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ボーイッシュな吸血鬼のお姉さんに付け狙われて、その逆鱗に触れたら眷属にされた
written by 松平蒼太郎
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  • お姉さん
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  • 修羅場
  • 戦闘
公開日2021年11月17日 19:20 更新日2021年11月17日 19:20
文字数
2833文字(約 9分27秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
吸血鬼
視聴者役柄
場所
某所
本編
この辺りから匂うな…どこにいる?

ん?……どうやらあの青年らしいな。

やぁ、青年。少しいいかな?

そう、君だ。

いきなりですまないが、君の血を飲ませてもらえないか?

君の血はきっと極上の味だろう。

あぁ、分かるさ。

わたしたち吸血鬼は匂いで血の良し悪しの区別がつくんだ。

そう、わたしは吸血鬼。

君から見れば化け物、と呼ぶべき存在かもしれないね。

やれるものならやってみろ、か。

ずいぶん挑戦的だな。腕に自信でもあるのか?

おっと……ははっ、まさか人間じゃなかったとは。

青年、君は何者だい?

鬼……なるほど、その姿が…

たしか聞いたことがある。

東洋には力で頂点を極める鬼という種族がいる、と。

普段はさっきみたいに人間に擬態している、というわけか。

ふふ、最強を自称するとは面白い。

だったら実力行使といこうか。

青年、君の血は力づくでいただくよ。



ふふ…なかなかやるな。

思ったよりはできるようだな。

しかし、残念ながらそろそろ時間だ。

君のお仲間に来られても面倒そうだ。

ここらで失礼させてもらうよ。

なに、案ずるな。諦めるわけじゃない。

必ずまた来るさ。君の血を飲みにね。



へ〜…君は鬼でありながら、人助けもするのか。

他の種族に食べられそうになっている人間を助けるなんて。

弱い者を守り、助けるのが強い者の役目だって…

なるほど、それが君の美学というわけか。

あぁ、いや。君の善行を見ていたら興が削がれたよ。

君の血を飲むのはまた今度にしよう。それじゃあね。



はぁはぁ…

君もなかなか焦らしてくれるな。

わたしに血を飲まれるのがそんなに嫌か?

そうか…少しは大人しい方が可愛げがあると思うんだが…

わたし?わたしは諦めないよ。

一度狙った獲物を逃がすつもりはない。

君が最強であることに固執するように、わたしもまた美味しい血に固執するのさ。

俺の血が不味かったらどうするんだって?

そうだな…君にはわたしのお婿になるという形で責任をとってもらおうか。

さあ?それはどうだろうね。

さ、今日は時間もたっぷりある。

お互い、譲れないもののために存分に暴れようじゃないか。



ふぅ…流石にこれだけの数を相手にするのは厳しいか…

逃げようにも退路も絶たれたし…

さて、どうするか…

…青年。なぜこんなところに?

俺以外のやつに負けるのは許さない?

ずいぶん勝手な言い分だね。

わたしがどこの誰に負けようが、わたしの勝手だろう?

青年…君ってやつは本当に…ふふっ。

ああ、この状況か。

どうもナワバリ意識の強い妖怪どもの領域に、うっかり入り込んでしまったみたいでね。

土地勘もない所であれよあれよという間に囲まれてしまったというわけだ。

叱責は後で甘んじて受けるよ。

それより、ここに飛び込んできたってことは、君はわたしを助けにきたと捉えていいのかな?

そうか…なら手を貸してもらえるか?

君の血を狙っている身で言う言葉ではないが…

ふふ、今日はそのお言葉に甘えるとしよう。

君への借りは必ず返す。

君もわたしに貸しができたこと、忘れるなよ?



(今日も彼はいつものとこにいるかな…)

(借りを作りっぱなしというのは、やはり居心地が悪いし…)

(かといって、どうすれば返せるかもわからない。)

(直接、彼に欲しいものでも聞いてみるか…)



…何をやっているんだ、君たちは?

