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ヤンデレ鍛冶屋
  • ファンタジー
  • ヤンデレ
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
3906文字(約 13分2秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
鍛冶屋
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
 内容としましては「町で有名な鍛冶屋のところで剣を鍛えて貰ってそれから・・・・・・」となっております。

 キャライメージは「堕ちていく鍛冶一筋っ子」です。
本編
 【ある日、鍛冶屋前にて】

 (カンカン、とトンカチを叩く音)

 お?あんた、見かけない顔だね。

 お客かい?

 ははぁ・・・・・・もしかして、町の人にあたしの噂を聞いて来たね?

 ふふ、見たらわかるさ。

 あんた冒険者だろ?

 くたびれた服に泥の付いた靴、そしてその剣。

 町の皆は綺麗な恰好をしているからね。すぐ分かるよ。

 あぁ・・・・・・すまない。別に悪気はないんだ。

 さてと。お客となれば仕事の話だな。

 あんた、運が良かったな。

 今日はこの剣を鍛え終わったらもう店じまいをするとこだったんだ。

 んじゃ、とりあえずその腰にある剣、渡しな。

 (カチャ、という金属音)

 ほお・・・・・・ほおほおほお。

 やっぱ冒険者ってだけあって、すごい傷だな。

 ん?この柄・・・・・・あんた、この剣をかなり前から使ってるんだな。

 汗で黒ずんでるじゃないか。

 愛用の一振り、って訳だ。ふふ。
 
 久方ぶりに腕が鳴るじゃないか。

 せっかくだ、この柄の布も変えてやるよ。

 この間、いい皮が手に入ったんだ。サービスで付けてやるよ。

 仕上がりはそうだな・・・・・・明日は騎士団の武器を作らなきゃいけないから・・・・・・。

 明日の夕方は出来上がると思う。それでいいか?

 ・・・・・・よし。んじゃこの剣、預かるな。

 また明日来てくれ。

 
 【翌日、鍛冶屋前にて】

 (カァカァ、というカラスの鳴き声)

 (カンカン、というトンカチの音)

 ふぅ・・・・・・。

 お、あんたか。

 今丁度あんたの剣を仕上げてるところだ。

 あと少しで終わるからな。

 (カンカン、というトンカチの音)

 (ジュウウ、と水に浸す音)

 よし、できたぞ。

 どうだ?新品みたいだろ?

 さ、早速手に持ってみてくれ。

 ふふ、久しぶりに気合が入ってしまってな。

 少し時間がかかった。

 あ、柄の皮の具合はどうだ?

 ・・・・・・お、馴染んでるみたいだな。

 よしよし。

 そうだ。なぁ、あんた。これから時間あるか?

 今日はもう仕事も無いから休もうと思っててな。

 あんたの冒険の話を聞きたいんだ。

 その剣に付いた傷をみているとどうしても気になってな。

 な、いいだろ?

 ・・・・・・そうか。ありがとな。

 【家の中へ】

 (ガチャ、と扉の音)

 ちょっと待っててくれ。今ランプを持ってくる。

 (ジュ、っと火を灯す音)

 うし。このテーブルに置くぞ。

 っと、それと・・・・・・あぁ、そうだ。来客用に買っておいた茶葉があったな。

 ちょっと待っててくれ。

 ・・・・・・待たせて悪い。

 ほら。淹れてきたぞ。

 ここに置くな?

 (カチャ、という音)

 さてと。

 あー・・・・・・。

 あ、あんたはその、えっと。

 えーっと、だな・・・・・・。

 悪い、何から話せばいいのか分かんなくなっちまった。

 仕事では毎日喋ってるんだけどな・・・・・・ハハ。

 今朝も、騎士団の連中の剣を作ってたんだ。

 ったく、あいつら。ちょっと傷がついたくらいで新しく買い替えやがって。

 おまけに今日の昼までに10本仕上げろだぁ?

 毎回毎回新しく作るこっちの身にもなれっての。

 あんたもそう思うだろ?

