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- 人外 / モンスター
公開日2021年06月05日 18:00
更新日2021年06月05日 18:00
文字数
4659文字(約 15分32秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
エルフ
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
内容としましては、エルフの里からの魔物の討伐依頼を受けて、少しピリついたエルフと出会い・・・・・・といった内容となっております。
本編
【ある日の昼、森の奥で】
(ザッザッ、という足音)
(ヒュン、と矢が風を切って飛んでくる音)
そこの人間、止まりなさい!
ゆっくりと、剣を鞘ごと床に置いて。
(カチャ、と床に金属の置かれる音)
(ザッザッ、と近づいてくる足音)
弓、構えたままだから。そのまま両手を上げて。
こんな森深くに何の用?
ん?その身なり・・・・・・もしかして、冒険者?
あっ、もしかして依頼を受けた人?
・・・・・・ふ、ふんっ!
何よ、紛らわしいわね。
そんな間抜けな顔だから、てっきり道に迷ったんだと思ったわ。
まあ、いいわ。
さ、それじゃあ行きましょ。
・・・・・・何よ?
まさか、依頼の内容を忘れちゃったの!?
はぁ・・・・・・人間って皆こうなの?
仕方ないわね。歩きながら説明してあげるから。
(ザッザッ、という足音)
いい?しっかり聞いててよね。
最近、魔物が私たちの里に来ては家や作物、代々伝わる神の樹木に悪さをしているの。
かなり大きい魔物でね。既に仲間も何人かやられてるの。
私たちエルフは弓の扱いは上手いけれど、力が無くて。
そこでわざわざ人間達の村に行って強い人をお願いしてきたのに。
なんで、なんでよりにもよって・・・・・・はぁ。
さ、着いたわ。
里からいつも魔物たちはこの方角に帰っていってるから、この辺りだとは思うんだけど。
ん、ほら見て。この木。
魔物が引っ掻いた跡がある。
ん・・・・・・そこっ!
(シュンシュン、と矢が放たれる音)
よし、当たった・・・・・・って嘘、こっちに突進してくるっ!
うわっ!
(ザシュ(ザクッ)、と剣の振り下ろされる音)
う・・・・・・。
う、うわっ。
これ、あ、あんたがしたの?
何よ、強いじゃないあんた。
・・・・・・。
その、ありがと。助けてくれて。
それと、その・・・・・・ごめんなさい。
最初に失礼な事を言ってしまって。
さてと、早速里の皆に報告してこなきゃ。
あんたも来るでしょ?
普通なら人間なんて入れたら咎められるんだけど、あんたのおかげで里にちょっかいを出す魔物も退治できたし。
さ、里はこっちよ。ついてきて。
【同日、エルフの里にて】
(ザッザッ、という足音)
さ、着いたわよ。
どう?綺麗な所でしょ。
大きな木をくり抜いてその中で生活して、果物や野菜、たまには狩りをして暮らしているの。
この里の景色を見るたびに私、エルフに生まれて良かったって思うの。
あ、私の家はあそこだから先に入って待っててくれる?長老に報告してくるから。
・・・・・・やっぱり扉の前で待ってて!
勝手に色々触られちゃ嫌だし。
(タッタッ、と遠ざかる足音)
・・・・・・。
(近づいてくる足音)
お待たせ。それじゃあ中に入りましょ。
(キィ、と扉の開く音)
(バタン、と扉の閉じる音)
そこの椅子に座ってくれる?
私も隣の椅子に座るから。
(ポフン、とクッションの凹む音)
ふぅ。
長老がね、報酬金を町に持っていくって言ってたわ。
町に戻ったら忘れずに受け取っておいてよね。
それと、今日中に絶対出ていくようにって。
でも、流石に今日はもう遅いからって、あたしの家に泊めるからって許可を貰ったの。
ほら、一応命を助けて貰ったというのもあるから何かお礼をしたくて。
そうしたら、明日の朝早くに出ていくように、って。
それはそうよね。本来、人間を里に入れるのは許可されていないもの。
言うまでもなく分かってるとは思うけど、変な事しないでよ!
