物静かで抑揚のない喋り声の少女。放課後、とある空き教室で暇を潰していた主人公はクラスメイトである彼女と出会い、始めは言葉少なげだったけれど、どこか波長が合うのをお互いに認め、いつしか身を寄せ合うように席をぴったりと隣り合わせに座り、静かな逢瀬を楽しんでいた。
お互い両想いでありながら、しかしそれを言葉にしなかったけれど、梅雨に入ったある日、主人公は自分の好きな雨音に少女を重ね、そしてふいに告白をする……というお話。

※全体的に抑揚が少なく、小さな囁き声で
※最後までSE:雨音

(SE:ドアを開ける音)
(SE:近づいてくる足音)
(ヒロイン、すぐ横に座る)
こんにちは。いい天気だね。
うん。雨。いい天気。
私好きなの。太陽は眩しすぎるから。
んー……曇りはね、中途半端だからだめ。
空を覆う雲は、灰色の薄い布でしかないの。
陽の光はとっても鋭いから、簡単に貫かれちゃう。
でもね、雨が降るとね、硬くて尖ってる光を、
雨粒の一滴一滴が優しく受け止めて、柔らかくしてくれるの。
だから雨が好き。
雨が降ると、まるで水槽の中に居るみたい。
君はどう？

音？　君は、雨の音が好きなんだ。
ふうん、この音を聞いていると、心が落ち着くんだね。
私も……そうかも。
雨粒が地面を打つ音って、不思議とうるさくなくて、
一定の、抑揚のないトーンが耳朶を打つのが、なんだか耳心地良くって……
……あれ。どうしたの。私のこと、じっと見つめて……
私も……同じ？　雨の音と、私……？
え……すき……？　私……のこと？
……そう、なの？
私……
ん……その……
私も……すき。
君の……こと。
ん……私も、一緒なの。落ち着く……とても。
でもね……ドキドキも、するの……。
ん……こんな、胸がざわざわするの初めてだったから……。
君に感じるこのドキドキ……ちょっと戸惑ってたんだけど……。
でも……なんだか……それも、ずっと味わってたいって、思ったの。
これ……恋、だったんだ。
手……？　いいよ。ん。繋ご。

(二人手を繋ぐ)
……温かい。君の手。それにとっても大きくて……私の手、包み込まれてる。
ん……これ……ちょっと照れる。
でも……すき。
君に包まれて、繋がって……嬉しい。
もっと……くっつきたい……。
あ……。

(キス)
ん……ちゅっ。

ん……キス……
その……
もっと、したい……

(キス)
ちゅっ。ちゅっちゅっ。

(ヒロイン、主人公の胸に顔を埋めてぐりぐりする)
んー……っ。
ご、ごめん……ちょっと……
無理……胸がいっぱいで……
で、でも……もっと……したい……

(キス)
ちゅっ……すき……ちゅっちゅっ。
んむ……ちゅっ、ちゅっ……

(ディープキス)
んむぁっ、れろれろ……じゅるっ、れろれろ……ちゅぱっ。

(ヒロイン、主人公の胸に顔を埋めてぐりぐりする)
ん～……っ。
な、なに、今の……べ、べろ、急に絡めて……
びっくりしたよ……えっちすぎだよ……でも……
なんかすごい……よかった。
君と溶け合ってるみたいで……
ねえ……もっと、君と一緒になりたいよ……

(ディープキス)
んぁっ。れろれろれろ。じゅるるるるっ。れろれろれろ……ちゅぱっ。

あ、だめ……顔、見ないで……。

(ヒロインまた顔を主人公の胸に埋める)
恥ずかしいよ……。きっと私、顔蕩けてた。
君とぐちゃぐちゃになるの、気持ちよすぎて、胸がいっぱいだよ。
……でも、幸せだよ。
いいのかな。贅沢じゃないかな。私、こんな、満たされちゃって。

(ヒロイン顔を上げる)
君も……おんなじ気持ち？
うん……そうだね。君を好きって気持ち溢れ出しちゃって、心は満たされて、でも……
もっと、もっとって……わがままになってる。
そっか……同じなんだね。
だったら、もう、この欲に従っちゃっていいのかな……

(ディープキス)
んぁっ。れろれろれろ。ん……すき……
れろれろれろ……すき……じゅるっ、じゅるるるる……ちゅぱっ。

(ヒロインまた顔を主人公の胸に埋める)
ん……キスしたらなんで胸に顔埋めるのって……落ち着くから。
君の心臓の音、早く鼓動してて……ああ、一緒なんだって……安心するの。
私だけじゃないんだって……。
ん……離れたくない……。
こんなの知っちゃったら……もう、一人に戻れないよ。
本当？　ずっと……私と一緒にいてくれる？
うん……約束。
好きだよ……大好き。
この静かな水槽に……私をひとりぼっちにしないでね。

・台本（ゆるボイ！）
しとしとと雨が降る中、物静かな少女と想いを分かち合う。
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
あんこくドーナッツ