 あ・・・・・・す、すまない。愚痴ってしまって。

 はぁ。

 鍛冶屋になってから弱音は吐かないって決めてたんだけどな。

 その、あたしの思い出話を話してもいいか?

 ・・・・・・あの炉はな、ひいじいさんのそのまた前から代々使われているものなんだ。

 親父が病気で死んでからあたしが継ぐことになって。

 まぁ、あたしとしては武器を鍛えたり、鉄を叩く音が好きだからさ。

 それに、親父はあたしがガキの頃から毎日楽しそうにしてたから、それに憧れてたから。

 でも、あたしがあの炉を引き継ぐようになってからはな、今までのお得意さんが来なくなってな。

 そんなあたしの状態を見て、周りの奴らはあたしに無理な仕事を押し付けてきて。

 あたしが女だからと思ったんだ。

 それからは鍛冶に打ち込んでな。今ではまぁ、あんたもあたしの噂を聞いただろ?

 そのくらいには持ち直すことができたんだ。

 職業病っていうのか?そのせいで今はすっかり男口調になってしまったけどな。

 ふふ。

 なんでだろうな。

 あんたと話してると、話すまいと決めてたこともペラペラ喋っちまう。

 あ、内緒にしといてくれよっ?

 ・・・・・・話、付き合ってくれてありがとな。

 肩の力が抜けた気がするよ。

 なぁ、あんた。

 オリハルコンって金属は知ってるか?

 実はな、この間とある商品がそれを手に入れたと聞いてな。

 僅かな量だけど、買い付ける事に成功したんだ。

 鍛冶屋をしている以上、一度はそれを鍛えたいと思ってたんだ。

 でな。もし、あんたさえ良かったら・・・・・・。

 それで鍛えた武器を、貰ってくれないか?

 まあ、その、なんだ。
 
 あんたの剣を見て、鍛冶が純粋に好きだった頃のあたしを思い出させてくれたというか。

 そのお礼みたいなもんさ。

 良く考えておいてくれ。答えは今じゃなくてもいいからよ。

 そうだ、お茶。お代わり持ってくるな。

 (スタスタ、と遠ざかる足音)

 (スタスタ、と近づく足音)

 悪い。もう茶葉が無かった。

 次あんたが来るまでには買っておくな。

 (ホーホー、というフクロウの鳴き声)

 む。もうこんなに暗くなってたんだな。

 こんな時間まで悪かったな。

 じゃ、今日の所は・・・・・・だな。

 オリハルコンの事、考えておいてくれよ?

 ふふ。

 【別日の昼、町中にて】

 (ワイワイ、という喧騒)

 あぁ、町のこの感じ。久しぶりだな。

 お・・・・・・親父が好きだったレストラン。まだやってんのか。

 今度行ってみるか。

 っと、茶葉の店は・・・・・・あれ、どこだったっけか。

 あぁ、あったあった。

 んっと・・・・・・どれがいいんだ?

 ああクソ、味の好みくらい訊いときゃ良かったな。(呟き声をイメージしていただけると)

 うぅむ。とりあえず、値段の高いこれでいいか。

 おっちゃーん!これ一つくれ!

 (チャリン、という硬貨の音)

 ふぅ。

 あ、鉄の買い付けもしておくか。

 ん・・・・・・?

 お、あいつも買い物か?

 おーい!

 ・・・・・・誰だあの女。

 綺麗な服に、笑顔に、それに・・・・・・。

 あたしには、無いな。

 ハハ、なんだよあたし。

 あたし、あいつの事が好きだったのかよ?

 なんだよ、これ。情けねぇよ・・・・・・。

 【別日夕方、鍛冶屋前にて。】

 (カァカァ、とカラスの音)

 (カンカン、というトンカチの音)

 ん・・・・・・あぁ、あんたか。

 今日は何の用だ?

 あぁ・・・・・・そうだったな。悪い忘れてた。

 オリハルコンだな。

 今日届いたんだよ、実は。

 (ゴソゴソ、とまさぐる音)

 ほら、これを見てくれ。綺麗だろ?

