あらすじは「とある科学者とつきあっていたが、ある日をきっかけに彼女が･･････。」といった内容となっております。

　キャライメージは「嫉妬深いところもあるが献身的な理系ガール」です。

　【ある日の夜、街中にて。】

　（走り寄る足音）

　ごめんなさい！遅れました！

　結構待ちましたよね？本当にごめんなさい。

　研究がキリのいいとこ、キリのいいとこ、ってズルズルしちゃって･･････。

　悪い癖ですね。直さなきゃ。

　じゃあ、えっと･･････行きましょうか。（恥ずかしそうに言っていただけますと）

　（歩く足音）

　そ、そのぅ。手とか、腕組んだりとかって･･････しないの？

　その、えっと･･････。

　したい、です。

　･･････えへ。ありがとう。

　ん･･････？君、さっきすれ違った女の人、見てました？

　確かに綺麗な人だったけど･･････。

　正直、嫉妬しちゃう、かな。

　･･････なぁんて、冗談です。

　うふふっ。ちょっとでも罪悪感を感じてくれたのなら、もっと強く手を握ってくださいっ！

　えへへ。

　あ･･････そういえば、なのですが。

　その、えっと･･････。

　ごめんなさい、また暫くこうして会えなさそうな日が続くと思います。

　実は、火星へ送る研究者の第一号に選ばれそうで！

　それで、研究やレポートに集中したくて･･････。

　でも、火星へ行くのは、私の夢で･･････。

　どうしても諦めたくないんです！

　だから、その･･････。

　待っててくれますか？

　･･････ふふ。ありがとうございます。

　それで、無事に火星行きが決まったら･･････。

　それまでに、式とか挙げたい･･････ですね。えへへ。

　あ、それとも･･････火星で宇宙服で、というのもなかなかロマンがありますよね。

　ふふ。楽しみ。

　【ある日、街中にて。】

　（携帯のバイブ音）

　あっ･･････その、元気だった？

　ごめんなさい、ずっと電話できなくて。

　一週間後に一日、空きができてね？
　
　その、深い意味は無いんだけど、その･･････。

　お家にお邪魔してもいいですか？

　ほ、本当に深い意味はないんですっ！

　･･････いい、かな？

　･･････あ、ありがとうっ！

　じゃあ･･････うん。

　電話、切るね？

　･･････えへへ。喜んでくれるかなぁ。

　【６日後、夜の街中にて。】

　（歩く足音）

　ふふっ！一日早く終わっちゃった！

　あのバスに乗ったら、もう、彼の家かぁ。

　えへへ。なんて報告しようかなぁ。

　あ、でも･･････ううん。今日という今日は、敬語なんて言わないで、ため口でフランクにいこう！

　うん。がんばろ。

　･･････ん？

　あそこにいるのって･･････。
　
　えへへ、後ろから近づいてびっくりさせ、て･･････？

　あの女、誰？

　そこは、私の場所でしょ？

　【１時間後、家の前にて。『この場面は冷たい口調でしていただけますと』】

　（歩く足音）

　こんばんわ。

　家の前で、ずっと待っていましたよ。

　･･････なんですかその顔。私がここにいるのが意外でしたか？

　一日早く用事が終わったんです。それだけですよ。

　中、入りましょうか。

　（鍵を開ける音）

　（扉を開く音）

　（扉を閉じる音）

　あぁ、そうそう。

　貴方の好きなご飯を作ろうと、食材を買ってきたんでした。

　一緒に食べましょうか。

　今から作りますから。

　（歩く足音）

　（包丁で切る音。一番早く切る音でお願いします）

　ねぇ。

　あの人、誰ですか？

　見ましたよ？さっき、女の人と歩いていましたね。

　（包丁で切る音。さっきよりも遅く切る音をお願いします）

　すごく、綺麗な人でしたね。

　私の事なんて、忘れちゃったんですか？

　（包丁で切る音。さっきよりも遅く切る音をお願いします）

　浮気ですか？

　彼女である私がいるのに。

　･･････さっきから何も言ってないという事は、認めるんですか？浮気。

　（ガンッ、と包丁をまな板に突き刺すような音）

　あんなに、私の事を応援する、って言ってくれたじゃないですか。　

　･･････もう、いい。

　（裸足で近づく足音）

　貴方を看取った後、私も死にます。

　だって、もう、色々どうでもよくなっちゃいましたから。

　（ナイフで突き刺す音）

　（バタリ、と倒れる音）

　はぁっ、はぁっ。

　あ、貴方が･･････貴方が悪いのですからっ！

　私は、私は悪くない、はず、です。

　ん･･････何か、紙が落ちましたよ。

　あの女の名刺ですか？

　（カードをめくる音）『以降、動揺した声音→激しく動揺している声音をイメージをしていただけますと』

　え･･････これは･･････。

　はっぴーばーすでい？

　え、え？

　今日の日付は･･････。

　あ、明日は･･････私の、誕生日？

　そ、そういえば、貴方の持っていた袋って。

　（新聞紙を広げるような音）

　これって･･････私が欲しいって言っていた･･････。

　じゃ、じゃあ、あの女性の方って、もしかして･･････。

　い、いやっ！ち、違うの！違うんです！

　私、貴方が、あの人と浮気してるって勘違いしちゃって！

　で、でも。それは貴方が悪くって。

　いや私が悪くてっ！あれ･･････どういうこと？

　あぁ、そうだ！止血･･････止血しないとっ！

