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公開日2022年03月18日 02:50
更新日2022年03月18日 02:50
文字数
2036文字(約 6分48秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
女勇者
視聴者役柄
魔族と人間のハーフの戦士
場所
ふたりで焚火を囲みながら
あらすじ
魔王軍との決戦前夜。女勇者と戦士(リスナー)が焚火を囲みながら、将来のことを語り合います。旅が終わったら、国を離れるつもりだ……。
戦士の言葉を聞いた女勇者が暴走して……。
戦士の言葉を聞いた女勇者が暴走して……。
本編
(焚火の音)
見張り、ご苦労様です。異常はありませんか?
はい。交代の時間にはまだ早いのですが、明日のことをおもうと目が冴えてしまいまして。
おふたりはよくお休みになっていますよ。魔法使いさんも神官さまもお疲れのようでしたから。昨日の戦闘がよほどこたえたのか、いびきをかいて、ぐっすり眠っていらっしゃいました。
あの様子では、もしも雷が落ちても目を覚ましそうにありません。
(ふたりきりになるのは久しぶりだ、と戦士が言う)
……ええ、本当に久しぶりですね。こうしてふたりきりになるなんて。
なんだか王都にいた頃のことを思い出しますね。
故郷を離れて、都に着いたものの右も左もわからず、途方に暮れていたときにあなたと出会って。
それが縁でまさか3年も一緒に旅をすることになるなんて、考えてもいませんでした。
……感謝しています。もしもあなたがそばに立ってくれていなかったら、きっとどこかで力尽きてむくろになっていた。
たとえ命を落とすことがなくても、「魔王討伐」という責任の重みに押しつぶされていたはずです。
わたしが悲観的なことを言うのがそんなに珍しいですか?
いつもは強がっているだけなのですよ。託宣を授かった勇者として、皆さんのまえでは凛々しくあらねばならない……。
どんなに苦しくても弱音を吐いてはならない。
この3年間、ずっと針のむしろのうえに座るように命じられていた。そんな気がします。
……明日は長い一日になるでしょう。魔王軍の総本山に攻め込むわけですから。
これまであなたとともに数え切れないほどの強敵と渡り合い、幾多もの困難を乗り越えてきました。
あなたが隣にいてさえくれれば、たとえ魔王さえも打ち破れる……。
魔王軍にもかつてのような戦力は残ってはいません。勝つ自信はあります。ですが、戦場ではどんなことが起きるかわかりません。
万が一のことがあるかもしれない……。お礼を言っておきたかったのです。
あなたに救われていたことを。
…………その、旅が終わったらどうするのかもう決めていらっしゃるのですか?
故郷に帰るのか、王都に残るのか。…………もしかして心に決めた人がどこかで待っていたりなんて?
…………そ、そうですか、だれもいない。それはよかっ…………。いえいえ、なんでもありません。
もしもあなたさえよろしければ、わたしと一緒に故郷(くに)に帰って生活を…………。
生き延びることができたら、この大陸を離れるつもり?
船で海をわたって、だれも知らない、遠い土地を探す?
どうしてですか!
す、すみません。声を荒げてしまって。
でも、いったいどうしてそんな真似を。
(戦士、服の袖をまくり、腕の焼き印を見せる)
……腕の焼き印。忌み子(いみご)であることの証明。
3年前に出生の秘密を打ち明けてくれた時に教えていただいたのですよね。
王都では、魔族と人間とのあいだに生まれた子供を忌み子として憎み嫌っている。
あなたはたしかに魔族の血を半分ひいています。でも、それがどうしたというのです。
この世界を救うために、あなたがどれほど血を流して、涙を吞んだのか。
わたしは知っています。あなたと出会ってから、ずっとそばにいましたから。
話せば、きっと皆さんも理解してくれるはずです。
凱旋のあかつきには、あなたのことを直接王さまにお伝えします。教会の大司教さまにだって直訴します。
だから、お願い……。嘘だと言って……。
……王国の仇敵である魔族の血をひく者が、国を救ったという事実があってはならない。王も教会も認めることはないだろう。
……そんなことを神官さまがおっしゃっていたのですか。
だったら、すべてが終わったらわたしもついていきます。どこまでも一緒に、世界の果てまで。
(戦士が首を横にふる)
……だ、だめ?
わたしには勇者として、国や人々を守る義務があるからついてきてはだめだ?
……これからは別々の道を歩むべき?
……信じない、信じない、信じない。
嘘です。嘘です。ぜんぶ嘘!
優しいあなたがそんなことを言うはずがない!
(剣で戦士を吹き飛ばす。)
……はぁ、はぁ。大丈夫、みねうちです。
そんな怯えた顔をして。逃げようとしても無駄ですよ。
力を抑えているとはいえ、勇者の剣のひと振りをくらったのですから、いくらあなたでも身体がしびれて、2、3日の間は動くこともままならないはず……。
……決めました。ふたりで旅を続けることにしましょう。魔王と盟約を交わして、王国に反旗をひるがえすのです。
人間側の最大戦力が労せずして手に入るのですから、魔王といえど首を縦に振らざるをえないはず。振るのを拒むようであれば、切り落とせばいいだけのことですから。
魔王軍との戦争で消耗しきった王国にはもはや兵は残っていない。わたしの敵ではありません。
ふふ。そしてやがてはあなたと子供をつくって……。
うふふふふふっ。あぁ、そうでした。あのふたりを始末しておかなければ。
宮廷お仕えの魔法使いさんに、大司教の御身内である神官さま。世界をより良いものにつくりかえるための第一歩として、永遠に眠っていただくことにしましょう。
本当に明日は長い一日になりそうです。あなたのことが大好きですよ、戦士様。
見張り、ご苦労様です。異常はありませんか?