泊まるといえば、夕食も用意しないとよね。
そこにあるリンゴ、食べてもいいわよ。
・・・・・・何よその顔は。私、食べ物はそのまま食べたいタイプなの。
む、むぅ。
私、料理が苦手なのっ!野菜とかを貰ってもすぐに焦がしちゃって、作った人や野菜に悪いから一切してないの!
だから生で食べられるものしか私は食べないの!
あっ、いや・・・・・・その。
一応客人だし申し訳ないなー、とか思うけれど(ごにょごにょと濁すような声量をイメージしていただけると)
量ならあるから、遠慮なくお腹いっぱい食べてもいいわよ。
私は1個だけあればいいから。
いただきます。
んむ、んむ。(咀嚼音)
ところであんたは、普段はどんなものを食べてるの?
・・・・・・へぇ。なんだかおいしそうね。
人間の町かぁ。
まぁ、あたしには一生縁の無い場所でしょうね。
んむ、んむ、(咀嚼音)
ごちそうさま。
さてと、私はもう寝るから。
ベッドはこれを使って寝てよ。あたしはこっちのベッドで寝るから。
遠慮なんてしなくていいから。
それじゃあ、おやすみ。
【同日同場所、夜】
(ホーホー、というフクロウの鳴き声)
(モゾモゾ、と布団の動く音)
ねぇ、まだ起きてる?
・・・・・・そ、起きてるんだ。
あたし、たまにこうして目が覚めちゃう時があって。
あ、あのさ。途中で寝ちゃってもいいからさ。
いいかな、話しても。
・・・・・・。
そっか。ありがと。
あたしね、さっきも言ったと思うんだけどお姉ちゃんがいてね。
一緒にここで生まれ育ったの。
とても綺麗な人で、おと・・・・・・長老も可愛がってたんだ。
ある時、人間の・・・・・・あの格好は王国の軍隊なのかな。その人達が魔物の討伐に来てくれたの。
それで、そこの兵士さんの事をお姉ちゃんが好きになっちゃって。
その時はそんな事分からなかったんだけどね。
だって、人間とエルフとじゃ寿命が全然違うし、そんな事はあり得ないと思ったから。
それから、その人間達が帰った日の夜、私が畑仕事の手伝いから帰ってくるとね。
お姉ちゃんが居なかったの。
代わりに、ベッドに置手紙があってね。
あの人を追って里を出ます、って。
それと、私と長老に迷惑かけてごめん、って書いてあったの。
それからずっと、この里に人間を入れる事は禁止にされてきたの。
でもね、その。実は・・・・・・。
あの時、人間達が来てから帰るまでの間ね。お姉ちゃん、とても楽しそうだったんだぁ。(遠い目でどこか憧れるイメージをしていただけると)
その時の顔をよく思い出すの。
あはは、何言ってるんだろうあたし。
って、あんた最後まで聞いてくれたのね。
・・・・・・ありがと。気が楽になったわ。
ん、眠くなってきたかも。
それじゃああたし、本当に寝るから。
おやすみ。
【翌日同場所、朝】
(チュンチュン、という鳥の鳴き声。)
ん、おはよう。
それじゃ、おと・・・・・・長老が来る前に行きなさい?
あ、ほらこれ。
朝ごはんにリンゴ持っていってもいいわよ。帰り道に食べたら?
まあ、その・・・・・・楽しかったわ。
ほらほらっ!身支度して早く行きなさい!
(カチャカチャ、と金属のぶつかる音)
ん、できたみたいね。
それじゃあ、さよなら。
(ザッザッ、という足音)
そっか。もう会えないのね。
【別日昼、人間の町にて】
(ワイワイ、という人々の喧騒)
へぇ、ここが人間の町なのね。
すごい人の数・・・・・・それに、皆耳が丸い。
ん、フードが脱げない様にしないと。
さてと、どこにいるのかしら。
・・・・・・あんなに間抜けな顔をしていたもの。これはただ、報酬金をちゃんと受け取ったか確認しに来ただけ。
じゃないと、また依頼を見た人間が来てしまうかもしれないもの。
そうよ、これは必要な事だもの。
あと一回、遠くから見るだけだから。
あっ・・・・・・!
あんなところに!
