束の・・・・・・こちらをどうぞ。

 父様の被っていた王冠です。

 王国の創立50年の際に、記念として当時の有名な金細工職人が手掛けたものでして、見る人が見ればかなりの値打ち品として買い取っていただけると思います。

 気が付いていたかもしれませんが、実は私、この廃墟一帯にあった王国の姫だったのです。

 ・・・・・・私は、18の頃に死んでしまいました。
 
 一人の臣下とその兵隊が、この国を乗っ取ろうと裏切ったのです。

 あの時の光景は今でも忘れません。城下町は火の海となり、その火の手は私たちの住む城にまで及んで。

 私はその時に、逃げ遅れてしまって。

 あれから何年経ったかも、もう覚えてはいないのですが・・・・・・その臣下と兵隊達は、風の噂で処刑されたと聞いています。

 なので、父様と母様は生きて脱出していた、というのが分かって。

 でも、昔読んだ本で、ゴーストというのは未練が無くなるまで消えない、と見たことがあるのです。

 なぜ、私は今もこうして存在しているのでしょう。

 最初は、父様と母様が生きているのか心配でしたし、あの時に裏切りを企てた臣下の方には、いくらかの恨みもありました。

 ですが、その二つはもう既に解決しているのです。

 なぜ、私は・・・・・・。

 あっ、ごめんなさい。

 つまらない話に付き合わせてしまって。

 その、実はですね。

 もう宝の方は無いと思うのです。

 ごめんなさい、もしかしたら探したらまだあるのかもしれないのですが・・・・・・。

 そ、その。

 また、ふと思い出した時で構いません。

 またここに顔を見せにきてくれませんか?

 その、卑怯な言い方になってしまいますが・・・・・・。

 私、待っていますから。
 
 【別日、廃墟にて。】

 宝、宝・・・・・・次にあの方が来られるときに手ぶらで返すような事があっては・・・・・・。

 あら、これって・・・・・・。

 あぁ、そうか。

 だから、私、今もこうして・・・・・・。

 【別日、廃墟にて。】

 (ホーホー、というフクロウの鳴き声)
 
 (ザッザッ、と砂利道を歩く音)

 あっ!待っていましたよ!

 とは言っても、来られることは何となくですが、知っていたのですけどね。

 実はあれから貴方に差し上げられるような物を探していたのですが、とても良い物を見つけたのです。

 うふふ。

 その、今日は踊りでなくて・・・・・・私の話を聞いてくれませんか?

 実はなぜ、私がゴーストとしてここにいるのかが分かったのです。

 あの時、焼ける城の中で私、最後に思ったのです。

 素敵な殿方と一生を添い遂げたかった、と。

 それできっと、今も私はこうして彷徨っているのです。

 母様みたいに、素敵な方になりたかった。素敵な殿方と、幸せな家庭を築きたかった。

 それが、私の未練なのだと思います。

 それで、その・・・・・・。

 私、貴方の事が好きになってしまったんです。

 実はあの日から、貴方がどこにいて何をしているのかが何となくですが感じ取れるようになったのです。

 そ、それで、今日来てくれるのだろうと、水面に映った顔を見て泥や埃が付いて無いか確認して・・・・・・。

 ・・・・・・私と、一緒になってくれませんか?

 その、つまり、貴方も私と同じ死者になる、という事なのですけれど。

 実はですね、この体、良い事もあるのですよ?

 お腹は減らないし、体が軽いから空高く浮かぶこともできますし、夜の間であればかなりの遠出もすることができるのですよ?

 どうでしょうか?

 わ、私の夫になってくれませんか?

 ・・・・・・。

 そう、ですよね。

 私も、死ぬときはとても怖かったですもの。

 ですが、うふふ・・・・・・。

 この宝を見つけて以来、私の中で誰かが囁くのです。

 正直にしたいことをやりなさい、と。好きな方を一緒にしてあげなさい、と。

 うふふふ。

 だから、失礼しますね?

 ふふ、体の方、動かせないでしょう?

 貴方を私の物にしたいと、それだけを思っただけですのよ?

 そして、今日貴方にお送りするお宝は、この・・・・・・シルバーリングです。

 貴方に渡した二つの宝と比べ、何の装飾もされていないシンプルなものなのですが・・・・・・。

 これ、私が12の頃に母様から手渡されたエンゲージリングですの。

 ほら、私の指を見てください。

 これと同じ物が嵌っていますでしょう?

 では、その薬指に・・・・・・失礼しますね。

 ・・・・・・。

 あぁ・・・・・・素敵ですわ。

 私と、お揃い・・・・・・私の、私の・・・・・・。

 うふふふふ。

 では、最後に。

 貴方の肉体から、魂を引き離して差し上げます。

 誓いの接吻、つまりキスで、貴方の体からゆっくりと熱を奪って、貴方のその目が閉じた時。

 私と同じになる事ができます。

 では、参りますね?

 そ、その。キスはしたことないので無作法になってしまったらごめんなさい。(羞恥を感じている声音をイメージして頂けると)

 ・・・・・・うふふ、首をそんなに振ってもだめですよ。

 ほぉら、こうして頭の両側を掴んで。

 捕まえました。

 さぁ、私と一緒になりましょう?

 大丈夫です。何も怖くはありません。

 全てを、私に委ねてください。

 ちゅ(接吻音)

 うふふ、手足がだらんと垂れてきました。

 瞼も、とろんとなってきましたね。

 普段、眠るように・・・・・・そうです。そのまま目を閉じて。

 おやすみなさい、私の、愛しい人
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ヤンデレゴースト
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
一ノ清 カズスケ
ライター情報
 いつも閲覧ありがとうございます(^^)/

 趣味で聴いているASMR、シチュボ系の動画等を盛り上げたいという思いと、自分の名を売りたいという下心を持って、フリー台本を書いております。

 私の名前をサムネ、又は概要欄にて載せて頂ければ、広告の有り無しに関わらず自由に使って頂けるととても嬉しいです(^^)/

 各台本のタイトル、一部内容はは自由に変えてくださっても構いません。
 
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