はい。交代の時間にはまだ早いのですが、明日のことをおもうと目が冴えてしまいまして。
おふたりはよくお休みになっていますよ。魔法使いさんも神官さまもお疲れのようでしたから。昨日の戦闘がよほどこたえたのか、いびきをかいて、ぐっすり眠っていらっしゃいました。
あの様子では、もしも雷が落ちても目を覚ましそうにありません。
(ふたりきりになるのは久しぶりだ、と戦士が言う)
……ええ、本当に久しぶりですね。こうしてふたりきりになるなんて。
なんだか王都にいた頃のことを思い出しますね。
故郷を離れて、都に着いたものの右も左もわからず、途方に暮れていたときにあなたと出会って。
それが縁でまさか3年も一緒に旅をすることになるなんて、考えてもいませんでした。
……感謝しています。もしもあなたがそばに立ってくれていなかったら、きっとどこかで力尽きてむくろになっていた。
たとえ命を落とすことがなくても、「魔王討伐」という責任の重みに押しつぶされていたはずです。
わたしが悲観的なことを言うのがそんなに珍しいですか?
いつもは強がっているだけなのですよ。託宣を授かった勇者として、皆さんのまえでは凛々しくあらねばならない……。
どんなに苦しくても弱音を吐いてはならない。
この3年間、ずっと針のむしろのうえに座るように命じられていた。そんな気がします。
……明日は長い一日になるでしょう。魔王軍の総本山に攻め込むわけですから。
これまであなたとともに数え切れないほどの強敵と渡り合い、幾多もの困難を乗り越えてきました。
あなたが隣にいてさえくれれば、たとえ魔王さえも打ち破れる……。
魔王軍にもかつてのような戦力は残ってはいません。勝つ自信はあります。ですが、戦場ではどんなことが起きるかわかりません。
万が一のことがあるかもしれない……。お礼を言っておきたかったのです。
あなたに救われていたことを。
…………その、旅が終わったらどうするのかもう決めていらっしゃるのですか?
故郷に帰るのか、王都に残るのか。…………もしかして心に決めた人がどこかで待っていたりなんて?
…………そ、そうですか、だれもいない。それはよかっ…………。いえいえ、なんでもありません。
もしもあなたさえよろしければ、わたしと一緒に故郷(くに)に帰って生活を…………。
生き延びることができたら、この大陸を離れるつもり?
船で海をわたって、だれも知らない、遠い土地を探す?
どうしてですか!
す、すみません。声を荒げてしまって。
でも、いったいどうしてそんな真似を。
(戦士、服の袖をまくり、腕の焼き印を見せる)
……腕の焼き印。忌み子(いみご)であることの証明。
3年前に出生の秘密を打ち明けてくれた時に教えていただいたのですよね。
王都では、魔族と人間とのあいだに生まれた子供を忌み子として憎み嫌っている。
あなたはたしかに魔族の血を半分ひいています。でも、それがどうしたというのです。
この世界を救うために、あなたがどれほど血を流して、涙を吞んだのか。
わたしは知っています。あなたと出会ってから、ずっとそばにいましたから。
話せば、きっと皆さんも理解してくれるはずです。
凱旋のあかつきには、あなたのことを直接王さまにお伝えします。教会の大司教さまにだって直訴します。
だから、お願い……。嘘だと言って……。
……王国の仇敵である魔族の血をひく者が、国を救ったという事実があってはならない。王も教会も認めることはないだろう。
……そんなことを神官さまがおっしゃっていたのですか。
だったら、すべてが終わったらわたしもついていきます。どこまでも一緒に、世界の果てまで。
(戦士が首を横にふる)
……だ、だめ?
わたしには勇者として、国や人々を守る義務があるからついてきてはだめだ?
……これからは別々の道を歩むべき?
……信じない、信じない、信じない。
嘘です。嘘です。ぜんぶ嘘!
優しいあなたがそんなことを言うはずがない!
(剣で戦士を吹き飛ばす。)
……はぁ、はぁ。大丈夫、みねうちです。
そんな怯えた顔をして。逃げようとしても無駄ですよ。
力を抑えているとはいえ、勇者の剣のひと振りをくらったのですから、いくらあなたでも身体がしびれて、2、3日の間は動くこともままならないはず……。
……決めました。ふたりで旅を続けることにしましょう。魔王と盟約を交わして、王国に反旗をひるがえすのです。
人間側の最大戦力が労せずして手に入るのですから、魔王といえど首を縦に振らざるをえないはず。振るのを拒むようであれば、切り落とせばいいだけのことですから。
魔王軍との戦争で消耗しきった王国にはもはや兵は残っていない。わたしの敵ではありません。
ふふ。そしてやがてはあなたと子供をつくって……。
うふふふふふっ。あぁ、そうでした。あのふたりを始末しておかなければ。
宮廷お仕えの魔法使いさんに、大司教の御身内である神官さま。世界をより良いものにつくりかえるための第一歩として、永遠に眠っていただくことにしましょう。
本当に明日は長い一日になりそうです。あなたのことが大好きですよ、戦士様。
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