会社の先輩兼恋人の家に、バレンタインのお返しを渡しに来たあなた。出迎えてくれた彼女の様子が、いつもと少し違っていて…

※SEは必須ではありません。

[玄関扉の開閉音]
いらっしゃい。
お疲れ様。

ん、なに？
…あ、もしかして。

おかえり、がよかった？
やっぱり。
相変わらずわかりやすくて可愛いね。

じゃあ…君がお望みとのことなので。

おかえり。
今日もお疲れ様。

どう？
同棲してる気分になれた？
ならよかった。

寒かったでしょ。
お部屋あったまってるから入って。

[足音orスリッパの音]
(リビングまで歩く)

それで、どうしたの？
今日って来る日じゃなかったよね？

違う違う、責めてるんじゃなくて。

単純に、私が約束忘れてたとかだったらどうしよ、って思って。

本当？
…だったら、なにかあった？

[紙袋の音]
(彼女に渡す)

あー、そっか、今日ホワイトデーか。
…ん、ありがと。

んー？
嬉しいよ？

うん、私の好きなお店。

や、ほんとに嬉しいよ？
嬉しい…ん、だけどね。

はぁ…(ため息)
年上らしく余裕持って、気にしないようにしようと思ってたのになぁ。

んー…うん、やっぱり言うね。

これ、今日の仕事終わりに買いに行ったでしょ？
そう、会社の最寄り駅のとこだよね。

ん、そのために仕事早く終わらせたの？
そういう計画的なとこ、えらいね。

…じゃなくて！

…見ちゃったの。

あのね、君のことは全然疑ってないし、そんなつもりないってわかってるんだけど…
彼女への贈り物を選ぶ時に、他の女の子に付き添ってもらうのは…なんていうか、さ。

あんまり嬉しくないかな、って。

しかもあの子、前に君のことかっこいいって言ってるの聞いたことあるし、そういう子と会社の外で二人きりで会ったりは、その…してほしくないというか…

…え、あ、お店で偶然会ったの！？
女性の意見聞くためにお願いしたとかじゃなくて？

あ、そういうこと…

えぇー…どうしよ。
すっごい恥ずかしい勘違いしてた…

いま顔見ないで、恥ずかしすぎる…

ダメだなー私、君のことになると。

…前も言ったでしょ？
君が思ってるほど、余裕ないんだってば。

でもこんなことで嫉妬してるなんて、心が狭いって思われちゃうかな、とか。
年上っぽくなくてがっかりさせちゃうかな、とか。

そういうの考え始めたら止まんなくなっちゃって。
帰ってきてからもずっとモヤモヤしてた。

そんなタイミングで、君から急に家に来るって連絡くるしさぁ。

まぁ、結果的に来てくれてよかった、けど。

…がっかりしてない？
ほんと？

…じゃあ、モヤモヤさせてごめんなさいのハグして？

いーから、するの。

[衣擦れ音]
んー…
(匂いを嗅ぐ)

うん、匂いも移ってないね。
…だってあの子、ボディータッチ激しいし。

そういう気がなかったとしても、好きな人から他の子の匂いがしたら嫌なものなんですー。

…よし、合格っ。
[衣擦れ音]
(彼から離れる)

ふふっ、安心したらお腹すいてきちゃった。

ご飯食べてくよね？

大丈夫、今日シチューだし。
うん、さっき煮込み終わったところ。

ちょっと冷めちゃったと思うから、あっためてくるね。
座って待ってて？


…あ。
君、シチューはご飯にかける派？かけない派？

ほら、こういうのはちゃんと知っておかないと。


…いつか一緒に暮らす時のために、ね？

・台本（ゆるボイ！）
あざと可愛い先輩彼女は君に嫉妬心を隠したい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ミフジ