1
お姉さん貧乏神との華麗なるホームレス生活
written by 松平蒼太郎
  • お姉さん
  • 人外 / モンスター
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
2173文字(約 7分15秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
本編
おかえり。今日も収穫はゼロかい?

そうか、それは残念だったな。まぁクヨクヨするな、次頑張ればいいじゃないか。

なに?困窮の元凶たる貧乏神に励まされてもなんのプラスにもならない、だと?

いいじゃないか、別に。こんな美人でナイスバディなお姉さんの貧乏神に取り憑かれるなんて、人生でこんな得なこともないだろう?

美人より飯が欲しい、か。仕方ないな、ほら、わたしのおっぱいでも揉むか?

ふふ、性欲より食欲が勝ってるとはいえ、君も男の子だな。視線ががっつり胸に固定されてるぞ。

ほれ、ついでに太ももも触ってみるか?

なに、案ずるな。別に貧乏神の身体を触ったからといって、これ以上貧乏になることはない。

そもそもホームレスの君がこれ以上どうやって貧乏になるというんだ?

なんだ、触らないのか。やれやれ、下心は隠しきれていないのに、ちっぽけなプライドだけは一丁前だな。

ん?いつまで俺に取り憑いてるつもりだって、さあ?君が死ぬまでじゃないか?

はっはっは。よかったな、死ぬまでこんな美女がそばにいるんだ。こんな幸せなこともないだろう?

腹一杯飯が食いたい?やはり君は色気より食い気か。まぁわたしがいる限り無理だ。諦めるんだな。

お祓い?そもそも君自身、金がないから頼むところもないだろう。

仮にタダで祓ってもらえることになったとしても、わたしを祓える可能性は低い。

こう見えてもわたしは神だからな。相当強力な神主か巫女でもない限り、祓うことはできないだろう。

まぁそういうことだ。一生わたしと添い遂げる覚悟でも決めておくんだな。

人を貧乏にしない神様なら今すぐにでも結婚したい?

君も口がうまいな。うっかり本気にしてしまったらどうするつもりだ?

っぷ、あはは!いやぁ、君はからかい甲斐があって楽しいな。一緒にいてて飽きないよ。

ふざけてるのか、本気なのか……ふふ、どっちだと思う?

なんだ、ふて寝か。ちょっとからかいすぎたかな?まぁいい。隣、失礼するよ。

ん?……ふふ、そう言ってもらえると助かるよ。…うん、おやすみ。また明日。



おかえり。今日は収穫あったかい?

へー、少しだけ。廃棄された弁当…って消費期限切れだけど本気で食うのか?お腹壊すぞ?

そうか。まぁお腹壊したらヨシヨシくらいはしてあげるよ。


特になんともない?そこはお腹を壊してわたしにヨシヨシされる展開だろう。

まぁ元気であるに越したことはないが。…今度は何をしてるんだ?自販機の下なんか覗いて。

あぁ、お金が落ちてないか探してるのか。わたしがそばにいるからそんなことは起こり得ないと思うが。

嫌だね。なぜ君のそばを離れねばならない。

少しは金運が上がるかもしれないから?度し難いな、こんな美女に離れろとは、君はもしかしてそっちの趣味があるのか?

はいはい、わかったわかった。それじゃ、少し離れたところから見物させてもらうとするよ。せいぜい頑張りたまえ。


一円玉一枚拾って大喜びしているとは…大の男が情けないぞ、まったく…それでは何も買えないだろう。

こういうのは積み重ねが大事だって、一円玉を積み重ねたところで買えるものなどたかが知れてるし、貧乏から脱却できるわけでもあるまい。まさに焼け石に水だな。

だったら俺から離れろって、ふふ、あいにく今のところは、君から離れる予定はない。

このパーフェクトお姉さん貧乏神とホームレス生活をエンジョイしようじゃないか。

なに、謙遜することはない。わたしから見ても君は十分いい男だぞ。

お世辞じゃないさ。君がこうしてホームレス生活を送ることになった理由は知っている。

いいや、わたしのせいじゃない。わたしが取り憑く前に、君は親族から全財産を巻き上げられたんだろう?

君の持ち前のお節介なところ、優しいところをつけ込まれてね。

背負わされた借金だけはギリギリ返したみたいだが、その時点で貯金はほぼゼロ。しかも君はそのとき無職。

無職なのも前に勤めていた会社を、諸々の理由で辞めさせられたせいだったはず。そして転職にも失敗。

家賃も光熱費も払えなくなり、君は貸家を追い出された、というわけだ。

そしてわたしが君に取り憑いたのはその直後。こうして君は華麗なるホームレス生活をスタートさせたというわけだ。

ん?そもそもなんで俺に取り憑いたんだって、わからないか?君のことが好きだからだよ。

ふふ、どっちの意味の好きかはご想像にお任せするよ。けどこれはわたしの嘘偽りない、本当の気持ちだ。

少なくとも、わたしは騙して得をする人間より、騙されて損をする人間の方が好きだな。

どうした?急に黙り込んで?……ふふっ、ははっ!そうか!ならわたしたちは両思いだったというわけだ!

どっちの好きかはご想像にお任せする?ふふ、いいだろう。なら「そういう」意味だと捉えておくよ。

せめて金運をアップさせる神に転職してくれ、だと?

貧乏神に対して無茶を言うな、まったく…まぁ君のそういう無茶苦茶な発言も嫌いじゃない。

なんだ、今度はどこに行くんだ?……あぁ、冬に備えて大量のダンボールを集めにいくのか。

さすがにホームレス生活を5年も続けているとそこは行動が早いな。

ふふ、仮にも神に向かってダンボール探しを手伝えとは。わかった、見つけたら知らせてやる。

あぁ、そうだ。言い忘れていたことがあった。さっきの話の続きなんだが…

(キス)

わたしが君のことを好きだということはしっかり覚えておくように。それじゃあ手分けして探そうか。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
お姉さん貧乏神との華麗なるホームレス生活
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
 pixivにてフリー台本を投稿しています。
 台本の創作は自由にやらせてもらっております。よろしくお願いします。
有償販売利用の条件
当サイトの利用規約に準ずる
利用実績(最大10件)
松平蒼太郎 の投稿台本(最大10件)