貴女がゲームをやっていると突然、部屋に幼馴染が入ってきた。文句を言う貴女だが、彼はどこ吹く風といった様子。そのまま貴女の部屋で宿題を始めるが、そんな彼を見て、貴女はなぜかゲームのキャラのセリフを言わせたくなって…？

(ドアが開く)


あ〜、お前、また乙女ゲーやってやんの。


いいじゃん、別に。お前の部屋なんて、俺の部屋みたいなもんだろー？


まぁ、そんな細かいこと気にすんなって。


んなことより、俺はお前の部屋でのんびり宿題でもやるとするか。


いいよ、そのままゲームやってて。俺は全然興味ないから。


あー、うるさ…この早口オタクが…何言ってっか、サッパリわかんねーよ。


とりあえず…えーっと、数学のプリントからやってくか…


(お互いしばらく無言)


…？何？どうかした？


まさか俺の顔になんかついてる？


はぁ？何だそりゃ？俺がどこの誰に似てるって？


え、コイツ？全然似てねーじゃん。


いやいや…お前、目ん玉大丈夫か？眼科紹介した方がいい？


あ〜、出たよ…リアルの三次元の人間と、二次元のイケメンキャラを混同するやつ…


はいはい…俺はゲームん中の男みたく、いい性格してませんよ〜。


大体あんなクッサいセリフ、恥ずかしすぎて言えるか。絶対、百パー無理だわ。


…？何だよ、急に…


あっ…！おま、それは卑怯というやつでは…⁉︎


テメ〜…！人の弱みにつけ込んでくれちゃってさぁ…！


くっそ〜…仕方ねえなぁ。一回だけだぞ？


(一息入れて、顎クイ)


お前、俺の女になれよ…じゃねえとその唇、無理やり奪っちまうぞ？


(顎クイ終わり)


……おい。なんか反応しろよ。顎クイまでしてやったのに…無反応が一番傷つくんだよ。


は？やだ。何でもう一回やらねばならん。


つーかさっき、一回しかやらねーっつったろ？俺の話聞いてた？


あっ、バカ…！おふくろにそのことは言うんじゃねぇ！マジでころすぞ！


うわ…コイツ、またキツいセリフ言わせる気か…


あ〜、も〜…今度こそ、この一回で終わりだからな？次はマジでねえぞ？


よし…じゃあちょっとだけ心の準備を…


(深呼吸)


お前さ…さっきから生意気すぎ。幼馴染相手だったら、何言ってもいいと思ってる？


うるせえよ。つべこべ言わず、最後まで黙って聞け。


あんまり俺の前で「誰々くんがカッコいい！」とか言うんじゃねえよ…本気で妬いちまうだろうが。


妬くに決まってんだろ…だって、お前の一番身近な異性って俺だし。


お前、いっつもそうだよな…二次元のイケメン見ては、無愛想な幼馴染とは大違いって毎回言ってくるし。言われた方の気持ち、考えたことある？


だってもへちまもねえ。言い訳すんな、馬鹿。


いい加減さ…気づけよ、俺の気持ちに。


じゃねえと、マジで無理やり襲うぞ？なぁ？


やめてじゃねえんだよ。今さら被害者ヅラすんな。


俺の気持ち、散々弄びやがって…このっ…！


(衣服を脱がそうとして、やめる)


……ハァ。こんなもんでいい？なんか疲れた…


は？続き？そんなもんねえよ。


ちゃんと「女を襲う時のイケメンのセリフ」言ってやったろーが。


もー、無駄に疲れたし…宿題、やっぱ家でするわ。そんじゃ。


(袖を引かれて、ため息をつく)


…今度は何？流石にこれ以上は付き合ってやれねーぞ？


……ふーん。要するに、さっきの俺のセリフを真に受けちゃったわけだ。


ははっ…お前、ニ次元と三次元の区別もつかねえのかよ、ばーか。


(振り向いて抱きしめる)


このオタク女が…恋愛耐性低すぎなんだよ。


あんまりにもチョロいから…俺でも堕とそうってなっちゃうじゃん？


うん…リアルで愛してやるっつったら、どうする？


ははっ…！呂律、全然回ってねえし…！


はぁ〜あ…お前って、面倒くさいけど、面白いよな。


返事？そんなもん、したいときにすりゃいいじゃん。


うん。別に今すぐじゃなくていい。気長に待っといてやるよ。俺は心が広いからな。


うるせ〜。昔のことを持ち出すな。今、広けりゃ、それでいいんだよ。


…さぁな。さっきのセリフが本心かどうかはご想像にお任せします。


(身体を離す)


じゃ、今度こそ帰るわ。また明日、学校でな。

・台本（ゆるボイ！）
無愛想な幼馴染にイケメンゼリフ言わせてみたら、なんか思ってたのと違う
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