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公表してない社内恋愛は、切なくなる
written by 呂綺
  • 喧嘩
  • 職場/オフィス
  • 甘々
  • 恋人同士
  • 年上
公開日2021年07月13日 10:31 更新日2021年07月13日 20:25
文字数
2132文字(約 7分7秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
男性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
上司と部下である二人は、交際を隠して密会していた。
だがこの秘密の関係に、彼女はだんだんと不安になっていく。
本編
※フリー台本です。アレンジ自由、使用自由です。書き手の「呂綺」の名前だけ、どこかに記載してもらえたら嬉しいです。


***


はぁ、もうすぐ昼休み……終わっちゃうな。
名残惜しいけど、俺は先にオフィスに戻るよ。
お前も、少し時間を開けて戻ってこい。
ん?どうした?

俺の切り替えの早さにびっくりするって?
そりゃ切り替えなきゃ、だろ。
こうしてこっそり備品倉庫でお前と会ってる時の甘い顔から、仕事モードのしっかりとした顔に、な?

ん、どうした?
なんでそんなに悲しい顔になってんだよ……。


【「どうしてこんな風に隠れて会わないと行けないのですか?」】


こうして隠れてコソコソ会うのが気に入らないのか?
仕方ないだろ、社内恋愛は周りに気を使わせる事になるだろ?
俺、そういうの嫌なんだよ。
それに、確かに会社にいる時は人目を避けて会ってるけどさ、その分お互いの自宅ではちゃんと仲良くしてるんだから、ワガママを言うなって。
ほらギューしてやるから、機嫌直せ?


【彼は彼女の体を強く抱きしめた後、手を離して扉の方に向かう。そして振り返って声を掛けたあと、備品倉庫を出ていった】


じゃあ、また後でな。


【彼女はシーンと静まり返ったそこで、閉まった扉を見つめながら、悲しい顔をし続けたのだった】



***


(キーボードをカタカタカタと叩く音) 

ん?……はぁ。
(大きなため息をついた後、ガタンと椅子から立ち上がる音)


【彼は呆れた顔をしながら彼女の席に向かう。
そして書類をデスクの上にパサリと置いた】


おい!この書類、ミスが多いぞ。
お前のミスで、取引先に迷惑をかけたら大変な事になるって、分かってんのか?!

【厳しく叱られた彼女は、消え入りそうな声で「申し訳ありません。すぐに修整します」と伝える。】


ったく、しっかりしてくれよ。
いつまで新人気分でいるつもりだ?!


【涙目になった彼女を見て、流石に言い過ぎたと思った彼は、バツが悪そうな顔をした】


……っ、はぁ……まぁ、いい。
反省してるならもういいから、すぐに修正してくれ。
頼んだぞ。


【そう言うと彼は自分の席に戻っていき、彼女はひたすら涙を堪えながらパソコンの前に座りキーボードを叩いたのだった】


***


【夜、彼は彼女のマンションの前に立ちインターホンを鳴らす】

(ピンポーンという音の後、ドアをガチャリと開ける音)


おつかれ。中……入っていいか?


【昼間の時とは違い、優しい声色を見せる彼。
彼女は頷いた後、部屋の中に彼を招き入れた】


昼間は、少しキツく言い過ぎたな。
あっ、目が赤くなってるじゃねぇか……泣いてたのか?
ほんと、ごめんな。
付き合ってる事を隠す為に、皆の前ではお前に冷たくしなきゃって思いが強くなって……。
泣かせてほんとにごめん。


【「違う、貴方に怒られたから、泣いたんじゃないの」と彼女は首を横に振る】


え?俺に叱られたから泣いたんじゃないのか?
だったらどうして?
他に何か、泣くような事……あったか?


【彼がそう問いかけると、彼女はまたシクシクと泣き始める。
それを見た彼はどうしていいか分からず、ひたすら彼女の背中を優しくさすり続けた】


よしよし。
ほら、言いたい事があるなら言って?
何を言われても絶対に怒らないって約束するから、な?
なんでそんなにお前が悲しんでいるのか、俺には本当に分からないんだよ。


【彼が困ったようにそう告げると、彼女は涙を拭いながら顔を上げる。
そしてぽつりぽつりと語り始めた。】


うん……

うん……

え……いや、そんな事は絶対にないって!
昼間も言っただろ?俺達の関係を隠してるのは、周りに気を使わせない為だって!
お前が彼女だって事が恥ずかしくて隠してるなんて、絶対にねぇよ!
は?いや、確かにお前は今日みたいにうっかりミスをする事もあるけど
それでお前を使えないヤツだなんて、恥ずかしい存在だなんて思った事は一度もないって!
だいたいお前は一度ミスしても、同じミスは二度としないじゃねぇか。
それはちゃんと反省できて、仕事に対しても責任感がある証拠だろ?
お前は使えない奴なんかじゃない。俺が保証する。

だからほら、泣きやめよ?な?


【彼はそう言うと、彼女の身体を包みこむようにギュッと抱き締めた】


……そっか、周りに公言しない事がお前を不安にさせてたんだな。
俺はそれが最善だと決めつけてたけど、お前の気持ちを考えてなかったかもしれない。
ごめんな?


【「私の方こそ、子供みたいに泣いてごめんなさい」】

いや、お前は謝らなくていい。

(しばらく間を開けた後、決意したように)
なぁ、明日……さ、俺……言うよ。


【「え?」といいながら、彼女は涙目で彼を見つめる】


ちゃんと、真剣に付き合っているってこと。
……よく考えたら、別に悪い事をしてる訳じゃないんだから、お前を泣かせてまで隠す必要なんか無いよな。
今まで我慢させて、悪かった。

って、おい、なんでまた泣くんだよぉ。
今度のは嬉しいから?
(安心したように)良かったぁ……。

あの、さ。
明日みんなに公表する時、「結婚を前提に付き合ってる」って言うのは…………お前的には、あり?


【彼女は一瞬びっくりした後、泣き笑いしながら「もちろんありです」と答えた】


あり、か。
(嬉しそうに)そっかー!んーっ、ぎゅーっ!
家でも職場でも、これから先ずっとずっとよろしくな?

(耳元に唇を当てて)
正式なプロポーズは、また日を改めてするから、楽しみに待ってろよ。


END
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
公表してない社内恋愛は、切なくなる
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
呂綺
ライター情報
シチュエーションボイス女性向け台本を書いています。
得意ジャンルは、甘々、喧嘩系、ヤンデレ等。
有償販売利用の条件
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