なによ、全然間抜けな顔なんてしてないじゃない。
ううん、むしろ・・・・・・。
あんなにかっこよかったっけ、あいつ。
あの顔であの時、あたしを魔物からも守ってくれたのかな。
えへへ。そうなのかなぁ。
そっか。お姉ちゃん、こういう気持ちだったんだぁ。
でも、人間の寿命じゃ、あたしの前からすぐに居なくなっちゃうよね。
どうすればいいんだろう。
【別日、人間の町にて】
(トントン、と扉をノックする音)
(キィ、と扉を開く音)
久しぶり、元気そうじゃない。
あ、フードだから分からないか。
よ、っと。
ふふ、久しぶり。
その間抜けそうな顔は相変わらずね。
なんか安心したわ。
上がってもいい?
・・・・・・。
ん、ありがと。
今日はその、この間あたしの家でし損ねたお礼というか・・・・・・まあそんなところ。
命を助けてもらったっていうのに、リンゴだけっていうのはなんだかモヤモヤしてて。
ほら、これ見て!
(チャプチャプ、と水の音)
これ、里の近くで流れる川の水なの。すごく美味しいんだ、この水。
それに、とっても澄んでいて綺麗でしょ?
早速、フタを開けて飲んでみて。
(ゴクゴク、という喉に液体が流れる音)
ふふ。(陰りを帯びた笑みをイメージしていただけると)
どう?美味しいでしょ?
スープとかに使えたら美味しくなるんだろうけれど・・・・・・ごめんなさい。
その、実は。
あの日、あんたが里を去ってから、何度かこの町に来てたの。
あ、あんたの様子を見に来てたの。
ほら、あんたって抜けてる所というか、ふわふわとしている所というか、そういうところがあるでしょ?
それが心配で、こっそりと遠くから見てたの。
そしたらね。
あんたって、あんなにかっこいい顔するんだね。
それで里にこっそりと戻ってベッドに入るとね、その時のあんたの顔が頭に浮かぶの。
あたし、あんたの事が好きになっちゃったみたい。
でも、あたしとあんたはエルフと人間。寿命が違うから一生一緒にいることができない。
だから何度も諦めようと思ったの。でも、ふと気が付くとまた人間の町に来てあんたの事を見てたの。
あれ、どうしたのよ?
ふふ、眠いんでしょ?
ほら、肩かして上げる。
そこのベッドに腰掛けたら?
っとと。
(スリスリ、と布の擦れ合う音)
あんただったら、あたしに寄りかかってもいいわよ?
でね、話の続きなんだけど。
あたしたちエルフの習慣でね、数十年に一度、神の大樹へ供物として捧げるお酒があるの。
あたしたちエルフが飲んだら少し酔っぱらう程度なんだけれどね。
そのお酒、人間が飲むと、エルフと同じ寿命を生きられるようになるの。
だから、村の外に持ち出すと厳しい罰が与えられるの。
里からの追放なんて容易いでしょうね。
うふふ。
ね、あなたがさっき飲んだの、何だと思う?
ふふ、そんなに怯えた目をしなくても大丈夫よ。ほら、そのまま横になって。
そうだ、膝枕、というのをしてあげるわね。
(スリスリ、と布の擦れ合う音)
ふふ、とろんとした顔。そういう顔も素敵よ。
・・・・・・あたしは、もうあの里には戻れない。
でもそんな事、どうでもいいの。
あんたと永い時間一緒にいれる。あんたともう離れなくて済むもの。
あんたの周りの人間達は、人間の寿命に従って死んでいく。
でも、あたしだけはずっとあんたと一緒にいるから。ずっと、ずぅっと。
ね、もう限界でしょ?もう目を閉じちゃいなさいよ。
それで、目が覚めたらあんたが好きって言っていたもの、一緒に食べにいきましょ?
その・・・・・・あたしも作れるようになりたいから味知っておきたいし。
あぁ、楽しみね・・・・・・。
ふふ。そのまま瞼を閉じちゃいなさい。
ずっと、一緒にいてあげるから。何も怖くないわよ。
だから、おやすみなさい、私の、愛する人・・・・・・。(徐々に意識が遠のき聞こえなくなっていくイメージでしていただけると)
(ザッザッ、という足音)
(ヒュン、と矢が風を切って飛んでくる音)
そこの人間、止まりなさい!