 両手に収まるくらいに小さいから、その剣ほど長いのは無理だけど、短剣なら2本くらい作れると思う。

 ・・・・・・な、なぁ。

 その、この間な?あたし、あんたを見たんだ。

 あんた、女と歩いていたよな?

 その。ただの世間話で聞いてほしいんだけどな?

 あの女、あんたの恋人か?

 ・・・・・・ち、違うのか?ほ、本当か?

 じゃ、じゃああんたは恋人でもない女とあんなに楽しそうに話すって事か?

 何でもない女と、ああして喋るのか?

 あ・・・・・・いや、その。すまない。

 なんでもない。

 なぁ。あんたは・・・・・・あたしの事をどう思う?

 や、やっぱりこんな筋肉の付いている女は嫌いか?

 あ、あたしは・・・・・・。

 いや、なんでもない。

 あんたに一つ、謝りたいことがある。

 このオリハルコンで作る短剣は、受け取りに来ないでくれ。

 すまない、あたしから言い出した事なのに。

 隣町にいる鍛冶屋はあたしと同じくらいの腕利きと聞いたことがある。

 だから・・・・・・。

 もう、ここには来ないでくれ。

 あんたはあたしの事を、忘れてくれ。

 もう、帰ってくれ。

 (ザッザッ、と遠ざかる足音)

 ・・・・・・うぅ。(嗚咽のようなイメージをしていただけると)

 【別日の夕方、鍛冶屋にて。】

 (カァカァ、とカラスの鳴き声)

 (カンカン、と金づちをふるう音)

 な・・・・・・あ、あんた。なんでまたここに来たんだ?

 言っただろう、もうここには来るなって。

 あたし、あんたの優しさに触れていると自分がおかしくなっていくんだよ。

 あんたを見ていると頭がいっぱいになって、しまうんだ。

 あんたと手を繋ぎたい、笑顔を向けて欲しい、一生、一緒に居てほしい。

 何度も、何度も抑えようとしたんだ。でもな・・・・・・。

 (ガバ、と布を捲る音)

 この腹のここ。分かるか?

 あんたの名前を彫ってしまったんだ。

 こうすれば、名前だけでも一緒にいれるんじゃないかと思ってな。
 
 あんたに会いたいという雑念を追いやれると思ったんだ。

 でもダメだった。いや、むしろ逆だった。

 夜寝ようと瞼を閉じた時に、あんたの顔が思い浮かんで、剣を鍛えるたびにあの日、あんたが剣を受け取ったときの嬉しそうな顔が浮かぶんだ。

 もう、駄目なんだ。あたし、もう自分を抑えられないんだ。

 (グググ、と腕を掴む音)

 ふふ、どうだ?伊達に毎日鍛冶をしていないからな。

 (チャキ、という金属音)

 どうだ?この短剣。綺麗な刀身だろ?

 鉄なんかと比べ物にならないくらい大変だったが、上手くできたよ。

 ふふ、じゃあ・・・・・・。

 (ガバ、と布を捲る音)

 頼むから暴れるなよ?あんたを極力傷つけたくないんだ。

 あぁ・・・・・・今ようやくわかったよ。

 最初から、あたしはこうしたかったんだ。

 ふふ、ふふふ。

 じゃあ、いくぞ?

 あたしのもの・・・・・・あたしだけのものになってくれ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ヤンデレ鍛冶屋
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
一ノ清 カズスケ
ライター情報
 いつも閲覧ありがとうございます(^^)/

 趣味で聴いているASMR、シチュボ系の動画等を盛り上げたいという思いと、自分の名を売りたいという下心を持って、フリー台本を書いております。

 私の名前をサムネ、又は概要欄にて載せて頂ければ、広告の有り無しに関わらず自由に使って頂けるととても嬉しいです(^^)/

 各台本のタイトル、一部内容はは自由に変えてくださっても構いません。
 
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