　どうしようどうしようどうしよう･･････だめ、布なんかじゃ全然止まらないっ！

　あ、救急車！な、何番だったっけ。

　えっと、えっと･･････。

　嫌っ！お願い、目を閉じないで！

　私、貴方が居ないと生きていけないの！

　【ある日、時間未明。研究室にて】『以降の効果音は、特に効果音ラボさまを参考にしていただけますと』

　（海の中　の音）

　（決定、ボタン押し下２　の音）

　（自動ドアが開く　音）

　（ハイヒールで歩く　音）

　（ピープ音　２回）

　（カーソル移動１　の音）

　ん･･････頭頂葉と後頭葉の動きに異常は無し。

　側頭葉と前頭葉は･･････少し鈍い動きね。まぁ、そうよね。

　ふふ。おはよう。今日も元気でよかったわ。

　そこでの生活には慣れた？

　貴方は首だけになっちゃったものだから、最初はパニックを起こしていたわよね。

　でも、今は･･････うん。大分落ち着いてきたようで良かったわ。

　（ピープ音）

　ん。温度も適温。

　あ、でも。暑かったら右目、寒かったら左目を瞑ってね？

　今日で、火星に来て何年になるのかしらね。

　ずっと研究室にいるものだから、忘れてしまったわ。

　地球でずっと暮らしていた貴方からしたら、窮屈な思いをさせてしまっているかもしれないわね。

　･･････本当に、ごめんなさい。

　あの時、私がもっと、貴方の事を信じてあげていれば･･････。

　地球で、貴方の事が好きになって、デートして、告白して。

　それで、私はいつも待ち合わせに遅れて行って。

　でも、それを貴方は優しい笑顔で迎えてくれて。

　うふふ。何度思い出しても、顔が熱くなってしまうわね。

　でも、それから私は研究で忙しくなってしまって。

　そうそう。丁度その時、火星への遠征に選ばれたんだっけ。

　私の夢だったから、すごく嬉しかった。

　貴方も、応援してくれて、一緒に行く、って言ってくれて。

　そうそう。落ち着いたら、地球の教会で式を挙げるか、火星で初めての結婚式を挙げよう、って話もしたわよね。

　懐かしいわねぇ･･････。

　･･････でも。私は。

　偶然、貴方があの女性と一緒に歩いているのを見て。

　あの時、貴方と会えなくて、ずっと一人で研究をしていて。

　やっとお休みがとれて、貴方に会いに行こうとしたら、あの人といて。

　あの時の私は、どうかしていたわね。

　それから、私は貴方にあんなに詰め寄って、激しく責めて･･････。

　それで･･････。

　でも、貴方の胸ポケットから、バースデーカードが出てきて。

　あの後、貴方の携帯から、あの女性から電話が掛かって来たの。

　･･････誕生日プレゼントの相談をしていたと知って。

　改めて･･････私は、なんてことをしたんだろう、って。

　･･････あの時は、本当に･･････いえ、許さなくてもいい。

　貴方を、失いたくなかった。

　たとえ、人の道を外れてもいい。どんなことをしてでも、貴方を失いたくなかった。

　それから、今までの研究の全てを見直して、考えた。

　そして、貴方の頭だけをこうして、生かすことに成功したの。

　体は･･････本当にごめんなさい。細胞の再生が間に合わなくて。

　あ、でも。保存はしているの。

　貴方の大切な体ですもの。火星へ来るときに秘密裏で運んできたの。

　貴方の体を、２度もダメにしてしまった。

　本当は･･････貴方とまた、手を握りたい。腕を組んで、夜の街を一緒に歩きたい。

　でも、私のせいで、貴方をそんな姿にしてしまった。

　全部、全部。私のせい。

　だから、貴方には全部をあげて、元通りに戻って欲しいの。

　私の体を、貴方に捧げても。

　だからぁ･･････。

　（布の擦れる音）

　ねぇ。私の首の根元の･･････鎖骨がへこんでるところ、見える。

　大きな痣が見えるでしょう？

　私ね？火星にきてからずっと、自分の体を手術しているの。

　二人分の血液を流しても耐えられるようにして、心臓も大きく改造して、二人分の脳の重さに耐えられるように、少し筋力をつけて。

　それで･･････この痣の所に、貴方を移植するの。

　大丈夫。拒絶反応は出ないわ。

　この数年。貴方の血や細胞を、私の体に馴染ませたから。

　それでぇ･･････うふふ。

　最初は･･････胸の真ん中にするかで迷ったの。

　でも、そうすると、服を着ている間は貴方に合うことができないでしょう？

　だから、首にしたの。
　
　貴方と私は、一つの体になるの。

　（近づくハイヒールの足音）

　私の体は、貴方の物。

　愛し合う二人はいつも一緒だもの。

　･･････そのぅ、これくらいでは全然貴方には返せないけど、どう、かな？

　よ、喜んでくれる･･････かなぁ？

　（海の中　の音）

　あら？前頭葉が活発してるわね。

　うふ、貴方も喜んでくれているようで、すっごく嬉しい。

　ここまで本当に長かった。

　ずっと火星で･･････ずっと、ずぅっと。

　貴方がいてくれたおかげで、ここまで頑張れた。

　あと、一週間で、私の誕生日。

　その日に、今度こそ、私は･･････貴方に。

　だから･･････まだ、もうちょっとだけ、待っててね？

　あなた。

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレ研究者。後半よりマッドサイエンティスト
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
一ノ清　カズスケ