ゆっくりと、剣を鞘ごと床に置いて。
(カチャ、と床に金属の置かれる音)
(ザッザッ、と近づいてくる足音)
弓、構えたままだから。そのまま両手を上げて。
こんな森深くに何の用?
ん?その身なり・・・・・・もしかして、冒険者?
あっ、もしかして依頼を受けた人?
・・・・・・ふ、ふんっ!
何よ、紛らわしいわね。
そんな間抜けな顔だから、てっきり道に迷ったんだと思ったわ。
まあ、いいわ。
さ、それじゃあ行きましょ。
・・・・・・何よ?
まさか、依頼の内容を忘れちゃったの!?
はぁ・・・・・・人間って皆こうなの?
仕方ないわね。歩きながら説明してあげるから。
(ザッザッ、という足音)
いい?しっかり聞いててよね。
最近、魔物が私たちの里に来ては家や作物、代々伝わる神の樹木に悪さをしているの。
かなり大きい魔物でね。既に仲間も何人かやられてるの。
私たちエルフは弓の扱いは上手いけれど、力が無くて。
そこでわざわざ人間達の村に行って強い人をお願いしてきたのに。
なんで、なんでよりにもよって・・・・・・はぁ。
さ、着いたわ。
里からいつも魔物たちはこの方角に帰っていってるから、この辺りだとは思うんだけど。
ん、ほら見て。この木。
魔物が引っ掻いた跡がある。
ん・・・・・・そこっ!
(シュンシュン、と矢が放たれる音)
よし、当たった・・・・・・って嘘、こっちに突進してくるっ!
うわっ!
(ザシュ(ザクッ)、と剣の振り下ろされる音)
う・・・・・・。
う、うわっ。
これ、あ、あんたがしたの?
何よ、強いじゃないあんた。
・・・・・・。
その、ありがと。助けてくれて。
それと、その・・・・・・ごめんなさい。
最初に失礼な事を言ってしまって。
さてと、早速里の皆に報告してこなきゃ。
あんたも来るでしょ?
普通なら人間なんて入れたら咎められるんだけど、あんたのおかげで里にちょっかいを出す魔物も退治できたし。
さ、里はこっちよ。ついてきて。
【同日、エルフの里にて】
(ザッザッ、という足音)
さ、着いたわよ。
どう?綺麗な所でしょ。
大きな木をくり抜いてその中で生活して、果物や野菜、たまには狩りをして暮らしているの。
この里の景色を見るたびに私、エルフに生まれて良かったって思うの。
あ、私の家はあそこだから先に入って待っててくれる?長老に報告してくるから。
・・・・・・やっぱり扉の前で待ってて!
勝手に色々触られちゃ嫌だし。
(タッタッ、と遠ざかる足音)
・・・・・・。
(近づいてくる足音)
お待たせ。それじゃあ中に入りましょ。
(キィ、と扉の開く音)
(バタン、と扉の閉じる音)
そこの椅子に座ってくれる?
私も隣の椅子に座るから。
(ポフン、とクッションの凹む音)
ふぅ。
長老がね、報酬金を町に持っていくって言ってたわ。
町に戻ったら忘れずに受け取っておいてよね。
それと、今日中に絶対出ていくようにって。
でも、流石に今日はもう遅いからって、あたしの家に泊めるからって許可を貰ったの。
ほら、一応命を助けて貰ったというのもあるから何かお礼をしたくて。
そうしたら、明日の朝早くに出ていくように、って。
それはそうよね。本来、人間を里に入れるのは許可されていないもの。
言うまでもなく分かってるとは思うけど、変な事しないでよ!
泊まるといえば、夕食も用意しないとよね。
そこにあるリンゴ、食べてもいいわよ。
・・・・・・何よその顔は。私、食べ物はそのまま食べたいタイプなの。
む、むぅ。
私、料理が苦手なのっ!野菜とかを貰ってもすぐに焦がしちゃって、作った人や野菜に悪いから一切してないの!
だから生で食べられるものしか私は食べないの!