ほぅ…そうかそうか。

わたしのいない間に随分とお楽しみだったようだな。

なぁ、女。お前はわたしと同じ吸血鬼だ。

お前がした行為は当然といえば当然。

匂いで目星のつけた男の血を吸っていただけ。

いや?別に寝込みを襲ったことを卑怯だとか言うつもりはないよ。

ただね…そこの青年はわたしが先に目をつけていたんだ。

それを横取りするということが、どういうことを意味するか、分かっているな?

あぁ。わたしは今、ものすごーく怒っている。

楽には殺さない。覚悟しろ。



はぁ…意外とあっけなかったな。

この程度でくたばるとは。

さて…次は青年、君の番だ。

最強が聞いて呆れる。

まさか寝込みを襲われて、わたし以外の女にあっけなく吸血されるとは。

本当に…どうしようもないな、君は。

このやり場のない感情…どうすればいいと思う?

吸血されてフラフラのところ悪いが、第二ラウンドといこうじゃないか。

これくらいは良いハンデだって…

その強がりはいつまで続くかな?

わたしはいつも通り全力でいかせてもらう。

悪く思うなよ。



やはり人間と同様、鬼も血液が足りてないと十分な力を発揮できないようだな。

ここまでボコボコにしたことは謝らないぞ。

わたし以外の女に身体を許した君が悪いんだからな。

何を言っている?わたしは君のことが好きだぞ。

好きでもない男の血なんて飲もうと思うか?

わたしとて女だ。

それくらいの情緒は持ち合わせている。

なぜ俺を好きになったって…

さあな。単純接触効果、というやつじゃないか?

君と全力でぶつかったことも、君がわたしを助けに来てくれたことも、すべて君を好きになった理由だろう。

だからこそ許せないんだ。

わたし以外の女に先に血を飲まれたことが。

(匂いを嗅ぐ)

やはり臭うな。そこで転がっている女の臭いが。

これはなんとしても、わたしで上書きしないと。

まずは唇からだな。

(キス)

ふふ…思った通り、君は女慣れしていないな。

この程度のことで動揺するとは。

しかし、同じことをあの女もやっていたことを想像すると、虫唾が走る。

匂いだけでなく、記憶もわたしで上書きしないと。

次は首筋だ。じっとしていろよ…

(吸血)

美味い…こんなに美味い血を飲んだのは初めてだ。

ふふ、根性をみせろよ、青年。

まだまだこんなものじゃ済まさないからな…



おはよう、青年。

ずいぶんグッスリだったな。

まぁ、あれだけ一度に血液を失えば当然か。

君が鬼でよかったよ。

人間だったら死んでいたところだからな。

ん?あぁ、ここは馬車の中だ。

君をわたしの国に連れて帰ろうと思ってね。

何を驚いている?

当然だろう。君はわたしの眷属なんだから。

ふふ、東洋の鬼を眷属にしたなんて聞いたら、故郷のみんなも驚くだろうな。

俺はそんなこと承服してない?

これは決定事項だ。君の意見は聞いていない。

眷属ついでに、わたしのお婿にもなってもらおうか。

前にも言っただろう?

お婿になるという形で責任をとってもらう、と。

あれは血が不味かったときの話だろって…

さぁ?そんな話だったかな?

青年、往生際が悪いぞ。

どういう形であれ、君はわたしのモノになったんだ。

君に拒否権はないよ。諦めるといい。

ふふっ。そんなこと言って、本当はわたしが血を飲んでいる間、快楽に溺れていたくせに。

あんな気持ち良さそうな顔をしておいて、今さら隠し通せるとでも思っているのか?

吸血鬼は対象の血を飲む代わりに、快楽物質を体内に流し込むからな。

気持ち良くなるのも無理はないさ。

あれは君が弱かったから快楽に溺れたんじゃない。

わたしが君を気持ち良くしてやったんだ。分かるだろう?

もう君はわたし無しでは生きられない身体になったんだ。

これで君への借りはきっちり返したからな。

そう。君に助けてもらった、あの借りだ。

そしてこれからもわたしが君を快楽漬けにしてやる。

君は何も考えず、わたしに身を委ねるといい。

青年…君のことはずっと愛してやるからな。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ボーイッシュな吸血鬼のお姉さんに付け狙われて、その逆鱗に触れたら眷属にされた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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