あっ、いや・・・・・・その。
一応客人だし申し訳ないなー、とか思うけれど(ごにょごにょと濁すような声量をイメージしていただけると)
量ならあるから、遠慮なくお腹いっぱい食べてもいいわよ。
私は1個だけあればいいから。
いただきます。
んむ、んむ。(咀嚼音)
ところであんたは、普段はどんなものを食べてるの?
・・・・・・へぇ。なんだかおいしそうね。
人間の町かぁ。
まぁ、あたしには一生縁の無い場所でしょうね。
んむ、んむ、(咀嚼音)
ごちそうさま。
さてと、私はもう寝るから。
ベッドはこれを使って寝てよ。あたしはこっちのベッドで寝るから。
遠慮なんてしなくていいから。
それじゃあ、おやすみ。
【同日同場所、夜】
(ホーホー、というフクロウの鳴き声)
(モゾモゾ、と布団の動く音)
ねぇ、まだ起きてる?
・・・・・・そ、起きてるんだ。
あたし、たまにこうして目が覚めちゃう時があって。
あ、あのさ。途中で寝ちゃってもいいからさ。
いいかな、話しても。
・・・・・・。
そっか。ありがと。
あたしね、さっきも言ったと思うんだけどお姉ちゃんがいてね。
一緒にここで生まれ育ったの。
とても綺麗な人で、おと・・・・・・長老も可愛がってたんだ。
ある時、人間の・・・・・・あの格好は王国の軍隊なのかな。その人達が魔物の討伐に来てくれたの。
それで、そこの兵士さんの事をお姉ちゃんが好きになっちゃって。
その時はそんな事分からなかったんだけどね。
だって、人間とエルフとじゃ寿命が全然違うし、そんな事はあり得ないと思ったから。
それから、その人間達が帰った日の夜、私が畑仕事の手伝いから帰ってくるとね。
お姉ちゃんが居なかったの。
代わりに、ベッドに置手紙があってね。
あの人を追って里を出ます、って。
それと、私と長老に迷惑かけてごめん、って書いてあったの。
それからずっと、この里に人間を入れる事は禁止にされてきたの。
でもね、その。実は・・・・・・。
あの時、人間達が来てから帰るまでの間ね。お姉ちゃん、とても楽しそうだったんだぁ。(遠い目でどこか憧れるイメージをしていただけると)
その時の顔をよく思い出すの。
あはは、何言ってるんだろうあたし。
って、あんた最後まで聞いてくれたのね。
・・・・・・ありがと。気が楽になったわ。
ん、眠くなってきたかも。
それじゃああたし、本当に寝るから。
おやすみ。
【翌日同場所、朝】
(チュンチュン、という鳥の鳴き声。)
ん、おはよう。
それじゃ、おと・・・・・・長老が来る前に行きなさい?
あ、ほらこれ。
朝ごはんにリンゴ持っていってもいいわよ。帰り道に食べたら?
まあ、その・・・・・・楽しかったわ。
ほらほらっ!身支度して早く行きなさい!
(カチャカチャ、と金属のぶつかる音)
ん、できたみたいね。
それじゃあ、さよなら。
(ザッザッ、という足音)
そっか。もう会えないのね。
【別日昼、人間の町にて】
(ワイワイ、という人々の喧騒)
へぇ、ここが人間の町なのね。
すごい人の数・・・・・・それに、皆耳が丸い。
ん、フードが脱げない様にしないと。
さてと、どこにいるのかしら。
・・・・・・あんなに間抜けな顔をしていたもの。これはただ、報酬金をちゃんと受け取ったか確認しに来ただけ。
じゃないと、また依頼を見た人間が来てしまうかもしれないもの。
そうよ、これは必要な事だもの。
あと一回、遠くから見るだけだから。
あっ・・・・・・!
あんなところに!
なによ、全然間抜けな顔なんてしてないじゃない。
ううん、むしろ・・・・・・。
あんなにかっこよかったっけ、あいつ。
あの顔であの時、あたしを魔物からも守ってくれたのかな。
えへへ。そうなのかなぁ。
そっか。お姉ちゃん、こういう気持ちだったんだぁ。
でも、人間の寿命じゃ、あたしの前からすぐに居なくなっちゃうよね。
どうすればいいんだろう。
【別日、人間の町にて】
(トントン、と扉をノックする音)
(キィ、と扉を開く音)
久しぶり、元気そうじゃない。
あ、フードだから分からないか。
よ、っと。
ふふ、久しぶり。
その間抜けそうな顔は相変わらずね。
なんか安心したわ。
上がってもいい?
・・・・・・。
ん、ありがと。
今日はその、この間あたしの家でし損ねたお礼というか・・・・・・まあそんなところ。
命を助けてもらったっていうのに、リンゴだけっていうのはなんだかモヤモヤしてて。
ほら、これ見て!
(チャプチャプ、と水の音)
これ、里の近くで流れる川の水なの。すごく美味しいんだ、この水。
それに、とっても澄んでいて綺麗でしょ?
早速、フタを開けて飲んでみて。
(ゴクゴク、という喉に液体が流れる音)
ふふ。(陰りを帯びた笑みをイメージしていただけると)
どう?美味しいでしょ?
スープとかに使えたら美味しくなるんだろうけれど・・・・・・ごめんなさい。
その、実は。
あの日、あんたが里を去ってから、何度かこの町に来てたの。
あ、あんたの様子を見に来てたの。
ほら、あんたって抜けてる所というか、ふわふわとしている所というか、そういうところがあるでしょ?
それが心配で、こっそりと遠くから見てたの。
そしたらね。
あんたって、あんなにかっこいい顔するんだね。
それで里にこっそりと戻ってベッドに入るとね、その時のあんたの顔が頭に浮かぶの。
あたし、あんたの事が好きになっちゃったみたい。
でも、あたしとあんたはエルフと人間。寿命が違うから一生一緒にいることができない。
だから何度も諦めようと思ったの。でも、ふと気が付くとまた人間の町に来てあんたの事を見てたの。
あれ、どうしたのよ?
ふふ、眠いんでしょ?
ほら、肩かして上げる。
そこのベッドに腰掛けたら?
っとと。
(スリスリ、と布の擦れ合う音)
あんただったら、あたしに寄りかかってもいいわよ?
でね、話の続きなんだけど。
あたしたちエルフの習慣でね、数十年に一度、神の大樹へ供物として捧げるお酒があるの。
あたしたちエルフが飲んだら少し酔っぱらう程度なんだけれどね。
そのお酒、人間が飲むと、エルフと同じ寿命を生きられるようになるの。
だから、村の外に持ち出すと厳しい罰が与えられるの。
里からの追放なんて容易いでしょうね。
うふふ。
ね、あなたがさっき飲んだの、何だと思う?
ふふ、そんなに怯えた目をしなくても大丈夫よ。ほら、そのまま横になって。
そうだ、膝枕、というのをしてあげるわね。
(スリスリ、と布の擦れ合う音)
ふふ、とろんとした顔。そういう顔も素敵よ。
・・・・・・あたしは、もうあの里には戻れない。
でもそんな事、どうでもいいの。
あんたと永い時間一緒にいれる。あんたともう離れなくて済むもの。
あんたの周りの人間達は、人間の寿命に従って死んでいく。
でも、あたしだけはずっとあんたと一緒にいるから。ずっと、ずぅっと。
ね、もう限界でしょ?もう目を閉じちゃいなさいよ。
それで、目が覚めたらあんたが好きって言っていたもの、一緒に食べにいきましょ?
その・・・・・・あたしも作れるようになりたいから味知っておきたいし。
あぁ、楽しみね・・・・・・。
ふふ。そのまま瞼を閉じちゃいなさい。
ずっと、一緒にいてあげるから。何も怖くないわよ。
だから、おやすみなさい、私の、愛する人・・・・・・。(徐々に意識が遠のき聞こえなくなっていくイメージでしていただけると)
クレジット
ライター情報
いつも閲覧ありがとうございます(^^)/
趣味で聴いているASMR、シチュボ系の動画等を盛り上げたいという思いと、自分の名を売りたいという下心を持って、フリー台本を書いております。
私の名前をサムネ、又は概要欄にて載せて頂ければ、広告の有り無しに関わらず自由に使って頂けるととても嬉しいです(^^)/
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